村田晃嗣
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村田 晃嗣(むらた こうじ、1964年7月13日 - )は、兵庫県神戸市出身の国際政治学者、同志社大学法学部教授。専攻はアメリカ外交、安全保障政策の研究。
若手親米保守派の代表的論客。同志社大学では麻田貞雄、神戸大学大学院では木村修三に師事した。学術活動の他、一般月刊誌、新聞紙上への主張の掲載に加え、『朝まで生テレビ』などTV等でも積極的に発言している。朝日放送番組審議会委員。京都経済同友会特別会員。衆参両院の憲法調査会参考人も務めた。
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[編集] 人物
- 趣味は映画鑑賞で、映画にテーマを絞ったブログ「Koji Murataの映画メモ」を公開している[1]。古い日本映画に造詣が深く、携帯電話の待ちうけ画面は若尾文子とのこと[1]。以前は鶴田浩二だった。
- 不定期での報道番組出演がほとんどだったが、2007年4月からはテレビ朝日「スーパーモーニング」金曜日のメインコメンテーターを務める(07年8月と9月はアメリカのマイク・マンスフィールド財団での在外研究のため、番組を休んでいる)。
- 独身であることから、たかじんのそこまで言って委員会に出演するたび、「辛坊たまらん! もっと言っても委員会」内で辛坊治郎に(半ば無理矢理に)女性ゲストとお見合いをさせられている。
- 関西テレビ「痛快!エブリデイ 男がしゃべりでどこが悪いねん!」や「ムハハnoたかじん」では、政治に関するトークだけではなく、日常生活も交えたトークも行っている。
[編集] 学歴
- 兵庫県立須磨東高等学校卒業
- 同志社大学法学部卒業(1987年)
- ジョージ・ワシントン大学留学(フルブライト奨学生,1991年─1995年)
- 神戸大学大学院法学研究科博士課程修了(1995年)[博士論文要旨]
[編集] 職歴
[編集] 主張
- イラク戦争をめぐる論争では、アメリカの先制攻撃の正当性を否定する東京大学教授・姜尚中や小林よしのりとは意見が衝突している。2005年元日の『朝まで生テレビ!』で、イラクが大量破壊兵器を持っているかのように装ったことがアメリカの先制攻撃を引き起こした旨を主張。この、実際には兵器を所有していなくても、そのように振舞うだけで脅威を与えているという、村田のイラク戦争支持の論旨は物議を醸した。実際に後に捕らえられたサダム・フセインが尋問において、アメリカの侵攻は無いとの誤算からイランをけん制するために、大量破壊兵器を持っているように振舞っていたと語っている。
- またイラク戦争を湾岸戦争の延長と位置づけている一方で、ブッシュ政権が大量破壊兵器の「備蓄」をあまりに強調したこと、高官があまりに過激な言動をしたことで同盟国の反感を買ってしまったこと、イラクの戦後統治に関する計画があまりに杜撰であったことを誤りであったと分析している。
- 上記と同じく2005年元日の同番組にて、アメリカの2006年度中間選挙の話題が出た。この際、森本敏、秋尾沙戸子、山本一太らは、揃って共和党の大勝を予想し、ブッシュ大統領の支持基盤の揺ぎなさを説いた。この話題を持ち出した張本人である姜尚中がそれら意見に疑問を呈した。以上の論争を踏まえた上で、村田はアメリカ外交の専門家として最後に見解表明。「少なくとも立法府では、民主党は長期に渡って勝てないような構図になっており、中間選挙においてブッシュが苦しくなるということは考えられない。」という旨を述べた。しかし2006年11月の中間選挙の結果、上院および下院にて民主党が過半数を確保し、村田等の予測は外れた。
- 同じ改憲論の立場でも、一般的に保守論壇では主流の押し付け憲法的解釈とは異なり、「そういった考えは、憲法の出自がどうであれ、基本的人権の尊重という概念を持った日本国憲法とともに歩んだ戦後史を矮小するものだ」という見解(未来志向の改憲論)を持ち、京都大学教授の中西輝政とは論争が存在した。中西が論壇誌でよく展開している歴史学説を「きちんとした検証を経ていないので、誤りも多く、論点が相当ズレており、真実だと明らかになったとしても、なんら意味のないもの」と批判している。一方で、同じ京都大学教授・中西でも中西寛とは同じスタンス、主張を共有している。
- 安全保障問題における核武装については「日本の国力の限界を見定めていない」として反対の立場をとっている。論議においても「民間ならまだしも、政治家が核武装論議をすることはナンセンスだ」としている。
- 靖国神社問題では、全ての宗教に開かれた形の国立の追悼施設が必要ではないかと主張している。首相の参拝については、主に外交的要因を背景に「極めて消極的」「反対」と明言した。
[編集] 受賞歴
- 1996年 - 論文「変容する日米安保政策コミュニティー」で第2回読売論壇新人賞優秀賞
- 1999年 - 『大統領の挫折』でサントリー学芸賞、アメリカ学会清水博賞
- 2000年 - 「『国際国家』の使命と苦悩──1980年代の日本外交」『戦後日本外交史』で吉田茂賞
[編集] 著書
[編集] 単著
- 『大統領の挫折――カーター政権の在韓米軍撤退政策』(有斐閣、1998年)
- 『米国初代国防長官フォレスタル――冷戦の闘士はなぜ自殺したのか』(中央公論新社[中公新書]、1999年)
- 『アメリカ外交――苦悩と希望』(講談社[講談社現代新書], 2005年)
- 『プレイバック1980年代』(文藝春秋[文春新書], 2006年)
[編集] 訳書
- ゴードン・A・クレイグ、アレキサンダー・ジョージ『軍事力と現代外交――歴史と理論で学ぶ平和の条件』(有斐閣, 1997年)
- ジョセフ・ナイ『国際紛争――理論と歴史』(有斐閣, 2002年/原書第4版, 2003年/原書第5版, 2005年/原書第6版, 2007年)
- ジェームズ・マン『ウルカヌスの群像 ブッシュ政権とイラク戦争』(共同通信社,2004年)
- ヘンリー・ナウ『アメリカの対外関与――アイデンティティとパワー』(有斐閣, 2005年)
[編集] 脚注
- ^ 2008年1月27日放送の「たかじんのそこまで言って委員会」にて