旱魃
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旱魃(かんばつ)とは、雨が降らないなどの原因で、ある地域に起こる長期間の水不足の状態をいい、旱魃の被害を総じて旱害(かんがい)と呼ぶ。旱は「ひでり」、魃は「ひでりの神」の意味である。いずれも常用漢字ではないため旱魃を干ばつ、旱害を干害と代用表記する場合がある。旱魃はその地域の水資源の存在量と、人間の水需要がアンバランスになることによって発生するため、純粋な物理現象とはいえない。
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[編集] 定義と分類
旱魃の定義は、関係する学問領域によってそれぞれ定義されており、以下のものが代表的である。
- 気象学的旱魃
- 乾燥気象が、深刻な水文のアンバランスを引き起こすほどある地域で続くこと。
- 気候学的旱魃
- 平均降水量などが年間・月間などの同期間内で、非常に少なくなっていること。
- 農業的旱魃
- 穀物生産や畜産に悪影響を及ぼすような降雨量の不足。
- 水文的旱魃
- 河川、貯水池、帯水層、湖、土壌における平均以下の水量が一定期間継続すること。
[編集] 旱魃の影響
旱魃によってその地域の環境、経済、社会に様々な影響が発生する。一般的には次のような事象が起こる。
これらの問題は、外部資源への依存率の増大や残された水資源の品質(汚染状態)など様々な要因が複雑に絡みあって発生する。その国のインフラの整備状況によって、旱魃の影響(とくに飢餓)が甚大になることも、あるいは軽減されることもある。
[編集] 大規模な旱魃
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- 参照:en:Holodomir
- 中国北西部(1928年-1930年) 死者数:300万人以上、飢餓
- 中国四川省(1936年) 500万人が死亡(飢餓)、3400万人が移住
- アメリカ合衆国(1930年-1937年)3回の旱魃、大平原地帯
- 中国四川省(1941年) 死者数:250万人
- インド(1965年-1967年)
- サヘル地域(サハラ砂漠南縁地域)(1968年-1974年)
- イラン(1968年-1972年)
- エチオピア(1973年-1974年)
- ボリビア(1983年)
- エチオピア(1984年-1985年)
[編集] 現在の旱魃
- オーストラリア 近年5年間に渡り旱魃
[編集] 関連項目
- 疫学: 黄熱, 腸チフス
- 洪水
- 環境問題関連の記事一覧
[編集] 外部リンク
- Worldwaterforum
- US drought monitor
- USAtoday´s resources: floods and droughts
- Managing drought
- NOAA drought information center
- Drought, a paleo perspective
- US National Drought Mitigation Center
- Droughtoutlook
- Drought and agriculture
- US DA
- Drought disaster center
- Florida Drought Center
- Drought preparedness
- Drought for kids
- Drought Act Initiative
- PBS The drought
- Cuba suffers through worst drought in history
- Drought leaves Europe's farmers helpless
- The CA drought of 2002
- Natural Hazards Causes and Effects Drought
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現象 | 砂漠化 - 土壌浸食 - 土壌流出 - 風食 - 塩類集積 | |
自然原因 | 気候変動 - 旱魃 - 降水量減衰 | |
人為原因 | 過放牧 - 過伐採 - 過開墾 - 過灌漑 - 焼畑農業 | |
対策 | 国連砂漠化防止会議 - 砂漠化防止行動計画(PACD) - 砂漠化防止計画活動センター - 砂漠化対処条約 - 砂漠化防止行動計画 - 砂漠緑化 |