日産・ラルゴ
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ラルゴ(LARGO)はかつて愛知機械工業が設計・生産、日産自動車が販売していたミニバンである。
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[編集] 歴史
[編集] 初代 C120型(1982年 - 1986年)
1982年9月、「バネット(C120型)」派生の上級車種として、「バネット」の名を冠した「バネットラルゴ」として誕生し、販売チャンネルごとに「ダットサンバネットラルゴ」、「サニーバネットラルゴ」、「チェリーバネットラルゴ」がそれぞれ設定された。
ボディ形状はキャブオーバー型(1BOX)で、ベースとなるバネットに対し車幅を90mm拡大し、車格の差を表現している。乗用登録となる「コーチ」のほか、貨物登録の「バン」も。
搭載されるエンジンは、コーチが直列4気筒 OHC 2.0LのZ20型、1952ccディーゼルのLD20型、ディーゼルターボのLD20T型、およびバン用のOHV 1487ccガソリン、A15型の4機種。
3車の相違点の1つはヘッドランプベゼル(枠、ランプ周りの装飾部品)にあり、ダットサンバネットはシルバー、サニーバネットは外側が黒、内側がシルバー、チェリーバネットは外側がシルバー、内側が黒となっている。
コーチのグレードは「グランドサルーン」、「LX-G」、「LX-J」、「LX」の4種、バンは「DX」と「GL」の2種。グランドサルーンには2列目キャプテンシートとセンターアームレスト付き3列目シート、1BOX唯一のガラスハッチが装備されていた。
なお、この型のラルゴが始動直後のエンジン回転数が高いうちに、ドライバーがブレーキペダルを踏まずにDレンジにシフトしたところ、暴走して民家の壁を突き破る事故があった為、AT車のシフトロック機能の装着が義務付けられるきっかけとなったモデルでもある。
[編集] 2代目 GC22型(1986年 - 1993年)
1986年5月、先代同様C22型バネット派生として登場。後に4WDも設定された。バネットとの共用部分は多いが、フロアパン自体は別ものであり、ラルゴでは輸出も考慮された強化型を使用していた。先代同様、販売チャンネルごとの3車でスタートしたが、後に「バネットラルゴ」に統一されている。
グレードは「LX」、「スーパーサルーン」、「グランドサルーン」、更に1BOXとしては初のガソリンターボ車として「クルージングサルーン」が設定された。「グランドサルーン」はガソリンターボとATの組み合わせがあったが、「クルージングサルーン」はMTのみの設定だった。ATはそれまでの3速AT「ニッサンマチック」からOD付4速オートマチック、フルレンジ電子制御4速オートマチック「E-AT」になる。
エンジンは2000ccガソリン・CA20S、2000ccディーゼルターボ・LD20T・II(燃焼室の形状が変わり、それまでのLD20TからLD20TIIになる)、1800ccガソリンターボ・CA18ETの3種を設定。CA18ETは「グランドサルーン」と「クルージングサルーン」に設定された。「クルージングサルーン」は、「スーパーサルーン」をベースにターボエンジン、ハイグリップタイヤ、電子制御サスペンションを装備したモデルで、このエンジンは元はブルーバード(910型)に積まれていたもの。4WDのAT車で(MC後のグランドクルージング)0-100m加速が17秒という、当時の1BOX車では稀有な動力性能を見せた。ターボの装着は省エネルギーのためという当時の「お約束」で、運輸省届出値の燃費は自然吸気の2.0Lを上回っていた。バンも継続して設定され、A15とLD20の2種類のエンジンが設定された。
1987年、4WDが追加。ライバルであるタウンエース・ライトエース・マスターエースのそれとは違い、ボタン一つで駆動輪が切り替え可能なパートタイムタイプで、ローレンジは無かった。
1989年6月、マイナーチェンジ。それまでの「クルージングサルーン」に代わり、1800ガソリンターボ仕様の「クルージング」系を追加。アメリカで売られている日産・バン(ラルゴのアメリカ仕様)のデザインのものと同様と思われるスタイリングに手を加えられ、埋め込みフォグランプ風のクリアグリルガーニッシュに補助ストップランプ付のリヤガーニッシュが装備された。また、「パノラマルーフ」が全体をガラスで覆った「スーパーパノラマルーフ」に変わり、サードシートまでガラスルーフとなったのはライバルと同じだが、セカンドシート部分は電動アウタースライドと、ライバルのガラスルーフよりも一歩勝っていた。クルージング系は専用の異型2灯ヘッドランプにフォグランプを付けた専用のフロントマスクが装着された。グレードは「スーパークルージング」と上級の「グランドクルージング」の2種類。「スーパークルージング」は「スーパーサルーン」の、「グランドクルージング」は「グランドサルーン」のガソリンターボ版。ただし「グランドクルージング」は「グランドサルーン」より多少装備が劣った(具体的にはサードシートのアームレスト等の違い)。コーチの4WDがビスカスカップリング式の「フルオートフルタイム4WD」に変更された。コーチ「LX」が廃止となり、バンに「VX」が設定された。最上級グレードとして「エクスクルーシブサルーン」が登場。2WDガソリンのみの設定で254万円。エクセーヌ仕様のシートなどを装備していた。ホワイトパール系の専用ツートンカラーにアルミホイールが奢られている。同時にフルオートフルタイム4WDが設定される。これも1BOX初で、デフロックが装着されていた。他のエンジンはLD20TIIとCA20Sを継続している。
- その他にオーテックジャパンの手がけた特別仕様車「ウミボウズ」および「ヤマアラシ」が登場。「ウミボウズ」はスーパーサルーンをベースに、グリルガードバーなどを装着し、アウトドア系統のスタイリングに仕上げた。エンジンは2000ガソリンと2000ディーゼルターボの二種類のみ。「ヤマアラシ」も「ウミボウズ」同様スーパーサルーンベース。モデル末期に追加されたグレードで、バネットシリーズで唯一の3ナンバーモデルとなった(オーテックジャパンによる後付けの装備品によって全高が2mを超えたため)。エンジンは2000ガソリンと2000ディーゼルターボ二種類のみ。
[編集] 3代目 W30型(1993年 - 1999年)
1993年5月、フルモデルチェンジ。このモデルチェンジに際し、車名から「バネット」が外れ、「ラルゴ」となる。CMコピーは「ポストセダンをどうぞ」。CM曲はレニー・クラヴィッツの「ビリーヴ」が起用された。
モノスペーススタイルへとチェンジしたセレナ(C23型)の5ナンバーボディに対し、シャーシを共用するラルゴは3ナンバー専用ボディとされ、セレナに比べ各シートの座面長を45mmづつ大きく採るなど、上級車としての工夫が見られ、エルグランドが登場する1997年までは、日産のミニバンの中では最上級モデルの地位にあった。
ボディ形状はセレナと同様に短いボンネットが付いて前輪が前進し、エンジンを前席下に搭載するミッドシップレイアウトを採用していた。
駆動方式はFRと4WDであり、搭載エンジンはKA24DE型直列4気筒DOHC2388ccガソリンエンジン、およびCD20Ti型直列4気筒OHC1973ccインタークーラー付ディーゼルターボエンジンの2機種。ディーゼル車のインタークーラーは空冷式で、フレームの中に冷却気を通す工夫がされていた。
セレナとは異なり、トレッド拡大によりロックツーロックが普通の乗用セダン並みになった。セレナにこのラックを組んでも全く問題無い為、日産の操安基準は相当にマージンをとっていると思われる。
このW30型にはメーカーオプションで「GTパック」なるSUPERHICAS、電子制御サスペンションを搭載したモデルもあり、かなり走りをイメージした物となっている。ちなみに、KA24DE型エンジンは海外向け車種に多く搭載されているエンジンであり(KA24DE型エンジンが搭載されていた車種は海外版180SXである240SXなど)、圧縮比が0:1でありながらレギュラーガソリン仕様であった。
1994年10月、「2/4WD SX-Gリミテッド」追加。KA24DE型エンジンおよびCD20Ti型ディーゼルターボエンジンを搭載し、それまで七人乗り仕様のみであったが、八人乗りのプラスシリーズが追加された。
1995年8月、一部変更により運転席SRSエアバッグが標準装備となるほか、ディーゼルターボエンジンをCD20Ti型に替わりCD20ETi型へ変更。同時にオーテックジャパンの手による特別仕様車「ハイウェイスター」を設定。
1996年10月、マイナーチェンジ。内外装に手直しを受けアクティブサスやラゲッジトランクなどが採用された。セレナと同様にスライド型シートが採用される。
1997年10月、「ハイウェイスター」の派生車種として、専用フロントフード、丸形4灯ヘッドランプを採用する「ハイウェイスターツーリング」を追加。最上級グレードのグランデージがカタログ落ちし、ハイウェイスターはディーゼルの4WD以外の全車にパノラマルーフトップが標準装備となった。ディーゼルの4WDは設定なしとなる。
1999年6月、カバーレンジを拡大したC24型セレナの登場に伴い、セレナに統合される形で生産終了。
[編集] 車名の由来
「ラルゴ」とは音楽の速度記号の一つであり、イタリア語で「幅広くゆるやかに」の意。