日本の硬貨
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日本の硬貨(にっぽんのこうか)では、日本で流通している(若しくは過去に流通していた)硬貨について解説する。
目次 |
[編集] 流通硬貨
現在、日本で製造される硬貨は、通常発行される1円、5円、10円、50円、100円、500円の各1種類ずつ6種類の貨幣と、記念貨幣に分けられる。これらはすべて補助貨幣で、貨幣の製造及び発行の権能は政府に属する。財務大臣は、貨幣の製造に関する事務を、独立行政法人造幣局に行わせている。また、貨幣の発行は、財務大臣の定めるところにより、日本銀行に製造済の貨幣を交付することにより行う。
なお、硬貨の裏表について、造幣局では、植物などの表示がある面を「表」、鋳造年表示のある面を「裏」と呼んでいる。この用法は一般にも浸透しているが、法律による規定はない。
名称 | 量目[1] | 図柄・形式 | 素材・品位 |
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一円硬貨 |
外径:20mm 重量:1g 厚さ:約1.54mm [2] |
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五円硬貨 |
外径:22mm 孔径:5mm 重量:3.7g (約1匁) 厚さ:約1.5mm |
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十円硬貨 |
外径:23.5mm 重量:4.5g 厚さ:約1.3mm |
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五十円硬貨 |
外径:21mm 孔径:4mm 重量:4g 厚さ:約1.5mm |
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百円硬貨 |
外径:22.6mm 重量:4.8g 厚さ:約1.7mm |
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五百円硬貨 |
外径:26.5mm 重量:7g 厚さ:約2.0mm |
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[編集] 発行枚数の少ない硬貨
硬貨の発行枚数は、年によってばらつきがある。現行の硬貨のうち、比較的発行枚数の少ないものは、以下の通り[3]。カッコ内は、概略発行枚数。
昭和64年は7日間しかなかったため発行枚数がとても少なく超希少と思われがちだが、昭和64年銘の硬貨は同年3月頃まで製造されたため、発行枚数は他の年号に比べて比較的少ない程度であり、蒐集的価値はあまりない。また、昭和24年~昭和33年に発行された5円硬貨は筆五、昭和26年~昭和33年に発行された10円硬貨はギザ十という通称が付けられ、現在発行されている硬貨とは一見して異なる形状をもつ。
なお、このほか、ほぼ毎年、プルーフ仕上げという特殊加工が施された硬貨や、年によっては「ミントセット」と呼ばれる硬貨のセットも造幣局から販売されている。
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[編集] 変遷
- 1948年(昭和23年):5円硬貨発行。素材は黄銅。図柄は国会議事堂。穴は空いていない。
- 1949年(昭和24年):5円硬貨のデザインが、穴の空いた形状へ変更される。図柄も稲と水と歯車に変更。ただし、このとき発行されたのは、いわゆる「筆五」であり、現行のものとは形状が異なる。
- 1953年(昭和28年)1月15日:10円硬貨発行。素材は青銅。ただし、このとき発行されたのは、いわゆる「ギザ十」であり、現行のものとは形状が異なる。
- 1955年(昭和30年)6月1日:現行1円硬貨発行。素材はアルミニウム。
- 1955年(昭和30年)9月:50円硬貨発行。素材はニッケル。図柄は菊の花一輪。
- 1957年(昭和32年)12月11日:100円硬貨発行。素材は銀。図柄は鳳凰。
- 1959年(昭和34年)2月16日:10円硬貨が、側面の溝の無い新しいデザインに変更される。
- 1959年(昭和34年)2月16日:100円硬貨の図柄が鳳凰から稲穂へと変更される。
- 1959年(昭和34年)2月16日:50円硬貨のデザインを穴の空いた形状へ変更する。
- 1959年(昭和34年)2月16日:5円硬貨の字体を旧字体から新字体、楷書体からゴシック体へ変更する。
- 1967年(昭和42年):現行100円硬貨発行。(素材が銀→白銅へ。図柄も桜の花三輪へと変更。)
- 1967年(昭和42年):現行50円硬貨発行。
- 1982年(昭和57年)4月:500円硬貨発行。
- 2000年(平成12年)8月1日:500円硬貨発行。偽造防止を図るため、素材およびデザインを変更し、潜像を施した。
[編集] 沿革
新貨条例が施行された明治以降の近代社会において、それまでの小判や分金、穴銭などといった手工芸的な硬貨に代えて、本格的な洋式硬貨を明治4年(硬貨上の年号は3年銘もある)から発行した。
本位金貨として、1円、2円、5円、10円、20円
貿易用銀貨として、1円、貿易銀
補助銀貨として、5銭、10銭、20銭、50銭
補助銅貨として、1厘、半銭(5厘)、1銭、2銭
が発行され流通した。
以降様々な材質でこれらの額面の多様な硬貨が製造されたが、戦後新円に切り替えの時、本位金貨を除いてすべて廃止となった。また本位金貨も昭和62年5月31日限りで廃止となり、現在は名実ともに管理通貨制度に移行した。
[編集] 記念貨幣
詳細は記念貨幣を参照
日本では、1964年(昭和39年)に発行された東京オリンピック記念の1000円銀貨幣および100円銀貨幣を初めとして、2007年(平成19年)に発行された2007年ユニバーサル技能五輪国際大会記念の1000円銀貨幣まで、53種類の記念貨幣が発行されている。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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