心射方位図法
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それゆえに、実際の2地点間の最短経路は、地図上でも最短距離になる。これは、光源を地球の中心に置き(故にすべての光線は表面に垂直に交わる)、地球表面に接する面に投影することによって可能になる。接点において歪みは最小になる。半球より狭い範囲が、有限の地図に投影可能である。
- 接点が赤道上にある場合、子午線は赤道に垂直な直線であるが、等間隔ではない。赤道は、それら子午線すべてに垂直な直線である。緯線は双曲線になる。
- その他の場合、子午線は極から出る放射線で、等間隔ではない。赤道は一つの子午線に垂直な直線である。(つまり等角写像ではない).
ほかの方位図法と同様に、接点からの角度は保たれている。接点からの地図上の距離をr(d)とし、実距離を関数dとすると、
- r(d) = Ctan(d / R)
となり、その垂直方向の縮尺は
である。これらから、垂直方向の縮尺は外側ほど大きくなるが、放射方向の縮尺はもっと大きくなる事がわかる。
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[編集] 用途
- 心射方位図法は、地震学で使われる。地震波は大円方向に伝搬するからである。
- 電波の信号も大円方向に伝搬するので、海軍などでも、発信源の方向探索のために使われる。
- もともと、半球までしか表現できないので、投影面1枚では地球全体を表現できない。ただし、地球に外接する多面体を用意し、その表面に投影し展開することで、平面に地球全体を表現できる。ダイマクション地図をはじめとして、展開図型の世界地図では最もよく使われる投影法である。
[編集] 歴史
心射方位図法は、タレースによって紀元前6世紀に開発された、最も古い地図の投影法であると言われている。
1946年 リチャード・バックミンスター・フラーは、正八面体版のダイマクション地図に心射方位図法を用いた。 1954年の正二十面体版のThe AirOcean World Map(空海一体世界地図)と題して発行された地図が、今日では有名である。
[編集] 外部のリンク
- http://atlas.cdx.jp/projection/prj01.htm
- http://www.progonos.com/furuti/MapProj/Normal/ProjPoly/projPoly.html (英語) 心射方位図法を用いた多面体地球儀の展開図
- http://www.bfi.org/node/25 (英語) バックミンシタ−フラー研究所のフラー投影の記述
- http://erg.usgs.gov/isb/pubs/MapProjections/projections.html#gnomonic (英語) アメリカ地質調査所の地図投影法の説明
- http://exchange.manifold.net/manifold/manuals/6_userman/mfd50Gnomonic.htm (英語)
- http://mathworld.wolfram.com/GnomonicProjection.html (英語)
- http://members.shaw.ca/quadibloc/maps/maz0201.htm (英語)
- 一般的な地図投影法の例と特徴の表(英語) radicalcartography.netより
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
Snyder, John P. (1987). Map Projections - A Working Manual. U.S. Geological Survey Professional Paper 1395. United States Government Printing Office, Washington, D.C. この論文は、アメリカ地質研究所(USGS)のページからダウンロードできる。