帰って来たヨッパライ
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帰って来たヨッパライ | ||
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ザ・フォーク・クルセダーズ の シングル | ||
リリース | 1967年12月25日 | |
ジャンル | J-POP | |
レーベル | 東芝音楽工業 | |
チャート最高順位 | ||
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ザ・フォーク・クルセダーズ 年表 | ||
帰って来たヨッパライ (1967年) |
イムジン河 (1968年) (発売中止) 悲しくてやりきれない (1968年) |
帰って来たヨッパライ(かえってきたよっぱらい)は、ザ・フォーク・クルセダーズのデビューシングルであり、同グループの代表曲である。一般には『帰ってきたヨッパライ』と表記されることが多いが、初版レコードでは『帰って来たヨッパライ』となっている。英文曲名表記では“I Only Live Twice”。当時の東芝EMIのレコードレーベルにはでたらめな英語題名が記載されることが多々あり、この題名は映画"007/You Only Live Twice"のもじり。
目次 |
[編集] 概要
1967年12月25日に東芝音楽工業(現・EMIミュージック・ジャパン)からシングル盤が発売され、早回しのテープと奇想天外な歌詞で一躍大反響を呼んだ(レコード番号CP-1014、B面は『ソーラン節』を収録)。“アングラ・フォーク”のブームを生み出した曲である(アングラとは「アンダーグラウンド」[地下、の意]の略語である)。日本のロック音楽史上初のミリオン・シングルはこの曲だと言われている。日本のコミックソングの代表的な作品としてよく知られる。
曲の間奏はビートルズの「グッド・デイ・サンシャイン」の間奏がパロディ風に演奏され、最後の僧侶の読経ではお経に交えて同じくビートルズの「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ! (A Hard Day's Night)」の歌詞の最初の部分が読まれる。そしてベートーヴェンのバガテル「エリーゼのために」が奏され曲を閉じる。
もともとは、「フォーク・クルセイダーズ」名義だったインディーズ(自主制作)LPの「ハレンチ・ザ・フォーク・クルセイダーズ」に収められていた曲である。当時のフォークルのメンバーは北山修、加藤和彦、平沼義男、芦田雅喜の4人であったが、芦田がヨーロッパ旅行に出かけることになり、解散記念として自主制作LPを録音した。彼らが好きだった名作のカバーの中に、1曲のオリジナル作品を含めることが決まり、本作はその時に生み出された。作曲は加藤和彦であるが、作詞は「ザ・フォーク・パロディ・ギャング」と表記された(実際の作詞者は松山猛)。
1967年の晩秋に、この曲がラジオ関西の深夜番組で放送されて近畿地方で密かなブームとなり、それを聞き付けた『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)の初代パーソナリティの一人、高崎一郎が『高崎一郎のオールナイトニッポン』でかけたところこれがきっかけとなり、たちまち日本全国に反響が広がった。それで当時の全てのメジャー・レーベルがフォーク・クルセダーズとシングル盤の発売交渉を行い、日本ビクターのフィリップス事業部(現・ユニバーサルミュージック)と東芝の2社に絞られた[要出典]が、東芝だけがフォークル側の「年内発売」の条件を受け入れ、彼らが吹き込んだ当初のモノラル録音のテープで発売する権利を得た。この出来事がきっかけで、レコード会社の「原盤制作権」がクローズアップされることにもなった。シングル盤の売り上げは東芝の発表で280万枚以上に達したという。
早回しテープを使った曲であるため、ライブのコンサートで演奏することができない。その点でも特異な作品であった。そのため、ロックアレンジで演奏されることもあった。このときははしだがメインボーカルを取っている。(レコーディング時のボーカルと12弦ギターは加藤和彦)2002年のフォーク・クルセダーズ新結成では、フォークルの演奏(アコースティック)にゲストの泉谷しげるが普通の声で歌っている。
[編集] 映像作品
この曲の予想外の大ヒットを受けて、1968年には大島渚監督による映画化まで行われた。監督:大島渚 脚本:田村孟、佐々木守、 足立正生、大島渚による
この映画にはフォーク・クルセダーズのメンバーとして北山修、加藤和彦、端田宣彦の3人が出演している。(前述の制作背景により、端田は早回しテープの録音には参加していない。)
他にも、1995年公開映画の『勝手に死なせて!』の作中においても、この曲がメインテーマ曲として使われている。
[編集] 補足
作曲家團伊玖磨はいち早くこの曲を評価した。そのこともあり、フォーク・クルセダーズは團伊玖磨の童謡「山羊さんゆうびん」を『紀元弐千年』(フォーク・クルセダーズのアルバム)でも、2002年新結成時のライブでもきっちりと歌っている。
大東文化大学教授で音楽評論家の篠原章は、著書『J‐ROCKベスト123―1968~1996』(講談社文庫 ISBN 4062632764)において、「帰って来たヨッパライ」が大ヒットした1968年以降を「日本のロック時代」と定義している。
園山俊二原作のアニメ『はじめ人間ギャートルズ』でも、主人公の少年・ゴンの父が一度死んでしまう回で、父が天国に上っていくシーンでこの曲が流れている。
タツノコプロ製作のアニメ『ハクション大魔王』の企画当初のタイトルは、本曲の歌詞に由来する『天国よいとこ』であった[1]。
1979年には、本作のディスコアレンジ版『ディスコ・帰って来たヨッパライ』(歌:INVADER)が発売された。
2007年に小梅太夫によるカバーヴァージョンがシングルでリリースされている。
[編集] 関連項目
オリコン週間シングルチャート第1位 1968年1月25日付~1968年2月22日付(5週連続) |
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前作: 黒沢明とロス・プリモス 『ラブユー東京』 |
ザ・フォーク・クルセダーズ 『帰って来たヨッパライ』 |
次作: 伊東ゆかり 『恋のしずく』 |