将太の寿司
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ウィキポータル |
漫画作品 |
日本の漫画作品 |
漫画家 |
日本の漫画家 |
漫画原作者 |
漫画雑誌 |
カテゴリ |
漫画作品 |
漫画 - 漫画家 |
プロジェクト |
漫画作品 - 漫画家 |
『将太の寿司』(しょうたのすし)は、寺沢大介による漫画作品(料理漫画)、およびそこから派生したドラマ・アニメ・小説作品。この項目では、直後に開始された続編『将太の寿司~全国大会編~』についても扱う。
目次 |
[編集] 概要
『将太の寿司』は1992年から1997年のマガジンSPECIALおよび週刊少年マガジン誌上で連載され、単行本が全27巻(文庫では全14巻)刊行されている。続編『将太の寿司~全国大会編~』も1997年より2000年まで同紙に連載され、こちらは単行本が全17巻(文庫では全8巻)刊行されている。
第1作『将太の寿司』は第20回講談社漫画賞を1996年に受賞するとともに、テレビドラマ・アニメ・小説など各種メディアでも展開された。
東京の名店「鳳寿司」で働く関口将太が、創意工夫を凝らした寿司によって新人寿司職人コンクールを勝ち進むというストーリーを主軸に、寿司によって人間関係を修復したり悪人を倒したりなどのエピソードが挿入される構成を基本としている。
『全国大会編』では、アニメ版『ミスター味っ子』程ではないにせよ、寿司を食べた者の過剰なリアクションが散見された(審査員が想像の中で空を飛ぶなど)。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] あらすじ
[編集] マガジンSPECIAL連載『将太の寿司』
巴寿司・小樽の面々・佐治やシンコなどの存在しないパイロット版である。単行本では1巻から2巻、文庫版では14巻に収録されている。
東京の名店「鳳寿司」の追い回し(雑用係)として働く関口将太と、彼を取り巻く職人たちのドラマを描いた短編・中編集となっている。最終エピソードである大政の寿司握りコンテスト出場から独立までの話には、今後の週刊連載での縦糸となる「寿司バトル漫画」の骨格がみられる。
[編集] 週刊少年マガジン連載『将太の寿司』
舞台は北海道の小樽から始まる。主人公の関口将太の実家は「巴寿司」という寿司店を営んでいたが、巨大チェーン店の「笹寿司」による度重なる嫌がらせのせいで最低の材料しか手に入らず、店は廃れていた。将太は笹寿司の鼻をあかすために「寿司握りコンテスト」の出場を父親に提案するが、父親は笹寿司の手による海難事故で重傷を負い、コンテストに出場できなくなってしまう。代わってコンテストに出場した将太は、東京の名店「鳳寿司」の親方である鳳征五郎に職人としての心がけを認められ、一人前の寿司職人になるため単身東京へ向かう。
鳳寿司にて修行を続ける将太に、征五郎親方は「新人寿司職人コンクール」出場を勧める。先輩・佐治安人との出場権を賭けた四番勝負に将太は勝利し、佐治は「入りたての新人に負けたとあってはメンツが立たない」と言い残して鳳寿司を去っていった。
こうして新人寿司職人コンクールは幕を開ける。強敵たちとの戦いをくぐり抜ける最中、再び登場した佐治によって将太は、この大会が全国新人寿司職人コンクールの東京大会であったことを知らされる。
決勝戦・プレーオフと勝ち進み全国大会への切符を手に入れ、将太はついに鳳寿司のツケ場に立つことを許された。未だ見ぬ寿司職人との戦いを、そして京都代表・佐治安人との再戦の日を待ちながら、将太は寿司を握るのであった。
[編集] 週刊少年マガジン連載『将太の寿司~全国大会編~』
全国大会に参加した将太を待ち受けていたのは、孤高のハイパー寿司職人・大年寺三郎太を始めとする圧倒的なライバル達、強化される勝負の課題、そして笹寿司の魔手であった。
笹寿司の一人息子・笹木剛志は、将太の行く先々に待ち受けて材料を買い占めるなどの妨害を行い、またコンクールの勝利と将太の破滅の為に「笹寿司四包丁」なる凄腕の職人たちをも雇っていた。
数々の苦境を跳ね返し、将太はより強靱な職人へと成長してゆく。
[編集] 連載終了後の読み切り
- 韓国編
週刊少年マガジン2000年44号に掲載された読み切り作品。当初は全国大会編に組み込む予定であったが、諸事情により果たせなかった(全国大会決勝戦でその設定があったことが伺える)。全国大会編最終巻に掲載されている。
かつての悪事によって業績が悪化した笹寿司が奮起しようと韓国へ進出したものの結果が思わしくなく、笹木剛志がかつての宿敵だった将太に助けを求めたところ将太はそれに応じて韓国へ向かった。そこで雑用に不満を持つ新入り職人の泰志(テジ)と共に新しい食材を求めて奔走する。
- 創刊50周年特別編
週刊少年マガジン50周年特別企画として2008年19号に掲載された読み切り作品。連載終了から8年が経過しているため作画タッチが大幅に変化している。連載終了時点から3年後が舞台で、将太とその父の物語が描かれている。また、コンテストの観客の中に作者の別作品である「食いタン」の高野聖也、並びに出水京子と思われる人物が描かれている。
[編集] 漫画版の主な登場人物
カッコ内は異名/読み仮名(異名の無いキャラクターは読み仮名のみ)。
[編集] 鳳寿司
- 関口将太(せきぐち しょうた)
- 北海道は小樽の寿司屋「巴寿司」の長男。怪我をした父親の代わりに寿司握りコンテストへ出場したのを切っ掛けとして家業を継ぐ決心を固め、中学卒業と同時に東京の名店「鳳寿司」へと修行に入る。鳳征五郎や父をとても尊敬している。
- 「スポ根もの」に通じる、いわゆる努力の才能を持っており、技術や知識の習得に余念がない。経験の浅さを創意工夫と努力で補うことを信条としており、食べる者への真心を込めた寿司は人の心を打つ。彼の中学の同級生からも慕われ、何度となく彼らに助けられている。
- 全国大会編の3年後を描いた読み切りでは渡辺久美子と結婚しており、彼女に赤ちゃんができてもうすぐ父親にもなる予定。全国大会編最終話では和解した笹木との関係も北海道に進出する東京のチェーン寿司店の手口を「汚い」と評する彼に対し「お前が言うな」と的確なツッコミを入れているあたり、連載時の険悪な関係はそこに感じられない。
- 小畑慎吾(シンコ/おばた しんご)
- 鳳寿司の追い回し(雑用係)で、将太よりは半年ぶん先輩。「コハダに成っていない」という意味合いで、名前をもじって「シンコ」と先輩や将太からは呼ばれている。山口県の農家出身。
- 追い回しとしての仕事には手抜きがなく誠実だが、精神的に脆い面があるようで、失敗を気に病んで逃亡したことがある。将太の説得により鳳寿司に復帰した後は職人になるため一層の努力を行っており、全国大会編ではその成果を見ることができる。
- 吾子飛男(あこ とびお)
- 将太の後に入ってきた鳳寿司の追い回し。高校を中退し、母親からの要望で鳳寿司に入ってきた。ジャンクフード漬けで寿司の味が分からない、隠れて煙草を吸う、失敗にふて腐れて飲酒をするなど、問題の多い少年であったが、将太のフォローや叱咤によって真っ直ぐな性根を取り戻し「天下の鳳寿司のパシリ」を自認するようになる。
- 鳳征五郎(おおとり せいごろう)
- 当代の名人と言われた鳳寿司の親方。創業者ではなく婿入りして店を継いだ。話によって五代目だったり六代目だったりしている。奥方は病弱のため店には出てこない。征五郎本人も身体の衰えによって既に一線を退いており、将太がツケ場に立ってからはほとんど寿司を握らなくなる。ただし、その握りは今なお岩崎民次が褒め称えるほどのもの。
- 全国大会編にて白魚の尾を折った事で引退を決意し、大政小政の独立に合わせて店を畳む予定だったが、鳳寿司に戻ってきた佐治を親方へ迎え入れたことにより安心して隠居生活を送る一方、岩崎民次の熱望により本人の後を継いで「全日本寿司協会会長」の職につく。
- 藤田政二(大政/ふじた せいじ)
- 親方に次ぐ年長の職人。「大政(おおまさ)」または「政(まさ)」と呼ばれている。既婚で娘が1人居る。全国大会編の最終回にて「鳳寿司」の屋号を引き継ぎ、独立。
- 岡村秀政(小政/おかむら ひでまさ)
- 大政と並んで鳳寿司を支える職人。「小政(こまさ)」または「秀(ひで)」と呼ばれる。自身が参加していたコンクールの東京大会決勝ではかんぴょうを使った海苔巻きを締めに使って優勝した(審査員だけでなく、世間のかんぴょうの扱いに絶望してかんぴょう作りを止めると言っていた職人の心をも揺さぶった)。
- 第1部終盤にて雅子の財産目当てで近付いてきた高山信一郎と婚約の座を賭けて対決(この当時は婚約者のフリでしかなかったが)、オレンジを使った高山のサバ寿司に対し、雅子の父親が作る豆腐を使ったサバ寿司で勝利し、それをキッカケに雅子と付き合う様になる。
- 全国大会編の最終回にて雅子と結婚し、「鳳寿司」の屋号を引き継いで雅子の実家の隣に独立。
- 佐治安人(さじ あんと)
- 将太より5年先輩だがツケ場には入っておらず、材料の仕込みや米炊きを担当していた。
- 勝手の分からぬ将太にいきなり米炊きを命じて放置する、小樽からの将太への手紙を勝手に処分するなど陰険な行動が目立っていたが、新人寿司職人コンクールの出場権を賭けて将太と激しい三番勝負を繰り広げるうちに、将太を一人の寿司職人として認めるようになり、敗北を契機に鳳寿司を去る。
- その後は各地を放浪したのち(北海道で将太の父関口源治とも会っている)京都へ流れ着き、ここから改めて新人寿司職人コンクールへ出場。塩一粒の差異も見逃さぬ「絶対味覚」を習得し、将太の前へ再び立ちはだかる。
- 実家は海苔の生産業を営んでおり、既に死亡した父・重人(なお、おじ高人がいる)とは絶縁したままであったが、勝負をきっかけに父を理解する。全国大会編では切島傀の妨害でアサクサノリが使用不能になった際、海岸に漂着したアサクサノリを絶対味覚で選び分けて精製した事もある。
- コンクール終了後は、鳳征五郎や職人達の強い要望により鳳寿司に復帰、親方となる。
- その激しい性格から、慎吾によると「サージェント(軍曹)」の綽名を持つが、初登場時の紹介以外では、ごく小さいコマにて一度しか使われていない。
- 名前の表記に揺れが多く、単行本初版では「やすと」だったり「あんと」だったり一定していなかった。
- 富山雅子(とみやま まさこ)
- 配膳係の女性。はっきりと物を言う気っ風の良い性格をしている。
- 実家は谷中にある老舗の豆腐屋。第1部の終盤にて実家の財産目当てで近付いてきた高山信一郎との婚約を父親に迫られ、断る口実を作る為に小政を引き合いに出した。
- 小政の高山との寿司対決勝利後、互いに妙な雰囲気になって付き合う様になったとのことで、全国大会編の最終回では小政と結婚し、その実家の隣で寿司屋を開業することになる。
[編集] 『将太の寿司』の寿司職人たち
- 清川流也(きよかわ りゅうや)
- 新人寿司職人コンクール・東京大会に出場した「牛若丸」の異名を持つ寿司職人。名店「寿司玄」の店主で「愛宕の大天狗」と呼ばれる父・参次郎から5歳の頃からスパルタ指導を受け、10歳でツケ場に立ち、大会参加時にはベテラン職人の小政でさえ「化け物」と呼ぶほど凄腕の職人になっていた。性格は「天狗」と呼ばれる父に似て傲慢でエリート意識が強く、自分の作った寿司の味は凡人には分からないと考えている。
- 流也の父の参治朗はかつて鳳寿司で働いており、征五郎の兄弟子だった。しかし先代の親方は傲慢な参治朗ではなく征五郎を跡継ぎに選んだ。参治朗は征五郎を恨んで、鳳寿司に度重なる嫌がらせをしてきた。息子の流也も父の憎しみを受け継いでおり、対決が始まる前は将太を完全に見下していた。
- 将太とは新人コンクール2回戦・早握り勝負で対決。普通の職人は寿司を5手で握るが、流也は長年の修行で体得した「小手返し」という技を使って3手で握る。その為、早握り勝負では流也が圧倒的に有利かと思われたが、新たな技「たて返し」を会得した将太は流也と互角の勝負を行う。結果、数ではわずかに流也が上回ったが、味では早握りの中でも寿司を握る際の基本を守った将太が勝っており、流也は敗北した。敗れた流也を参治郎は罵倒と共に激しく打ち据え、自分達の親子関係の醜さを晒した。
- 下山鉄雄(しもやま てつお)
- 新人寿司職人コンクール・東京大会に出場している将太と同年代の母親思いの職人で「芝浜鮨」にて修行。物心付く頃から父親の漁船でエビに触れる様になり、父親が他界してからは海女をしている母親を助けるべくエビの勉強をしていた(彼のその生い立ちに将太は彼も自分と同じだと涙した)。その結果、エビの見立てと扱いに関しては百目の辰も一目置くほどのエビ名人となった。中学卒業と共に海女を続けて心臓が弱くなった母親を楽にさせてあげたいと生活の為に得た知識を生かせる寿司職人を目指して芝浜鮨で修行を始めた。
- 将太と勝負する前はエビについて気楽に考えて質の落ちたエビばかりを選んでいた将太を叱咤した。将太との勝負で使ったクルマエビとボタンエビは共に母親から送られてきたものである。
- 将太との勝負に敗れた後は母親のために寿司職人を辞める決意を固めていたが応援に駆けつけた下山の母親の説得により思い留まった。
- 『全国大会編』の終盤でも登場し、母親と一緒に「鮨しもやま」を経営している。
- 紺屋碧悟(こうや へきご)
- 新人寿司職人コンクール・東京大会に出場している、高級寿司割烹「碧寿司(みどりずし)」の2代目店主兼寿司職人。
- 父親義郎は技術と共に人間性に優れていたが、息子の碧悟は幼い頃から甘やかされて育った為に手に負えないくらいワガママになり、その結果、天才的な技術と欲求の為には手段を選ばない上に負かした相手をも徹底的に罵倒する高慢な心を持つ職人になった(少年時代、自分より足の速い子を階段から突き落とした)。
- コンクールではその技術を(恫喝混じりに)見せつけることで相手を棄権負けに追い込み、将太との勝負ではテーマの「光りもの」を築地中から買い占め、更に将太達が苦労して取って来た黄金のサバを入れてある冷蔵庫のコンセントを抜いて腐らせようとした。自身は鯛の子供カスゴを使った姿寿司で挑むも材料の良さと自身のテクニックによる自惚れにより敗北(碧寿司の常連である五十嵐大臣曰く、"今の碧悟は親の七光りをまとっている未熟なカスゴでしかない"と評した)、更にそれに激高して自身の悪事を思わず暴露してしまった為に寿司協会から追放され、結果、碧寿司を廃業することとなった。
- その後は日本料理界に身を置き(ここでも先輩職人が気に食わずに、車で大怪我させた)、武藤鶴栄の力を借りて料理番組で将太と対決。その際にも自ら指定したテーマの「サンマ」を築地中から買い占め、番組の打ち合わせを騙って、部下の黒スーツの男に将太を自身の車に乗せてドアで左手を挟んで怪我をさせ、更に一般審査員を金で買収した。しかしながらサンマを自分で取る、右手だけで寿司を握ると言った将太の頑張りに黒スーツの男達は心を揺さぶられ、インチキの採点(3人の審査員は全て将太の寿司にポイントを入れていた)で碧悟が勝利した後に彼が働いた悪事の全てを暴露した。その結果、またも日本料理会から追放される羽目になった。
- 『全国大会編』にもわずかに登場し、ここでは高いプライドと上記の悪事が災いして職にもありつけずどん底の生活を送っていたところ、たまたまテレビ中継されていた新人寿司職人コンクールでの将太の努力に触発され、再起する決意を固めている。
- 奥万倉新一(おくまぐら しんいち)
- 新人寿司職人コンクール・東京大会に出場している包丁の名人で、落ち着いた雰囲気の漂う長身の若者。包丁技術を生かした細工寿司を得意とする。家庭の事情から不良になっていたところを「磯銀」の親方に救われ、寿司の道に入った。
- 東京大会の開会式で将太と隣同士になり、緊張のあまりアクシデントで飲み物を上着に溢してしまい涙目でオロオロする将太に自分の上着を貸して慰め、そのおかげで将太は落ち着きを取り戻す。
- 更に一回戦でいきなり将太と対戦するが、包丁技術の向上のみにとらわれていた将太と違い、味の点にまで心を配る余裕があり、勝負は奥万倉の完勝。本来なら将太はここで敗退するはずだったが、将太自身の包丁技術も一回戦で落とすには忍びない腕と評価され、特例で二回戦進出を許され、九死に一生を得る。
- その後も勝ち進み、決勝戦で将太をはじめ、清水、藤吉とともに決勝を争うが、他者の技術に(一回戦では全く寄せ付けなかった将太にさえ)驚く描写が多い、藤吉とともに途中経過順位で最下位争いをする事が多い等、一回戦での余裕ぶりとはあまりに対照的であった。(逆に、あの奥万倉でさえ最下位争いとなってしまうところが決勝のレベルの高さを表現しているとも言えるが)
- 将太以外の三人は皆、「米名人(藤吉)」「マグロ哲(清水)」「包丁名人(奥万倉)」という異名があり、前二人はその名の通り得意とする米、マグロ勝負で他者を寄せ付けず圧勝(ただし、どちらも将太には一度同程度の評価に並ばれている)しているが、奥万倉だけは圧勝確実と見られた包丁勝負でも将太に一勝を許してしまい、会場の評価もガタ落ちになってしまった事を負けた清水にさえ同情される始末であった。(その後の一勝負で初戦の「取りこぼし」を帳消しにするだけの圧勝を演じるわけだが)
- 右利きであるが、亡き後輩・修一の形見である左利き用の包丁も大切に持っている。
- 幼くして亡くなった息子の面影を自分に重ねていた養父母と縁を切ったことが、長く心のわだかまりとなっていたが、東京大会決勝戦で思い出の炙りイカを作り和解する。
- 年齢は当初は28歳となっていた(そのため自己紹介でも、28歳でありながら修行はまだ3年、歳が高いのに不思議に思われるでしょうが、と語っている)が、後に23歳と何の告知もなく変更されている。ただし、全国大会編の将太VS佐治では、23歳の設定では年上になる佐治を「佐治君」と呼んでいる等、28歳の設定でないと不自然なシーンもある。(奥万倉の現在の性格なら、年上の佐治を、本人に直接言うわけでないにしろ、君付けになるとは考えにくい)
- 木下藤吉(きのした とうきち)
- 新人寿司職人コンクール・東京大会に出場している海苔作りの名人で、将太と同年代。元々農家の跡取りで裕福な為傲慢な所があったが、あるきっかけで自分を変え今に至る。
- 活発でともすれば不遜とも見られるような性格をしているが、料理人の第一である「食べる者のことを考える」という基本をしっかりと押さえており、決勝戦前半を大きくリードする。
- 海苔作りのルーツとなっているのは佐治の父・重人が書いた本。
- 清水哲也(マグロ哲/しみず てつや)
- 新人寿司職人コンクール・東京大会に出場しているマグロ寿司の名人で、新人コンクールとしては年嵩な方。「マグロ哲」の通り名は伊達ではなく、マグロのみならずカツオ類の扱いでも他の追随を許さない。
- あくどい経営をする「寿司金」の雇われ職人で、マグロを安値で買い叩き高値で売り捌くという非道な商売をしていたが、これは初美という心臓病を抱えた妹の手術費用を稼ぐためのものだった。
- その寿司金に見捨てられるが、将太たち対戦相手や大和寿司の親方の助けによって初美は全快、譲り受けた大和寿司の屋号を「初美寿司」と変え独立し、再び東京大会決勝戦に臨む。
- 大和寿司の親方
- 中国残留孤児の息子・北川潤一を待ち続けてアナゴの寿司を作り続ける老人。佐治との三番勝負のヒント探しに奔走していた将太と知り合って以来、彼を自分の息子のように可愛がっており、数々の助けを行う。
- 後に息子との再会を果たし中国へ渡り、内陸部で寿司屋を経営するようになるが、この際に「自分の信頼する将太が助けたいと思っているなら、その者は信頼できる人物なのだ」という理由で清水哲也に妹の手術費用として数百万円と、無用となった大和寿司の物件を譲渡している。
- 吉野寿司のお内儀
- 伊豆半島で亡き夫の跡を継いで寿司職人をしている。代変わりで客が離れる中、小学生の息子裕一が懸命に育てた芽ネギで作った握りで客を呼び戻すが、その息子までも失い生気を失っていた。将太の再現した息子の芽ネギを見て、生きる気力を取り戻す。
- 富寿司の親方
- 出前を中心とした寿司屋の職人。鳳征五郎とともに働いたことがある。昔気質で、あまりの指導の厳しさに弟子がつかなかったが、将太は食らいついてきた。ぶっきらぼうではあるが、ひたむきに食べる人間のことを考えている。将太に出前寿司のイロハを叩き込んだ。
- 大年寺三郎太(東北の竜/だいねんじ さぶろうた)
- 作中で「東北の竜」「幻の寿司職人」「ハイパー寿司職人」などと評される超人。佐治安人と並び『将太の寿司』『全国大会編』の二編に跨って将太と対戦する寿司職人である。
- 『将太の寿司』では、鳳征五郎の命によって仙台寿司コンテストに参加した将太の前に、仙台笹寿司の職人として現れている。コンテストでは将太と同等の寿司を作り二店同時優勝を飾るが、笹木のやり口を知り笹寿司と絶縁。その直後に武藤鶴栄の計らいで将太との三番勝負を行い、大年寺はこれに圧勝。よい勝負だったと語り将太との再戦を誓う。
- その後の『全国大会編』では、宮城県代表として新人寿司職人コンクール・全国大会に参加。将太が乗り越えるべき巨大な壁として立ちはだかる。全国大会編で敗れた後も、ちょくちょく将太の応援に現れる。
- 無駄も隙もない完璧な技術は長い経験に裏打ちされたもので、25歳にして既に15年の修行期間を経ている。だが実際に寿司職人として店に入っていた期間は短いために定義の上では「新人」であり、新人寿司職人コンクールへの参加資格を持っているのだ……と征五郎によって説明されている。
- 常識外れの体力を持っており、特に全国大会編では、「熟れ寿司を作るために寿司を持ったまま数十kmを全力疾走する」「崖から冬の海へと飛び込み素潜りを決行し、5分以上耐えてタコを捕獲する」「濡れた身体を闘気で乾かす」「あまりの握りの早さに腕が沢山生えたように見える(千手握り)」「電車に轢かれたその日にアンコウを解体して寿司を握る」などの技術もさることながら規格外の精神力と熱意を持ち、その精神力や体力には将太も絶対に近い信頼を置いている。
- 高山信一郎(たかやま しんいちろう)
- 第1部終盤で登場した雅子の婚約者(但し親が勝手に決めたことであり、雅子本人は否定している)。フランス料理にも精通しており、パーティーでフォアグラの寿司を披露したり、オレンジに漬け込んだサバでフランスの大統領を絶賛させるなど料理人としての腕前は超一流であるが、パーティーで小政の足を踏みつけながら挑発する、小政の元へオレンジに漬け込んだサバを送りつけた後わざわざ電話をかけてきて嘲笑する、雅子に接近した理由が実は財産目当てであったなど性格の悪さは笹木剛志や紺屋碧悟に匹敵するほどである。
- 婚約の座を賭けての対決で小政のあみ出した豆腐を使ったサバ寿司の前に敗れた挙句、豆腐を馬鹿にしたことで雅子の父親の逆鱗に触れたため叩き出されてしまった。
[編集] 『将太の寿司~全国大会編~』の寿司職人たち
- 坂田利人(さかた としひと)
- 回転寿司「力寿司」に勤務する大阪府代表。幼い頃に同店の親方に励まされたのを切っ掛けに寿司の道へ入った。子供にも手軽に食べて貰える100円寿司の職人であることを誇りに思っている。子どもが大好きで、子どもたちからの支持も厚い。大阪弁を使う。
- 高田早苗(たかだ さなえ)
- デパートの地下食品売り場で持ち帰り専門の寿司店「寿司仙」に勤務する福岡県代表で決勝進出者の一人。宮崎県出身だが「オイは──」「ばってん」「──とよ」など、福岡の方言を使う。完全な独学で寿司握りを習得した変わり者だが、漬け込み(特に沖漬け)の技術は相当に高く、決勝戦も最後まで他の出場者と互角に渡り合った。
- かつては家族を助けるべく、“ラッシュ高田”と言う名前でボクシングで世界チャンピオンを目指していたが、不運なパンチで目を痛め、引退を余儀なくされた。決勝の後、地元に戻ったとみられる。
- 名の由来は、早稲田大学の設立者高田早苗か。女性の様な名前の為に、将太は対面するまで笹寿司四包丁の紅一点ではないかと勘違いしていた。
- 切島傀(きりしま かい)
- 北海道「笹寿司」の代表で、笹寿司四包丁以上に笹木が本命と目して後援する職人。決勝進出者の一人。針麻酔を使い食材を仮死状態にすることで、その鮮度を最高の状態に保つことが出来、生きて泳ぐマグロにさえ直接針を打ち込んで活け作りにしてしまう「瞬殺鮪」(しゅんさつしび)という能力がある。気性は極めて荒く、氷のような目をしており、将太に敵意をむき出しにする。
- 額に大きな傷跡が残っており、名前が不明だった頃は「傷の男」という通称で呼ばれていた。
- 当初は「切島傀」であると思われていたが、飛男と将太の調べによって、弟「切島由太(- ゆうた)」と兄「切島傀」の人格が同居している多重人格者ということが明らかになった。彼らは長崎の寿司割烹「きりしま」に伝わる針麻酔の奥義継承に兄弟揃って挑戦するものの失敗、その際に傀は彼の目の前で父親を道連れに入水自殺してしまった。彼の無念を感じとった由太は「切島傀」を身体に宿し、家を飛び出して独自に修行を続けていたのだった。
- 将太に敗れ腕の腱を切ろうとするがそんな由太の前に幽霊として傀が現れて、"俺達が目指すべきは関口将太の様な人を幸せにする寿司作りだ"と彼を導き、切島傀から切島由太に戻って、幼馴染・天宮万里子とともに新たにやり直すこととなる。
- 叶崎精二郎(鋼の精二郎/かのうざき せいじろう)
- 笹寿司四包丁の一人で、「小竹寿司」から参加する高知代表。「おんしゃ──」「──やきに」など高知県の方言が特徴で、坂本龍馬を連想させる豪放な性格。自分と互角以上に渡り合う将太を気に入り、将太との対戦で汚い裏工作をした笹寿司と決別する。
- 「鋼の精二郎」の異名は高い包丁技術と焼き物の技術を習得していることの現れである。目にも止まらぬ速さで繰り出される必殺技・秘包丁カマイタチは、切り口の滑らかさから醤油が全て弾かれるほど鋭利な切れ味を持つ。
- 「アホウが握ったトンマ寿司に、変態じじいが興味を持った」という名台詞(?)も残している。
- 武市半平(包丁修羅/たけち はんぺい)
- 笹寿司四包丁の一人。四回戦で外国人向け寿司創作勝負で大年寺に敗れる。名前のモチーフは武市半平太と思われる。
- 加藤以蔵(包丁鬼/かとう いぞう)
- 笹寿司四包丁の一人。四包丁ではエース格。四回戦の3番勝負で佐治から1勝を挙げるが、最後は敗れる。名前のモチーフは岡田以蔵と思われる。
- 四包丁の女
- 笹寿司四包丁・最後の一人にして紅一点。武市半平と大年寺の勝負に際し、大年寺を電車のホームに突き落とした。武市が敗れた後はぱったりと登場しなくなり、連載が完結した後も名前や素性は明らかにされなかった。(この点は単行本ラストで、作者自身もネタにしている)
- 月岡アキラ(つきおか あきら)
- 新潟県代表の職人。関口将太の全国大会第三回戦の相手。
- 幼少の頃、実の親から折檻を受け続け家出する。長岡で浮浪者同然になったところを、伝説の寿司職人「握り克」こと岡田克郎にみこまれ、寿司職人を目指すことになる。「神の右手」を持ち、僅か0.01gの狂いもなく酢飯を握ることができる技術を持つ。
- 将太との最初の勝負で引き分けた際には岡田を一度見捨てたが(心臓発作を起こした際にも冷たく突き放す様な言い方をしていた)、二度目の勝負で敗北した際に岡田と和解、2人で心の寿司作りを目指す様になる。
[編集] その他の人々
- 笹木剛志(ささき たけし)
- 北海道を中心に全国展開するチェーン店「笹寿司」社長の一人息子で、『将太の寿司』『全国大会編』のほぼ全編を通しての関口将太の宿敵。寿司を握ることはなく、経営陣に編入される形で家業を手伝っている。
- 同郷・同業かつ学校も学年も同じだった腐れ縁の将太に対してコンプレックスを持っており、何かと目の敵にしているため、巴寿司と将太に対して親子揃っての嫌がらせ(明らかな犯罪<侮辱罪をはじめ、営業妨害、窃盗、暴行、殺人未遂、放火、詐欺、恐喝、器物破損等>を含む。また嫌がらせに興じる余り、店の印象を自ら損ないそうな愚行<コンクールでの罵倒、店を視察に来た際に他の客の前で腐った食材を突き付ける等>に走る場面もある)を続け、かつてのクラスメイトたちからも嫌われている。
- 最終話では将太と和解。その後を描いた読み切り『韓国編』では笹寿司韓国支店の苦境を打破すべく将太に協力を依頼する。さらに3年後も将太とは友人であり続けているようだ。現在は改心している為、東京から北海道進出を狙ってコンクールを開催したりする寿司チェーンの手口を何度も「汚い」と評し、その度関口兄妹に「お前が言うな(将太)」「おたくもやってた事でしょ(美春)」と突っ込まれている。
- 渡辺久美子(わたなべ くみこ)
- 将太のクラスメイトだった女性。中学卒業と同時に東京へ渡った将太とは、離れ離れになっても電話や文通で応援を続けている。
- 全国大会編ではウィーンへの音楽留学を果たす。全国大会編の3年後の間に将太と結婚、現在彼との間に誕生した新しい命も体に宿っている。
- 関口源治(せきぐち げんじ)
- 将太の父親で、巴寿司の親方。妻の春子とは死別している。小樽一の寿司屋と評判であったが、笹寿司の妨害にあって店は凋落、さらに物語の開始から間もなく海難事故で重傷を負い、将太に寿司握りコンテストの出場を託す。
- 東京へ将太が修行に出てからは、帰る家を守る為に痛めた身体を押して店を開けている。
- 将太が全国大会の決勝戦に進んだある日、身体への無理が祟り昏倒、意識不明となってしまうが回復し大団円に花を添える。番外編にも登場。
- 関口美春(せきぐち みはる)
- 将太の妹。父と共に小樽で将太が修行を終えて店を盛り立ててくれる日を心待ちにしている。
- 百目の辰
- 本名・宇崎辰巳。将太とあまり年は変わらないが、築地で知らぬ者は居ないという目利きの名人(通称「百目」の由来)。当初は将太を冷たくあしらっていたものの、その熱意を認めてからは(将太の境遇が自分に似ていると感じた為)目利きの技を伝授したり良い食材を提供したりと積極的に支援している。
- 彼の父親もまた目利きの名人であったが、食材を提供した店側のミスで1人の女の子が食中毒で死に追いやられ、その責任をなすりつけられたことにより信用を失い、それが元で他界した。彼の父親曰く、責任を自分になすりつけられたことより娘を死に追いやられた母親の表情が頭から離れないとのことで、死ぬ間際には辰に目利きの重要さを諭した。
- 貴志
- 母親と死別した少年。生活は相当に苦しく親戚が引き取ろうと申し出るほどだが、それでも父親の元にいようとする。将太を兄のように慕っている。卵焼きが好物。
- 貴志の父
- 妻とは死別。借金を抱えて生活は苦しいが男手一つで息子を育てている。船に乗っていた経験があり、世話になった将太のために嵐の中漁をしたりする。貴志の学校の弁当も彼が作るが、一度忙しさにやむなく納豆だけを入れてしまい、それが原因で貴志はしばらく苛めに遭う事になった。このエピソードから、某匿名掲示板では「納豆親父」と揶揄される事がある。
- 北川潤一(きたがわ じゅんいち)
- 大和寿司の親方の息子。中国残留孤児。中国の内陸部・吉林省で中華料理店を経営する常夫妻に拾われて育てられ、跡取りとなっている。後に親方を中国に招き、その寿司屋の経営を助けている。中国で経営不振に陥った親方の寿司屋を立て直すべく日本の将太に応援を依頼する。
- 米村昌幸(よねむら まさゆき)
- 大手寿司チェーン「寿しとぴあ」の社長。富寿司の親方のやり方に反発して店を飛び出し、格安豪華弁当をひっ提げて富寿司の親方と将太にひな祭り対決を挑むものの敗れ、食べる人の心を教えられて反省し富寿司の親方と和解する。
- 加藤直子(かとう なおこ)
- 鳳寿司の常連客の孫娘。体調を壊し魚が食べられなくなった祖父を貝の寿司で救った将太に一目惚れしている。鳳寿司の慰安旅行に同伴したり、飛男と共に全国大会決勝戦の応援に行くなど登場回数が多かった。
- 丸川源介(まるかわ げんすけ)
- 高級寿司チェーン「大王鮨」の会長。息子はチェーンの社長である。叶崎精二郎と関口将太の対決の審判をつとめる。美味しいものを食べると体中から寒いぼが出る。子どもっぽい面が強いが、力寿司を乗っ取ろうとした息子を厳しくたしなめる一面もある。
- 岡田克郎(おかだ かつろう)
- 月岡アキラの師匠。若い頃は日本一の寿司職人「握り克」と言われていた。
- 流れ職人の頃、鳳寿司で修行をしたことがある。あまりの技術の高さに鳳寿司の客、若い職人達は驚き、それを感じた克郎は、征五郎を除く鳳寿司の職人全員(この頃藤田政二、岡村秀政達はいない)を引き抜き、鳳寿司を辞め独立した。開店当初は連日満員であったが、次第に客足が遠のき、最終的に閉店に追いやられる。閉店がきっかけで昼、夜構わず酒を呑むようになり心臓を悪くした上に腕が利かなくなり、全国大会第三回戦の最中に倒れたところを、皮肉にも征五郎の弟子である関口将太に助けられる。
- 鳳征五郎とは寿司に対する考え方が全く違い、征五郎が客の好みや、体調の良否、食欲の有無に気を使って寿司を握っていたのに対し、克郎は、己の技術の高さを誇っており、自分の思い通りの寿司を握っていれば客は満足してくれると考えていた。
- アキラに一度は見捨てられながらも、アキラが自分の二の舞にならぬ様に将太に懇願したほどにアキラを思っており、後に2人で心の寿司作りを目指す様になる。
- 加納弥平(かのう やへい)
- 「加納鮨」の親方。築地では伝説的な目利きの達人で隠してあるアワビさえ嗅ぎ付けてしまう能力がある。空襲で後継者の息子を失ったが、佐治との決勝を控えた将太を後継者と見定め、目利きを鍛える。
- 田辺容堂(たなべ ようどう)
- 人間国宝の刀鍛冶職人。東京大会の優勝賞品である4本の包丁を貰い恐縮する将太に対し、包丁は宝物ではなく使ってこそ意味があることを教える。
- 有津柿太郎(あろうづ かきたろう)
- 人間国宝の焼物職人、全国大会決勝戦の審査員も務めた。課題用として提供した1枚500万円の皿を切島由太に割られ謝罪する将太に対し「皿は使うためにある、使えば割れるのは当然」と言って許し、代わりの白い皿を貸し与えた。
- 溝口安二郎(柏手の安/みぞぐち やすじろう)
- 新人寿司職人コンクールの東京大会では審査委員長を務め、その後も度々登場する食通。全国握り寿司協会創立者の息子であり、小さい頃から修行していたエリート。現在は父の後をついで全国握り寿司協会会長。「柏手の安」という通り名を持っており、美味い物を食べるとつい「パァン!」と柏手を打ってしまう。穏和な性格で、ある理由でコンクールをすっぽかした将太たちを見逃す度量も持っているが、不正行為や不誠実な仕事には厳しい。
- 武藤鶴栄(料理人殺し/むとう つるえ)
- 東京大会に優勝した将太の元へ現れ、無理難題をふっかける食通。「探味塾」塾頭。辛辣極まりない評論で「料理人殺し(りょうりにんキラー)」と呼ばれ各界より恐れられているが、その味覚の水準は極めて高い。ただし、紺屋碧悟を担ぎ出して関口翔太と対決させ、碧悟が不正をしたために、審査員だった作家・水上勉太郎(モデルは水上勉か)から一時評論を慎むよう宣告されるなど、味以外の点はお粗末な側面もある。その極めて攻撃的な性格ゆえに息子剛とは不仲であり、和解することは無かった。
- 全国大会編では審査員として度々登場し、やはり将太たち出場者に難問を課す。
- 目を付けた料理人への厳しい態度は、その者の成長を願う故のものとされるが、武藤自身はそれを口にも態度にも表すことは無いため作中においての理解者は少ない上、単なる料理人潰しのための口実にしていた時期もあった。ある港町出身であり、そこを離れ都会で成功して帰郷した際に故郷の荒れはてた姿を見て嘆いた過去を背負っている。
- 当初はアボカド寿司を食べにきた外国人に「味も判らない野蛮人」と陰口を叩いたり、「寿司は日本料理や中華に遠く及ばない」と寿司業界を激しく非難したりと完全な悪人として登場。幾度と無く将太たちに煮え湯を飲まされ、大和寿司絡みの一件でようやく己の愚かさに気づいて改心した。それ以降は純粋に将太の成長を願い、見守っている。最終話で新作を出版するが、奇しくも題名は『将太の寿司』であった。その印税を巴寿司に渡し、借金返済の原資にさせる。
- 岩崎民次(識味/いわさき たみじ)
- 全日本寿司協会の会長を務める老人で、「識味(あじしる)」の異名を持つ。プライドの高い武藤ですら頭の上がらない大人物。
- 15歳で寿司の道に入って70年が経過している。寿司職人だった若い頃に激務と修行によって盲目となっており、その際に視覚以外における異常なまでの感覚を体得している。その味覚は、武藤や溝口でさえ感づかない味の差異を敏感に感じ取る。
- 常に目を閉じているが、真に美味いものを食べた時のみ目が開き、眉を跳ね上げる反応を示す(美味さによって片眉・両眉と差があるが、両眉を上げたのは30年近くないという)。
[編集] 関口将太の全寿司勝負
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。 →[記述をスキップ]
- 第一回小樽寿司握りコンテスト(将太の寿司3巻)
- 優勝 笹寿司(将太は巴寿司代表で出場し、「マグロ尽くし」で善戦したが、笹寿司による審査員の買収により敗退)
- 新人寿司職人コンクール鳳寿司代表戦 対佐治安人(将太の寿司4巻~7巻)
- 一番勝負 鯛 勝者…関口将太
- 二番勝負 アナゴ 勝者…佐治安人
- 三番勝負 光りもの 引き分け
- 四番勝負 巻きもの 勝者…関口将太
- (この勝負で将太は、新人寿司職人コンクール鳳寿司代表となり、佐治は鳳寿司から去り、寿司修行の旅に出る)
- 小樽すずらん祭 ちらし寿司大会(将太の寿司7巻~8巻)
- 優勝 巴寿司
- 新人寿司職人コンクール 東京大会(将太の寿司8巻~10巻)
- 一回戦 細工寿司 二回戦進出者・・・奥万倉新一、関口将太
- 二回戦 握り 対清川流也(寿司玄) 勝者…関口将太
- 三回戦 エビ 対下山鉄雄(芝浜鮨) 引き分け
- 三回戦 エビ(クルマエビ以外)対下山鉄雄(芝浜鮨) 勝者…関口将太
- 準決勝 光りもの 対紺屋碧吾(碧寿司) 勝者…関口将太
- 新人寿司職人コンクール 東京大会決勝(将太の寿司11巻~
- 決勝進出者・・・関口将太(鳳寿司)、奥万倉新一(磯銀)、木下藤吉(銀寿司)、清水哲也(寿司金)
- 第一課題 米の目利き 勝者…木下藤吉
- 水の目利き 勝者…関口将太
- 炊飯 勝者…木下藤吉
- 第二課題 トロ 勝者…関口将太、清水哲也
- 赤身のヅケ 勝者…清水哲也
- (第二課題終了後に清水哲也が寿司金を解雇され、初美寿司としてコンクールに参加)
- 第三課題 アオリイカ 勝者…関口将太
- ハマチ 勝者…奥万倉新一
- 第四課題 カツオ 勝者…清水哲也
- 第五課題 赤貝 勝者…木下藤吉
- 貝(自由課題) 勝者…関口将太
- <この時点での順位>将太…73P、清水…70P、藤吉…66P、奥万倉…65P
- 最終課題-一人前の寿司-
- 一品目 将太…ハッカク、清水…ヒラメ昆布じめ、藤吉…アナゴ、奥万倉…星ガレイ
- 二品目 将太…太刀魚、 清水…ヒラメのエンガワ、藤吉…タイの湯霜造り、奥万倉…コハダ
- 三品目 将太…ブリトロ、清水…サーモン、藤吉…煮イカ、奥万倉…マグロのヅケ
- <中間得点>藤吉…96P、将太…93P、清水…85P、奥万倉…80P
- 四品目 藤吉…ウニの軍艦巻き、将太…ウニの握り、清水…タイラガイ、奥万倉…煮ハマグリ
- 五品目 藤吉…タコ、将太…タコの桜煮、清水…タコ、奥万倉…タコ
- 六品目 藤吉…関アジ、将太…コハダ、清水…シメサバ、奥万倉…サヨリ
- <中間得点>将太…123P、藤吉…116P、清水…110P、奥万倉…100P
- 七品目 藤吉…シャコ、将太…芝海老おぼろ、清水…クルマエビ、奥万倉…炙りイカ
- 八品目 藤吉…車エビ、将太…小柱軍艦、清水…マグロの皮、奥万倉…海老のケン細工寿司
- 九品目 藤吉…あぶり大トロ、将太…大トロステーキ、清水…大トロステーキ、奥万倉…大トロ
- 十品目 藤吉…桜葉の塩漬け、将太…芽ネギ、清水…シソの葉、奥万倉…シイタケ
- プレーオフ'
- ヒラメ尽くし 対清水哲也 勝者…関口将太(優勝)
- 新人寿司職人コンクール 全国大会一回戦
- 第一課題 マンダイのキッツケ 10点満点
- 第二課題 玉子焼き 0点
- 第三課題 マグロ勝負 10点満点
- 総合得点が40点満点中20点で二回戦進出(19点以下は失格)
- 新人寿司職人コンクール 全国大会二回戦 対叶崎精二郎
- 第一課題 マグロ尽くし 勝者…関口将太
- 第二課題 クジラ 勝者…叶崎精二郎
- 第三課題 エビ 勝者…関口将太
- 新人寿司職人コンクール 全国大会三回戦 対月岡アキラ
- 課題 白魚の握り 引き分け
- 延長戦 カニの握り 勝者…関口将太
- 新人寿司職人コンクール 全国大会四回戦 対大年寺三郎太
- 先に2連勝した方が勝者
- 第一課題 ネタ当て 勝者…大年寺三郎太
- 第二課題 タイ 勝者…関口将太
- 第三課題 牛肉 勝者…大年寺三郎太
- 第四課題 タコ 勝者…関口将太
- 第五課題 島の幸 勝者…関口将太
- 新人寿司職人コンクール 全国大会決勝
- 決勝進出者…関口将太(東京代表)、佐治安人(京都代表)、切島傀(北海道代表)、高田早苗(福岡代表)
- 8戦行ううち、上位2名が最終決戦進出
- 第一課題 白身の寿司の再現 勝者…佐治安人
- 第二課題 駅弁対決 勝者…関口将太
- 第三課題 大分県の海域で獲れる魚 勝者…切島傀
- 第四課題 ちらし寿司 勝者…高田早苗
- 第五課題 魚あて → シブタイの握り 勝者…関口将太
- 第六課題 未知のエビ寿司 勝者…佐治安人
- 第七課題 寿司の盛り込み 勝者…佐治安人
- この時点で佐治安人が最終決戦進出確定
- 第八課題 一人前の寿司(外国人も審査)勝者…関口将太
- 新人寿司職人コンクール 全国大会最終決戦 対佐治安人
- 課題 一人前の寿司 勝者…関口将太(優勝)
[編集] テレビドラマ
1996年4月19日から9月20日まで、フジテレビで金曜20時から柏原崇主演でドラマ化された。全16話、平均視聴率11.1%。2007年現在、再放送・DVDソフト化されていない。当時、特番やプロ野球・ヤクルト戦の中継(主に神宮球場でのホームゲーム)と特番の乱発の影響で、放送回数が少なく(最大1ヶ月放送されなかった時期もある)更には強力な裏番組もあって人気は今ひとつだった。もっとも全16話は約3ヶ月で放送する数量であるが、放送するのに5ヶ月掛かっている状況であり、当時のフジテレビ系列が如何にヤクルト戦と特番偏重の編成を取っていたかが伺われる。
[編集] キャスト
- 関口将太:柏原崇
- 佐治安人:杉本哲太
- 岡村秀政:今田耕司
- 小畑慎吾:北原雅樹
- 富山雅子:雛形あきこ
- 鳳さおり:木村佳乃
- 宇崎辰巳:金子賢
- 渡辺久美子:井出薫
- 関口源治:夏八木勲
- 関口美春:広末涼子
- 藤田政二:蟹江敬三
- 笹木虎雄:石田太郎
- 鳳八千代:多岐川裕美
- 鳳征五郎:竜雷太
[編集] スタッフ
[編集] 主題歌
- 小沢健二「ぼくらが旅に出る理由」
[編集] サブタイトル
- 究極の大トロ!!父と子の涙
- シャリの謎!?涙の握り
- 想い出の玉子焼き
- 炎の対決幻の一手握り
- 巻物対決約束の菜の花
- アジ対決名店の危機!!
- 鯛勝負!!兄と妹の涙
- 故郷の恋のり巻の誓い
- 職人失格!?アナゴ対決
- 母の涙とバッテラ対決
- VS宿敵!!炎の寿司合戦
- 最終勝負さらば友よ!
- 涙の握り宿敵の逆襲!!
- 最終決戦さらば佐治!!
- 全国決戦VS最強の敵!!
- 約束
フジテレビ 金曜20時枠 | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
金曜超テレビ宣言!
※19:30~20:54 |
将太の寿司
|
金曜メガTV
※19:00~20:54 |
[編集] 小説
1996年12月に講談社のマガジン・ノベルスのシリーズから発売された。
- 将太の寿司 子連れ将太~みちのく激闘編~ ISBN 4-06-324317-6
[編集] テレビアニメ
1999年10月11日、テレビ東京で単発スペシャルとしてアニメ化された。
[編集] キャスト
講談社漫画賞少年部門 |
||||||||||||||
|
|
|