宮古島中継局
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
宮古島中継局(みやこじまちゅうけいきょく)は沖縄県宮古島市にあるラジオ・テレビの中継局。市内の宮古島(平良地区)と伊良部島に点在するため、放送局によって宮古中継局・平良中継局・伊良部中継局と呼ぶ場合がある。
おもに宮古島市内全域をエリアとしているが、テレビやNHKFM放送は沖縄本島から海底ケーブル経由で宮古島へ伝送され、さらに多良間島や石垣島へ伝送するため、宮古諸島だけでなく八重山諸島も含めた先島諸島の基幹局としての役割も果たしている。かつてはNHK総合テレビやRBCiラジオは宮古放送局として親局の役割も果たし、那覇本局とは別のコールサインや別番組(独自編成)が存在していた。
目次 |
[編集] 沿革
- 1964年4月1日 RBC琉球放送が平良市久貝(現・宮古島市平良久貝)にラジオ中継局開局(1150kc・500W)。コールサインはなかったが、那覇本局(当時のコールサインはKSAR)とは別に先島向けの番組が存在していた。
- 1967年12月22日 OHK沖縄放送協会が沖縄本島に先駆けて宮古・八重山地区でテレビ放送を開始、宮古テレビジョン放送局開局(コールサイン:KSDY-TV、US9ch・映像出力1kW)。
- 1972年5月15日 本土復帰によりOHKはNHK沖縄放送局となった。これによりOHKテレビはNHK総合テレビとなり(ただし番組内容は総合テレビと教育テレビの独自混合編成)、OHK宮古テレビジョン放送局はNHK沖縄宮古テレビジョン放送局に変わった(コールサインはJOVQ-TVに変更、チャンネル名は沖縄宮古総合テレビジョン)。また八重山放送局が廃止されたため、先島諸島の親局となった。
- 1972年6月25日 NHK沖縄放送局が中波ラジオ放送を開始(第1は27年ぶりの復活)したのにともない、ラジオ第1放送と第2放送の中継局が開局(第1放送:970kc・100W、第2放送:1370kc・100W)。
- 1973年11月1日 琉球放送英語放送局(復帰前のコールサイン:KSBK)閉局にともない、同局のコールサインだったJOROが宮古ラジオ放送局のコールサインとなる。
- 1975年 沖縄本島からの海底ケーブルが暫定開通し、NHKニュースなどNHKの一部番組が全国・沖縄本島と同時放送となる(ただしモノクロ)。
- 1976年12月22日 沖縄本島との海底ケーブルが開通。これによりNHKのテレビ放送が全国・沖縄本島と同時放送となる。NHK沖縄宮古テレビジョン放送局が廃止され平良テレビ中継局(総合テレビ)に格下げし、チャンネルもアメリカ式のUS9chから日本式の7chへ変更された。そして新たに教育テレビとFM放送が開始された。
- 1978年11月23日 AMラジオの周波数の間隔が10kHzから9kHzとなったため、NHKとRBCの周波数がそれぞれ変更された(NHK第1:970kHz→1368kHz、NHK第2:1370kHz→1602kHz、RBC:1150kHz→1152kHz)。
- 1993年12月16日 RBC琉球放送とOTV沖縄テレビ放送の沖縄県内民放テレビ2局が開局30年以上経過してようやく先島での放送を開始。もともと親局がVHFであるためVHFのチャンネルが割り当てられていたが、先島での放送開始が決定してから混信を防ぐためUHFのチャンネルへ変更、UHFでの放送となった。
- 2002年7月20日 宮古初のコミュニティ放送であるFMみやこが開局(76.5MHz・20W)。
- 2005年4月1日 琉球放送(RBCiラジオ)とROKラジオ沖縄の沖縄県内民放AMラジオ2局が中波混信(難聴)解消のため、伊良部島(当時は伊良部町)に中継局を開局。両局ともAMだが、AMでは夜間における難聴解消にならないためFM波での開局となった。またRBCiラジオは老朽化した宮古ラジオ放送局に替わる中継局となり、1ヶ月間はAM・FMの2波サイマル放送となった。
- 2005年5月2日 RBCiラジオ宮古ラジオ中継局がFM中継局開局に伴い、午前2時の放送終了をもって廃止。
- 2008年5月1日 NHKの地上デジタルテレビジョン放送開始。
[編集] テレビジョン放送送信設備
[編集] 地上アナログテレビジョン放送
放送局名 | チャンネル | 空中線電力 | ERP | 放送対象地域 | 放送区域内世帯数 | 運用開始 |
---|---|---|---|---|---|---|
NHK沖縄教育 | 4 | 映像1kW/ 音声250W |
映像13kW/ 音声3.2kW |
全国放送 | 約1万9500世帯 | 1976年12月22日 |
NHK沖縄総合 | 7 | 沖縄県 | 1967年12月22日 | |||
RBC琉球放送 | 32 | 映像34kW/ 音声8.5kW |
1993年12月16日 | |||
OTV沖縄テレビ放送 | 34 |
- 送信所:NHKは宮古島市平良東仲宗根、民放は同西仲宗根。両局の距離は約1km。
- NHK総合テレビは前身のOHKテレビ時代~復帰後におけるNHK沖縄宮古テレビ時代にはUS9chで放送。沖縄本島・全国と同時放送となった1976年12月22日より現行のJA7chに。
- QAB琉球朝日放送は未開局。
- 沖縄本島(糸満市米須)~宮古島(宮古島市城辺)間に海底ケーブルが敷設されており、宮古島市城辺の陸揚所から中継局の同市平良で受信。さらにNHKは石垣島の於茂登岳へ、民放(RBC・OTV)は多良間島へそれぞれ送信する。
[編集] 地上デジタルテレビジョン放送
リモコンキーID | 放送局名 | 物理チャンネル | 空中線電力 | ERP | 放送対象地域 | 放送区域内世帯数 | 放送開始 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | NHK沖縄総合 | 17 | 100W | 1.7kW | 沖縄県 | 1万9520世帯 | 2008年5月1日 |
2 | NHK沖縄教育 | 13 | 1.6kW | 全国放送 | |||
3 | RBC琉球放送 | 14 | 未定 | 沖縄県 | 未定 | 未定 | |
5 | QAB琉球朝日放送 | 16 | |||||
8 | OTV沖縄テレビ放送 | 15 |
- アナログ放送と同じ宮古島市平良東仲宗根に設置。
- 民放の開局時期は2009年とされているが、技術面とテレビのデジタル切り替えに伴う費用の負担問題もあり、決まっていない。
[編集] ラジオ放送送信設備
[編集] NHKラジオ中継局
放送局名 | 周波数 | 空中線電力 | ERP | 放送対象地域 | 放送区域内世帯数 | 放送開始 |
---|---|---|---|---|---|---|
ラジオ第1 | 1368kHz | 音声100W | 中波放送の為無し | 沖縄県 | - | 1972年6月25日 |
ラジオ第2 | 1602kHz | 全国放送 | ||||
FM | 85.0MHz | 音声1kW | 音声4.9kW | 沖縄県 | - | 1976年12月22日 |
- 送信所:AM/宮古島市平良荷川取、FM/宮古島市東仲宗根(テレビ放送と同じ)
- 1978年11月23日午前9時のAM周波数一斉変更前はラジオ第1は970kHz、ラジオ第2は1370kHzで放送された。
- FMの出力が地域放送局の親局並みの1kWなのは石垣島へ送信するため。ほかにNHK-FMの中継局で1kWの出力で放送しているのは、北海道名寄・中標津・中頓別(知駒)、新潟県小出、兵庫県姫路、島根県浜田、鹿児島県種子島の7局ある。そのうち小出、種子島とここ宮古島以外は親局よりも高出力となっている。
[編集] RBCiラジオ・ROK伊良部ラジオ中継局
もともと1964年4月にRBC琉球放送(現在ラジオは“RBCiラジオ”と呼称)が宮古島の平良市久貝(現在の宮古島市平良久貝)に先島ラジオ放送局として周波数1150kc、出力500Wで開局、先島のみならず台湾北部までカバーしていた。1973年には閉局した英語放送局のコールサインだった“JORO”を引き継いだ。2001年に沖縄本島北部の名護ラジオ中継局が開局するまで、沖縄県内民放AMラジオでは唯一の中継局だった。
しかし近年、夜間に中国や朝鮮半島などの近隣外国の電波による混信で受信しにくくなったことから、2005年に総務省の事業として伊良部島にRBCiラジオとROKラジオ沖縄の中継局を設置。2局ともAMラジオ局だが、AMでは難聴解消に効果がないため、FMによる中継局となった。
放送局名 | 周波数 | 空中線電力 | ERP | 放送対象地域 | 放送区域内世帯数 | 放送開始 |
---|---|---|---|---|---|---|
RBC琉球放送(RBCiラジオ) | 82.7MHz | 音声100W | 音声470W | 沖縄県 | - | 1964年4月1日 |
ROKラジオ沖縄 | 84.1MHz | 2005年4月1日 |
- 送信所:宮古島市伊良部(伊良部島)
- RBCiラジオは1964年4月1日~1978年11月23日の周波数一斉変更前は1150kHz、同日の変更後~2005年5月2日は1152kHzで放送。現行の中継局は2005年4月1日に開局したが、同日から5月2日午前2時の放送終了までの1ヶ月間は移行期間としてAM(宮古放送局 1152kHz)とFM(伊良部中継局 82.7MHz)のサイマル放送が行われた。
[編集] FMラジオ放送所
放送局名 | 周波数 | コールサイン | 空中線電力 | ERP | 放送対象地域 | 放送区域内世帯数 | 放送開始 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
エフエムみやこ | 76.5MHz | JOZZ0AR-FM | 音声20W | 音声17.8W | 宮古島市 | 約1万4600世帯 | 2002年7月20日 |
- エフエムみやこは宮古島初のコミュニティFM局として2002年7月20日に開局した。
- エフエムみやこ送信所:宮古島市上野野原1190-188(本社と同じ)
- FM沖縄の中継局は設置されていない(同局の番組が一部エフエムみやこで放送されている)。