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天文館 - Wikipedia

天文館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

天文館(てんもんかん)は、日本の鹿児島県鹿児島市にある商業・娯楽地区の総称。商店街繁華街と隣接する歓楽街が一体的となっており、南九州有数の規模を誇る。

地元の人からは天街(てんまち)とも呼ばれている。

天文館本通りアーケード(天文館交差点から城山方面、2007年5月)
天文館本通りアーケード(天文館交差点から城山方面、2007年5月)
天文館G3アーケード(天文館交差点から鴨池方面、2007年12月)
天文館G3アーケード(天文館交差点から鴨池方面、2007年12月)
「天文館まつり」に際して;文化通り付近(2003年8月)
「天文館まつり」に際して;文化通り付近(2003年8月)

目次

[編集] 概要

天文館の中央には、天文館電車通り(いづろ通り)、天文館本通り、天文館G3(千日通り)が貫き、その周辺を放射状にアーケード街やカラー舗装された通りが迷路の如く連なる。アーケード街には、古くからの個人経営の商店に混じり、ブティック、カフェなど洒落た店が立ち並び、またパチンコホールや無数の飲食店が軒を連ね、昼夜・年中を問わず多くの人で賑わう繁華街となっている。

近年、鹿児島中央駅周辺や鹿児島市中南部に新興繁華街やロードサイド店が台頭しつつあるが、歓楽・ショッピングゾーンとして地元では絶大なブランド力と神通力を持ち続けている。

道幅が広いところ以外にも、細い路地状のところや幹線道路の歩道部分などにもアーケードが設置されており、アーケード抜きには天文館を語ることは出来ない。このようにアーケード街が比較的多いのは、桜島降灰対策や、夏の強い紫外線を含んだ直射日光避けである。

「天文館」という名称の定義は、非常に曖昧かつ漠然としている。 それは該当するエリア全体を指す通称であって、天文館という固有の地名等が存在する訳ではない。また県外人がよく誤解することであるが、アーケード街などの特定の通りや街路や街区のみを指す名称でもない。バス停や電停およびアーケードの名称として「天文館」が使われている地区はあるが、あくまで天文館の一部である。 ただし、「天文館」が長年に渡って拡大・変化してきたため、地元民の間でも『あなたの考える天文館の範囲は具体的にどの辺りまでか?』という議論が交わされる場合もある。

以前、南日本新聞夕刊の特集記事で、天文館の通行人から無作為に選んで集計したアンケートの調査結果によれば、各人がイメージする天文館の範囲は一部に共通点はあるものの具体的に指す範囲の基準などに相当な幅とズレが出る結果となった。このことから地元民が考える「天文館」とは各人がそれぞれイメージする心地よいハレの空間であって、具体的な範囲だとか云々のような堅苦しいことはどうでも良いということを伺い知ることができる。「天文館」という名前の一つをとっても、細かい事に拘らない鹿児島人気質が現われている。

[編集] 近況

[編集] 天文館の空洞化

以前は、路地裏や地下のような導線(動線)の劣悪な場所でも空き店舗はほぼ見られなかったが、近年はアーケード内や電車通りの1階でも場所により空き店舗が目立ち、空洞化が懸念されている。

2006年10月に映画館が天文館地区から完全に消滅し、最後の画廊や割烹旅館も閉店し、銀行証券会社等の統廃合により、店舗ビルが取り壊され青空駐車場となる例も見られる。さらに、各企業ごとの事情もあるが、アーケード内からの有力テナント(タワーレコード鹿児島店、ハーゲンダッツなど)の連鎖撤退も起こりはじめている(2007年11月のマツモトキヨシの出店など逆の事例もみられる)。

天文館の人の通行量が減少しているとも言われ(南日本新聞の記事によると2002年からの5年間で通行量が2割減ったとのこと)、空洞化が現実のものとなってきている。

[編集] 新たな商業地区の出現

他地域でも一般に見られる大店立地法まちづくり3法)による郊外ロードサイド店舗の増加により、天文館の集客力低下が起きていると見られる。

また、諸般の複雑な事由が影響して県外資本の直接進出が極めて少なかった鹿児島市特有の事情としては、九州新幹線の部分開通に合わせて鹿児島中央駅ビル「アミュプラザ鹿児島」が開業したことや、湾岸の埋立・港湾エリアにおける都市計画の用途指定緩和による新たな商業エリアの出現など、中心部近接地でのワンストップショッピング型大型店舗が開業し、それらと天文館が競合している状況にある。2007年10月に鹿児島県内初、県内最大規模のイオン鹿児島ショッピングセンターが開業し更に一層の市内でのエリア間競争が激化することが懸念されている。永年に亘り流通競争の無風状態が続きその環境で安穏と一人勝ちしてきた天文館にとって今が大きな試練であるといえよう。

[編集] 都市間競争

九州新幹線が全通する2011年頃には、鹿児島中央駅福岡市博多駅の間が1時間強で結ばれることになり、観光面では利点が多いものの、業務・商業では福岡市や熊本市など北部九州へのストロー現象が予想されており、更なる空洞化が懸念されている。

[編集] 対策・変化

近況のみならず、九州新幹線全通を見据えて、天文館では再開発事業、貸ビルの建替え、不動産流動化等も各所で段階的に行われており、リサイジング・店舗入れ替え・業態変換が見られる。具体的には、山形屋の3号館増床の正式発表やいづろドーム跡の再開発ビルの着工、地元資本の老舗ホテルの撤退の一方で、中央資本による新規ビジネスホテルの着工並びに計画等があり、業種・店舗によって好不況が分かれている。また中央の不動産会社による地区内および周辺での投機目的を含めた不動産取引も近年活発となってきている。

中振連や商店主といった街側では、ここ数年、手弁当でイベント等を行うなど地道な努力も始まっている。この具体的な動きとして2007年に中振連が中心となり加盟する各商店会や非加盟の商店会(G3アーケードや歓楽街の通り会)更に核となる地区内の百貨店、商業施設を巻き込んだ『We Love 天文館』協議会が立ち上げられている。実は今まで利害関係やその他諸々の事情により街全体での地域活性化への取り組みが実現することはなかったが、イオンが県内最大の大型商業施設を開業するという共通の危機が契機となって障害が取り払われようやく実現するに至った。活動実績としては今のところ加盟商店会のアーケードや通り沿い、店舗内や百貨店などに共通のロゴマークが入った幟・垂れ幕・ステッカーを提示することの推進や山形屋、三越鹿児島店を巻き込んだ協賛セールの開催などに留まっているが、地域の今後がかかっているだけに更なる動向が県内外の各方面より注目されている。

[編集] 歴史

江戸時代、第25代薩摩藩主・島津重豪が、この界隈に天文観測や暦を研究する施設明時館、別名「天文館」を建設したことに由来する。

明治期まではの生える空き地も目立つような寂しい場所であったが、大正時代後半から昭和初期にかけて路面電車が開通し、同時に多数の映画館や劇場(現在はない)が開館した。それに伴い鹿児島各地から昼夜の別なく多くの人々が押し寄せるようになり、まもなく周辺に映画客目当てとした飲屋や赤線、食堂などが自然発生的に現れた。千日町や山之口町界隈の歓楽街は、その頃に原型が形成された。

その後、山形屋呉服店が大正時代初頭に神戸以西で初の鉄筋コンクリート造の大型デパートを開業すると、その周辺の商店や町屋が次第にショッピングゾーンに変貌し、戦前には現在の街並みがほぼ完成された。

[編集] アーケード及び通りの総称

納屋通り(2007年12月)
納屋通り(2007年12月)
アーケード
いづろ通り・照国表参道通り・天文館通り・天文館本通り・天文館電車通り・天文館G3アーケード・にぎわい通り・はいから通り・中町コアモール・中町本通り・中町ベルク・ぴらもーる(天神おつきや商店街)・金生通り・納屋通り
モール
テンパーク通り・ゴンザ通り・七味小路通り・セピア通り・グルメ通り・おつきや東通り・天文館一丁目商店街・呉服町通り
歓楽街
文化通り・中町別院通り・中町中通り・中町御堂筋通・銀座通り・松山通り・船津町通り・松原本通り・天文館文化通り・萩原通り・二本松馬場通り・山之口町中通り・山之口本通り・二官橋通り・樋之口本通り・山之口電車通り・高見馬場通り・山之口本通り・二官通り

[編集] 周辺施設

デパート・ファッションビル
その他の商業施設
ホール・アミューズメント
  • NCサンプラザ
  • キャパルポ(SRホール)
  • T‐MAX BOWL
  • T‐MAX
  • 城山VIPホール
  • カラオケ館
ホテル
  • ワシントンホテルプラザ
  • ロイネットホテルズ
  • いわさきホテル・ザビエル450(⇒2007年7月末で廃業)
  • ブルーウエーブイン
  • サンデイズイン
  • 東横イン天文館I、II
  • レクストイン鹿児島
  • 鹿児島サンホテル
  • グリーンリッチホテル鹿児島
  • ホテル・パレスイン鹿児島
  • ホテル南洲館
  • ホテル巴里
  • ホテル錦生館(⇒2007年で廃業)
  • ホテルニューニシノ
  • ホテル中原別荘

映画館は2006年に天文館地区から全面撤退した。

  • 鹿児島東宝 2006年10月11日閉館、跡地利用は当初はビジネスホテルといわれていたが、現在は計画を修正中。
  • シネシティ文化[1] 2006年6月4日休館、現在は模様替えして、業界大手の『カラオケ館』グループの系列店が全館に入居している。
  • 松竹高島は2004年に閉館、現在は模様替えして、カラオケチェーン『コロッケ倶楽部』などが入居している。
  • 鹿児島東映劇場は2004年9月に閉館。ホテルニューニシノの一階にあった。映写設備等は撤去されたが現在でも空きになっているらしい。(屋上の鹿児島東映のネオンサインは依然として残っている。)
  • 上記以外に1960年代後半~1980年代前半にかけて、鹿児島にっかつ劇場を含めていくつかの小規模な映画館が閉鎖されている。


映画館以外に1960年代まで大衆演舞場、1980年代前半までストリップ劇場、1996年頃までディスコがそれぞれ複数軒存在した。

[編集] 祭事

  • おはら祭り
  • 天文館まつり
  • お祇園さぁ(鹿児島祇園祭)
  • 六月灯(ろくがつどう)

[編集] アクセス

徒歩約15分。または市電2系統鹿児島駅行きに乗り「天文館通電停」下車。
徒歩12分。または市電1系統・2系統行きに乗り「天文館通電停」下車。
  • 鹿児島港の本港区(桜島フェリー・高速船乗り場・奄美・沖縄航路)から
徒歩7分。

[編集] 関連項目

  • 山形屋;天文館地域の一番店であり地元を代表する老舗百貨店
  • 鹿児島ラーメン;天文館の歓楽街やアーケード内に有力な老舗専門店が集中する。

[編集] 外部リンク


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