和歌山毒物カレー事件
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和歌山毒物カレー事件(わかやまどくぶつカレーじけん)は、1998年7月25日夕方、和歌山県和歌山市の園部地区で行われた夏祭において、提供されたカレーに毒物が混入された事件。
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概要
1998年7月25日に園部地区で行われた夏祭りで、カレーを食べた67人が腹痛や吐き気などを訴えて病院に搬送された。当初保健所は食中毒によるものと判断したが、自治会長を初めとした4人が死亡したことから和歌山県警は吐瀉物を検査し、青酸の反応が出たことから青酸中毒によるものと判断。しかし、症状が青酸中毒と合致しないという指摘を受け、警察庁の科学警察研究所が改めて調査して亜ヒ酸の混入が判明した。
事件後
1998年10月4日、知人男性に対する殺人未遂と保険金詐欺の容疑で主婦・林眞須美(はやし ますみ、1961年7月22日 - )が逮捕された。更に12月9日には、カレーへの亜ヒ酸の混入による殺人と殺人未遂の容疑で再逮捕された。林は容疑を全面否認したまま裁判へと臨み、1審の和歌山地裁、2審の大阪高裁に於いて共に死刑判決を受けたが、上告している。
1審において被告が完全黙秘を行い、メディアがこれについて批判的な報道を行ったため、1審の判決文において黙秘権の意義に関し、専らメディア向けとみられる一般的な判示がなされるなど、刑事裁判の在り方の点から見ても特異な事件となった。
また、この事件後子供たちは児童養護施設に送られたが、長男が女性職員に性的関係を強要されたと報道されている(和歌山少年暴行事件)。
その他
- フジテレビ『ニュースJAPAN』で、安藤優子が事件の注目人物であった逮捕前の林眞須美にインタビューを試みている。逮捕前だったこともあり、名前の部分にピー音を被せていたが、編集ミスで1ヶ所だけ入っておらず「林さんは~」という言葉がのって放送された。
- この事件では報道で「毒入りカレー」と言う文字が前面に出ていたためにカレーのイメージが悪くなり、食品会社はカレーのCMを自粛し、料理番組でもメニューをカレーにすることを自粛した。また、TBS系のアニメ『浦安鉄筋家族』では、ストーリーにカレーが出て来る回が放送されなかった(この回はビデオ化の際に収録された)。
- 林眞須美の自宅は、2000年2月に放火によって全焼し解体され、跡地は公園になっている。
- 使用された毒物の組成を調べるために、Spring-8を使用した。
- この事件後、飲食物に毒物を混ぜるといった模倣犯の犯行が多数起きた。
関連書籍
- 週刊文春特別取材班『林真須美の謎―ヒ素カレー・高額保険金詐取事件を追って』ネスコ、1998年12月、ISBN 4890369937
- 林眞須美『死刑判決は「シルエット・ロマンス」を聴きながら 林眞須美 家族との書簡集』講談社、2006年8月、ISBN 4062135132
- 三好万季『四人はなぜ死んだのか インターネットで追跡する「毒入りカレー事件」』文藝春秋、1999年7月、ISBN 4163554300
- 今西憲之「私たち夫婦は保険金詐欺のプロ。金にならんことはやらん。真犯人は別」『週刊朝日』2006年11月3日号、朝日新聞社
関連項目
外部リンク
- 林眞須美さんを支援する会
- 和歌山毒入りカレー事件(甲南大学刑事訴訟法教室)
- Henkyo Lab: 和歌山毒カレー事件報道
- 和歌山県弁護士会:
- カレー毒物混入事件についての会長声明(1998年8月12日)
- カレー毒物混入事件についての声明(要望)(1998年9月10日)
- カレー毒物混入事件についての会長談話(1998年11月24日)
- カレー毒物混入事件報道についての産経新聞大阪本社編集室への申入書(1998年11月28日)
- カレー毒物混入事件についての報道に関する会長声明(2000年2月2日)
- 日弁連: 毒物混入カレー事件の取材・報道等に関する会長談話(1998年9月25日)