周期関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
周期関数(しゅうきかんすう)とは、そのとる値が定期的に繰り返すような関数のことである。
目次 |
[編集] 概要
周期関数の代表例として、三角関数、楕円関数などが挙げられる。日常的には、時刻や日付、あるいは月の満ち欠け、振り子の運動(単振動)などの周期運動は周期関数によって表現される。
ある一定の時間ごとに現象などが反復されるときのその時間の長さを周期(しゅうき)という。波動現象においては、波の周期Tは振動数(周波数)の逆数となり、周期と波の速度vとの積vTが波長になる。等速円運動においては、周期Tと角振動数ωの積は2πになり、周期Tと角速度の積は円周の長さになる。
[編集] 定義
変数 x の関数 f(x) に対し 0 でない定数 ω が存在して、x の値に無関係に
- f(x) = f(x + ω)
を満たすならば、関数 f は周期的である、あるいは周期関数であるという。また、このような定数 ω を関数 f の周期と呼ぶ。ゆえに、関数が周期的であるという代わりに、関数が周期を持つということもある。関数 f が周期 ω をもつならば、任意の整数 n に対して次が成り立つ:
- f(x) = f(x + nω)
関数が周期を持つとき、周期は一意的には定まらない。たとえば ω が周期であれば、その 0 でない整数 k 倍した kω もやはり周期である。ω0が正の値で、全ての周期がある周期 ω0 の整数倍であらわされるならば、周期 ω0 を基本周期という(正確には、周期全体の成す格子を Z 上生成するような周期を基本周期という。楕円関数なら 2 つの基本周期が存在する。また、楕円関数の二つの基本周期が張る平行四辺形を基本領域と呼ぶ)。
[編集] 一般化
[編集] 調和解析
実関数が周期を持つならば、それはフーリエ級数に展開され、それは三角関数同様に単位円上の関数であるとみなされる。同様に、二重周期を持つ複素関数である楕円関数はトーラス上で定義されているとみなすのが自然である。
このような捉え方は、コンパクト群上の関数を基本的な関数で表すことからさらに発展して、関数を調べることによりコンパクト群の構造を研究するという群上の調和解析・表現論などに繋がっていく。