名鉄モ500形電車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
名鉄モ500形電車（めいてつモ500がたでんしゃ）は、名古屋鉄道がかつて保有していた路面電車車両の一形式である。
1920年（大正10年）、501～504の4両が製造された。
[編集] 沿革
1920年（大正10年）、美濃電気軌道（通称「美濃電」。後の名鉄美濃町線ほかを当時運営していた会社）が、BD500形として名古屋電車製作所で製造。美濃電で最初の木造ボギー車である。形式名は美濃電の名岐鉄道合併後に「BD」から「モ」となったが、番号は踏襲された。
製造当初の電装部品はイギリスのデッカー（イングリッシュ・エレクトリック社）系で、2個モーターの直接制御車であった。形式名につけられたBDの意味は、Bはボギー車、Dはデッカー社系電装部品を使用ということである。この形式名は後続の増備車BD505形（後のモ520形）にも受け継がれている。台車は鍛造のブリル76E-1で、大型ボギー車に相応しく、空気ブレーキ（直通式）も装備していた。
ダブルルーフの腰高な木造車体で、元々はオープンデッキ、集電装置はポールであったが、後にデッキは改修され、集電装置もビューゲル化されている。1964年～65年にかけて、モ520形とともに外側に鋼板を貼り付けられ、簡易鋼体化車（ニセスチール車）となる。
当初は鉄道線の笠松線（現・名鉄名古屋本線の名鉄岐阜駅～笠松駅間）で運用されたが、美濃電が1930年に名岐鉄道に合併された後しばらくしてから、軌道線の美濃町線を中心に、鏡島線で使用される。
晩年は美濃町線で使用されたが、1970年（昭和45年）、複電圧車であるモ600形の登場により置き換えられ、廃車された。
