See also ebooksgratis.com: no banners, no cookies, totally FREE.

CLASSICISTRANIERI HOME PAGE - YOUTUBE CHANNEL
Privacy Policy Cookie Policy Terms and Conditions
合唱のためのコンポジション - Wikipedia

合唱のためのコンポジション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

合唱のためのコンポジション(がっしょう-、 : Composition for Chorus)は、日本作曲家間宮芳生1958年から作曲し続けている合唱曲のシリーズ。2007年現在、第17番まで存在する。

目次

[編集] 概要

コンポジションとは、ここでは作曲家による構成のことである。当初は日本の伝統音楽、特に民謡わらべうたが作品構成にあたっての中心であったが、やがて彼は海外の音楽に重きを置くようになった。

長年に亘る世界各地の伝承音楽の研究は、スカンジナビア半島のヨーイクと呼ばれる民謡や、アメリカインディアンや古代アルメニアの口承詩、ジャズ、そして仏教音楽をコンポジションシリーズに取り込むきっかけとなった。

番号の数え方としては主として、「合唱のためのコンポジション△」(△はローマ数字)と、「合唱のためのコンポジション第○番」(○はアラビア数字)の2通りがある。第4番(1963年)の頃まではナンバリングが行われていなかったようであるが、1965年音楽之友社が「合唱名曲コレクション」の一部として第1番、第3番をそれぞれ出版した際に、前者が採用された。第2番は初演時「混声合唱と打楽器のためのコンポジション」というタイトルであり、番号は入っていなかったのだが、『音楽芸術』の付録に掲載された際(1966年)に、「合唱のためのコンポジションNo.2」と名づけられている(後年、同コレクションに収録されるにあたって「合唱のためのコンポジションII」となった)。一方、「第○番」という呼び方は日本ビクター1968年に発売したレコード『合唱のためのコンポジション第一番~第六番』にさかのぼる。全音楽譜出版社(第4番から第7番および第16番を刊行)やカワイ出版(第10番から第12番を刊行)も(アラビア数字にしたものの)この形式を採ったため、呼称の不統一が生じることとなった。ただし、作曲家自身は音楽之友社からの出版作品も含めて後者で呼称し続けている。この項では後者に統一する。

彼は、「合唱のためのコンポジション」を歌うためのエチュードを目的として、「合唱のためのエチュード」という曲集を作っている。本稿ではこれについても述べる。

[編集] 個々の作品について

[編集] 第1番

曲の概説と背景、その影響 初演時は「混声合唱のためのコンポジション」として発表。1958年作曲。4楽章から成る無伴奏混声合唱曲だが、第1楽章のみがテノールバリトンのソロを伴う無伴奏男声合唱曲である。日本民謡から抽出された囃子詞が作品の材料となっている。

日本民謡に興味を持っていた間宮がこの分野の研究に本格的に取り組むようになったのは、民謡による新作を求めていた声楽家内田るり子との出会いによってであった。NHK音楽資料室に毎週通い、民謡のレコードを聴きながら曲を選び出す作業を行っていた。1955年から断続的に編曲され、後に「日本民謡集」第1集~第5集としてまとまることになる(なお、彼女の没後に第6集も生まれた)。

選曲と編曲を行いながら、間宮は独自に、民謡についての研究を始めた。その研究とは、日本民謡の詞の形や旋律構造、形式、および民謡に登場する囃子詞を調べ、分析、分類していく作業であった。1957年には『音楽芸術』(音楽之友社)上で「日本民謡におけるリズム」という論文を発表している(全音楽譜出版社の『日本民謡集』巻末に収録)。この民謡研究は中途で挫折してしまうのだが、囃子詞の面白さに惹かれた彼は、東京混声合唱団(以下、「東混」と略称)の委嘱を機に民謡の編曲ではなく、囃子詞を素材とする合唱曲を作るという、当時としては画期的であったアイデアにたどりつく。彼にとっての初めての合唱作品はこうして生まれた。

初演は「面白すぎる」という非難を受けるほどの成功をおさめ、東混は以後この曲を「持ち歌」として数多くの再演を重ねていくことになる。アマチュア合唱団もコンクールや定期演奏会で進んで採り上げ、東混委嘱作品としては最も人気が高い作品となった。

この作品の、作曲家への影響は限定的なものであった(囃子詞を素材にする作品が乱作される状況にはならなかった。一方、民謡編曲は、日本の合唱界のそれへの需要が高かったことから逆の結果となった)が、この作品の数年後に生まれた外山雄三の「歴落」は数少ない影響例と言えるだろう。

内容

  • 第1楽章は江戸新潟の木遣による。テノールパートの合唱(東混が歌唱したCD――ビクターから発売――ではあえてヘテロフォニー風にリズムをずらしているが、実際にはユニゾン)から始まり、ソロとコーラス、あるいはテノール、バリトン各ソロの掛け合いによって進行する。この楽章もそうであるが、「合唱のためのコンポジション第1番」においては全体的にテノールソロの比重がバリトンソロよりも高く(女声ソロは登場しない)、彼の出来不出来が曲の成功に大きく関わる。
  • 第2楽章は口唱歌(くちしょうが)(太鼓)や、青森県の八戸地方に伝わる「代掻き唄」が素材の中心であり、他に「田の草取唄」などが引用されている。前楽章の母音重視とは打って変わって、ここでは子音、特に濁音が多くを占め、はっきりとした拍節が特徴となっている。ここでもテノールソロが登場する。
  • 第3楽章は子守唄やわらべうたのスタイルをとった、緩―急―緩の三部構成。「急」は東北地方のわらべうた「てでぼこ」などから引用されたものであり、女声のみで歌われる。
  • 第4楽章は神楽の形式で、再び口唱歌を伴う。今度は太鼓だけでなく鼓(つづみ)や笛の口真似も混じって色彩豊かになり、さらにテノールソロが花を添える。Prestoにおいては全員が口唱歌を展開しながら、ソロが不確定な音程で裏拍を打つ(作曲家が多くの作品に取り入れたジャズの影響はここでも明らかである)。最後はテノールソロもしくは指揮者によるシュプレヒシュティンメで幕を閉じる。

初演は岩城宏之が指揮。この作品により間宮は第13回文化庁芸術祭奨励賞、毎日音楽賞を受賞した。2番と合わせて音楽之友社より出版されている。

[編集] 第2番

1962年に、混声合唱、フルート打楽器のために書かれた1楽章の作品。初演時のタイトルは「混声合唱と打楽器のためのコンポジション」。田中信昭指揮により東京混声合唱団が初演した。1番と合わせて音楽之友社より出版されている。

第1番の第1楽章と同じく、テノール合唱による木遣のスタイルから始まるが、前作と異なりユニゾンではなく8声に分かれてヘテロフォニーを形成する。この部分では拍子記号がなく、歌詞がアルファベットで記載され、音韻的な要素の強いものとなっている。間宮はこの作品を書くにあたって、ルイジ・ノーノを参考にしたという。打楽器が入ると拍子記号が書かれ、フルート、合唱の残りのパートも登場する。歌詞の多くはやはり囃子詞で形成されているが、第1番に比べて、民謡以外の日本のさまざまな民俗芸能が多く取り入れられているのが特徴であり、ここでは歌詞は2通りの書き方、すなわちアルファベットとカタカナで記載されている。

前作よりも難易度は高く、また2人の奏者を必要とするため実演回数は多くない。

[編集] 第3番

1963年、無伴奏男声合唱のために書かれたもので、初演は翌年はじめに木下保指揮、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団によって行われた。初演時のタイトルは「男声合唱のためのコンポジション」。初演と同じ年に、『音楽芸術』(音楽之友社)第22巻第10号付録として初出版。後に、同社の「合唱名曲コレクション」に収録された際に「男声合唱のためのコンポジションIII」とされている。

「艫(ろ)」「羯皷(かっこ)」「引き念佛」の3つの楽章から成る。演奏頻度は第1番と並ぶほどの高さであり、日本の男声合唱団が海外公演を行う際に、また海外の団体が日本で演奏する際に選ばれることが多い。

作曲にあたって、間宮は自身の中学2年生の時のエピソードを参照した。当時、青森県の中学校でブラスバンドに所属していた彼は、慰問演奏のために同県の深浦町を訪れ、その際、深浦の漁師たちによる大謀網の様子を見学する機会を得た。そこで聞いた船頭の音頭と、それに応える漁師たちの歌に対する作者の感動が、この作品のきっかけとなったのである。音楽之友社より出版されている。

  • 第1楽章「艪」は前述のエピソードが最も反映されている楽章である。2群に分かれた数人のテノールが音頭を取り、それ以外の三部合唱(テノール、バリトン、バス)が受けを務めるというかたちになっている。秋田県ハタハタ漁の唄(艪押し、および網起しの際のもの)が主要素材となっており、他に千葉県の漁村に伝わる、地引網の際の掛け声が使われている。合唱パートに頻出する、長3度ないしは4度内の3つの音は、作曲家が中学生の頃に聞いた僧侶たちの読経にヒントを得たものである。その歌い始めは各人によって音程がばらばらであったのだが、やがてホ、嬰ニ、イ音の3つの音へと収斂していったのだという。
  • 第2楽章「羯皷」は3つの部分から成る男声四部合唱。最初、および最後では福島県相馬郡の田打唄が、中間部では東京都小河内の鹿島踊からの一部が歌われる。曲のタイトルは楽器の名前である(鞨鼓と書かれることが多い)。バリトンやバスの口唱歌による羯皷に乗って、テノール合唱およびテノールソリ、バリトンソリが鹿島踊の中の「三番叟」「さんころりん」を歌う。
  • 第3楽章「引き念佛」は岩手県鬼剣舞を主要素材とする。太鼓ささらの口唱歌や、踊り手の囃子詞を伴いながら、念仏によって悪霊たちを鎮めてゆく勇壮な部分を前後に、彼らが成仏していく様子を真ん中に置くかたちである。

[編集] 第4番「子供の領分」

NHKからの委嘱によって1963年児童合唱と2管編成のオーケストラのために作曲。同年、森正指揮、西六郷少年少女合唱団、フィルハーモニア・オーケストラによって放送初演された。題名はドビュッシーのピアノ曲集(子供の領分を参照)からの借用であり、日本コロムビアから発売されたレコード「現代日本の音楽2」にChildren's Cornerと表記されていた。だが、全音楽譜出版社からの楽譜ではChildren's Fieldとなっている。全音楽譜社から合唱譜のみ出版されており、パート譜とオーケストラスコアはレンタル。

東京都内の小学生がその当時歌っていたわらべうたが曲の素材である。前3作に比べると、歌詞が現代的なのはもちろんのこと、囃子詞がなくなり、代わりに歌詞の意味性が前面に押し出されているのが特徴である。「ゆかいなうた」「なつかしいうた その1」「絵かきうた」「なつかしいうた その2」「FINALE」の全5楽章。元となったわらべうたは小泉文夫編『わらべうたの研究』(稲葉印刷所)に収録されている。作品の素材として用いられた歌は50以上にのぼる。

たびたび依頼されたというピアノ伴奏版の作成は、作曲家の意向により行われていない。

[編集] 第5番「鳥獣戯画」

NHKの委嘱作品。1966年に製作された短編映画「鳥獣戯画」の音楽をもとに、演奏会用に作成されたものである。同年の10月6日に、作曲家の指揮で東京放送合唱団によって放送初演された。間宮は、この映画音楽、および合唱曲において、「声と音の身ぶりによって『可笑しさ』『わらい』をあらわすという新たな実験」を行ったと、自著『現代音楽の冒険』に書いている。その結果は、後半の楽章に特に伺える。彼は絵巻から、自分自身の「視覚的イメージ」(楽譜前書き)を得たようであるが、作曲中にそのイメージがだんだん絵巻そのものから離れていったとも明かしている。

混声合唱に、2人の打楽器奏者(数珠、竹鈴〔鳴子〕、木橦、桶胴、楽太鼓拍子木ギロシンバルボンゴ)とコントラバスを必要とする。コントラバスは、ピチカートコル・レーニョの多用によって、旋律楽器としてよりも、むしろ打楽器に近い扱われ方をしている。いっぽう、歌詞の大部分は囃子詞であり、第3番までの路線を踏襲している。全音楽譜出版社により出版されている。

第1楽章は男声中心に書かれていて、女声は最後の2小節にしか登場しない。第1番、第2番と同じくテノールから始まる。歌われる素材は声明(東大寺修二会のもの)と囃子詞から成り、仏教音楽と、俗謡を混交させた野性的な世界が展開される。

第2楽章はテノールソロから始まり、しばらくは彼を中心にして曲が進行する。この楽章から基本的に囃子詞のみになる。ジャズを思わせるようなコントラバスの動きが特徴。

第3楽章は女声合唱から始まり、およそ50小節の間を、彼女らの鳥のような歌声が独占する。やがて、テノールソロが、次いで、2人のバスソロ、そしてテノール合唱が彼女らに割って入り込む。男たちの中の1人はからかい[1]、また1人は喜び勇み[2]、もう1人は誰かに足を踏まれたらしい[3]。テノールたちは集団で走っているらしく、息が荒い[4]。やがて、さまざまな種類の笑いと悲鳴が巻き起こる。

第4楽章は、冒頭からいきなり合唱団員全員が笑う。それも「はらのそこから」。“爆笑場面”はこの後も随時出てくる。その間に口唱歌が現れ、さながら第1番の終楽章のような華やかさを見せる[5]。コーダでは前3楽章の素材が再現され[6]、最後は威勢良く閉じる。なお、この楽章には、綾子舞の小原木踊と、ウガンダに伝わる歌が素材として用いられている。

  1. ^ 楽譜に次のように示されている。以下も同じ。「ファルセット(からかうように)」。
  2. ^ 「(叫ぶ)…『よろこび勇む感じ』」。
  3. ^ 「叫ぶ(足をふまれたように)」。
  4. ^ 「いきせききって走るように」。
  5. ^ 途中でテノールソロが「キタマダマダマダ……tr tr tr……」と歌うシーンがあるが、まったく同じシチュエーションが第1番第4楽章にも見られる
  6. ^ たとえば、男声によって歌われる「ニョゼ」「ニョイ」(練習番号9)は冒頭楽章の「如是」「如意」に対応し、同じ練習番号にあるソプラノソロの甲高い悲鳴は、第3楽章の最後に見られる。

[編集] 第6番

1968年作曲。3楽章の無伴奏男声合唱曲(ただし最終楽章のみ拍子木を必要とする)であり、田中信昭と法政大学アリオンコールによって初演された。全音楽譜出版社により出版されている。

この作品が作られたすぐ後に、第1番から第6番までがまとめて日本ビクターからレコードとして発売され、このレコードは第23回文化庁芸術祭賞を受賞した。

[編集] 第7番「マンモスの墓」

第8番の翌年(1972年)、ニッポン放送芸術祭参加作品として作曲。初演は田中信昭指揮、ひばり児童合唱団により行われ、第27回文化庁芸術祭ラジオ部門大賞(合唱曲の部)を受賞した。全音楽譜出版社により出版されている。

3楽章から成る無伴奏児童合唱曲(3部)であり、第1楽章はカタツムリの方言でのさまざまな呼称を作曲者が構成したもの、第3楽章のみこの曲の副題である「マンモスの墓」というタイトルが与えられている。この楽章の歌詞は作曲家本人が書いた。

[編集] 第8番

1971年、日本プロ合唱団連合の委嘱により作曲。3人の指揮者と3群の混声合唱を必要とする。田中信昭、宮本昭嘉、森正が指揮を担当した。未出版。

青ヶ島に伝わる金山の祭文をモチーフに作曲された。

[編集] 第9番「変幻」

1974年に日本プロ合唱団連合の委嘱により作曲され、田中信昭指揮で初演された。混声合唱、オルガン、2つのハープ、2つのコントラバス、打楽器。テキストは黒田喜夫の同名の詩と、農民一揆についての古文書である。初演されたきり、少なくとも20年の間再演されておらず、2007年時点においても同様であると思われる。作曲者はこの曲の改訂を意図している。未出版ではあるが、作曲者本人の著書「現代音楽の冒険」において楽譜の一部が見られる。

[編集] 第10番「オンゴー・オーニ」

1981年、NHK大阪放送局からの委嘱により混声合唱とピアノのために作曲。NHKラジオにて山田一雄指揮、合唱団京都エコー、野島稔ピアノにより放送初演され、第36回文化庁芸術祭ラジオ部門大賞作品となった。全4楽章。カワイ出版より出版されている。

第1楽章は「ねがい」、第2楽章は「おそれ」、第3楽章は「よろこび」、そして第4楽章は「陶酔」を表す。

第1,3楽章は伊豆の青ヶ島に伝わる祭文に触発され書かれた、作曲者自身による詩が付けられている。

また全篇に渡り、ラップランドの民謡ヨーイクの影響を受けており、言葉で表現する事が必然ではなく、メロディの形によってもまた表現ができる事が示されている。

[編集] 第11番

東京混声合唱団の1984年委嘱作品。初演指揮は岩城宏之。農村における子殺し(間引き)がテーマで、混声合唱に鈴と楽琵琶が組み込まれる。「アェーヤー(口よせ)」「なまえもつかずつゆのいのち」「まんじ(卍)」「なはつみ」の全4楽章。カワイ出版より出版されている。

[編集] 第12番「はるかなあしたから」

1986年作曲。児童(女声)合唱と弦楽合奏(もしくはリダクションされた4手ピアノ)。過去現在未来を通した「いのち」がテーマである。「海の章」「魚の章」「鯨の章」「ひとの章」「光の章」の全5楽章からなる。 初演は1986年に古橋富士雄指揮、東京放送児童合唱団と東京メトロポリタン室内アンサンブルにより行われた。カワイ出版より出版されている。

[編集] 第13番「白い貝の女」

混声合唱と打楽器のために1993年に書かれた。アメリカ・インディアン、ナハボ族の創世神話に基いて間宮が作詞した。同年、樋本英一指揮、東京混声合唱団と加藤訓子によって初演された。全1楽章。

[編集] 第14番

男声合唱と打楽器。ヘルシンキ大学合唱団の日本ツアーのために、1994年に作曲された。初演指揮者はマッティ・ヒヨッキ。楽譜はフィンランドで出版されている。仏教をテーマにした作品で、「Shingon(真言)」「Kanjô(勧請)」「Kassatzu(合殺)」の3楽章から成り、サンスクリット語、古代中国語日本語が用いられている。YL男声合唱団(Ylioppilaskunnan Laulajat)により出版されている。

楽譜の最後にPekka Lehtisaloによる解説が付されている。それによると、「これらの言語〔上の3つの言語のこと〕は、仏教が、生まれた地であるインドから、中国を経由して日本へと広まっていったことを表している」とある。

第1楽章「真言」は、バリトンを中心にして書かれており、グリッサンド前打音が随所に用いられている。曲の後半では、バリトンソロが即興的に「毘盧舎那仏(hiroshadafu)」と唱える。

第2楽章「勧請」は、ほとんどがフォルテ以上で演奏される激しい曲であり、ホモフォニックな書法を基本としているものの、バリトンソロが登場すると、各パートが次々に叫び出す。

第3楽章「合殺」は、瞑想を表したものであり、前楽章とは対照的に、静かで厳かな雰囲気を持つ。テノールによる高音域のグリッサンドが特徴的である。

[編集] 第15番「空がおれのゆくところへついてくる」

児童合唱、打楽器、ピアノ。2002年東京放送児童合唱団の委嘱により作曲された。初演時は籾山真紀子が指揮、岩波佳代子がピアノを担当した。本来は児童合唱のためのものであるが、後述の17番初演時には「おじさん、おばさんが歌ってもいいことにした」と作曲者自らの公認を得て変声後の合唱の編成でも歌われた。全音楽譜出版社により出版されている。

1曲目「空が」はアメリカ・インディアンのチッペワ族、2曲目「火の神の誕生」は古代アルメニア、3曲目「きいろい蝶たち」はアメリカ・インディアンのホピ族の口承詩が元になっている。3曲目のみ、ピアノ伴奏が加わる。

[編集] 第16番

2004年に東京混声合唱団の委嘱により作曲された、無伴奏混声合唱曲。「うばらまい」「草の葉には」の全2曲構成。田中信昭指揮により初演。全音楽譜出版社により出版されている。

第1楽章「うばらまい(姥婆等舞)」は、青ヶ島に伝わる巫女神楽「祭文」の伝承をもとに、自由に作り出されたもの。「遠い異次元からの声」と注記されたアルトソロ、「ピカピカに、かん高く」などと記されたソプラノソロなどに見られるように、終始、呪術的な世界が展開される。第2楽章のテキストは、詩人木島始の同名の四行詩(詩集『われたまご』による)と、いくつかのハヤシコトバから成り、「第1楽章のはしゃぎを鎮める」(作曲家による、楽譜の前書き)のを目的としている。おおむね、線的な書法で書かれており、曲の最後では16声部によるポリフォニーが行われる。

[編集] 第17番

2007年8月12日初演の無伴奏混声合唱組曲。「創る会」委嘱、初演指揮・田中信昭。菅江真澄が書き残した民謡の歌詞と、旅日記の文章を基にした、七戸宇曾利牡鹿という東北の地名がタイトルの全3楽章構成。2,3楽章には打楽器奏者を必要とする。

[編集] 合唱のためのエチュード

1982年ブルガリアを訪れた間宮は、現地の民族発声を用いる少女合唱団の演奏会を聴いた。作曲家は、コンサートの前に行われた発声練習も聴いており、「いちばん興味をひかれた」(楽譜の前書き)と書いている。これを機に、西洋の声楽作品とは異なる声を求められる「合唱のためのコンポジション」に取り組むための作品を書くことを考え、1983年から1999年にかけて8曲を作曲した。1曲目と2曲目は間宮指揮、日本合唱協会によって、3曲目と4曲目は同じく作曲家指揮で、横浜女声合唱団によって初演された。5曲目から8曲目までは、音楽之友社企画によるCD『21世紀の合唱名曲選』のために、同社から委嘱出版されたものである。桑原妙子とマルベリー・クワイアによって録音された。

声明、日本の伝統音楽のほか、アイヌスカンディナヴィアのサーミ族、ハンガリー、中央アフリカに伝わる民族音楽が作曲の素材として採用されている。「Etude VI furyu 風流」にはタンバリン、「Etude VII rhythm and shōga リズム エチュード・《唱歌》」には太鼓のパートがある。

[編集] 参考文献・外部リンク

楽譜、CDの解説以外で参考にしたのは次の通りである。

  • 間宮芳生『現代音楽の冒険』岩波新書、1990年
  • 「日本の作曲家シリーズ4 間宮芳生」(『ハーモニー』No.88、全日本合唱連盟、1994年)
  • 法政大学アリオンコール70年史編集委員会編『法政大学アリオンコール70年史』法政大学アリオンコールOB会、1998年
  • 慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団 - 「第3番」初演の録音や、作曲家の文章がおさめられている(第88回定期演奏会)。なお、同サイトの「演奏ライブラリー」で他の第3番演奏および第6番を聴くことができる。



aa - ab - af - ak - als - am - an - ang - ar - arc - as - ast - av - ay - az - ba - bar - bat_smg - bcl - be - be_x_old - bg - bh - bi - bm - bn - bo - bpy - br - bs - bug - bxr - ca - cbk_zam - cdo - ce - ceb - ch - cho - chr - chy - co - cr - crh - cs - csb - cu - cv - cy - da - de - diq - dsb - dv - dz - ee - el - eml - en - eo - es - et - eu - ext - fa - ff - fi - fiu_vro - fj - fo - fr - frp - fur - fy - ga - gan - gd - gl - glk - gn - got - gu - gv - ha - hak - haw - he - hi - hif - ho - hr - hsb - ht - hu - hy - hz - ia - id - ie - ig - ii - ik - ilo - io - is - it - iu - ja - jbo - jv - ka - kaa - kab - kg - ki - kj - kk - kl - km - kn - ko - kr - ks - ksh - ku - kv - kw - ky - la - lad - lb - lbe - lg - li - lij - lmo - ln - lo - lt - lv - map_bms - mdf - mg - mh - mi - mk - ml - mn - mo - mr - mt - mus - my - myv - mzn - na - nah - nap - nds - nds_nl - ne - new - ng - nl - nn - no - nov - nrm - nv - ny - oc - om - or - os - pa - pag - pam - pap - pdc - pi - pih - pl - pms - ps - pt - qu - quality - rm - rmy - rn - ro - roa_rup - roa_tara - ru - rw - sa - sah - sc - scn - sco - sd - se - sg - sh - si - simple - sk - sl - sm - sn - so - sr - srn - ss - st - stq - su - sv - sw - szl - ta - te - tet - tg - th - ti - tk - tl - tlh - tn - to - tpi - tr - ts - tt - tum - tw - ty - udm - ug - uk - ur - uz - ve - vec - vi - vls - vo - wa - war - wo - wuu - xal - xh - yi - yo - za - zea - zh - zh_classical - zh_min_nan - zh_yue - zu -