副露
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
副露(フーロ)とは、麻雀において、他のプレイヤーの打牌により面子を完成させることをいう。ポン、チー、カン(大明槓)の3種類がある。晒す、喰う、叩く、鳴くなどともいう。
広義には、暗槓や加槓を含めて副露と呼ぶこともある。詳細は槓を参照。
他のプレイヤーの打牌により和了すること(ロン)は副露とは別の行為である。
なお、副露していない状態を門前(めんぜん)と言う。
目次 |
[編集] ポン
手牌の中に対子(同種の牌2枚)が存在し、他のプレイヤーがこれと同種の牌を打牌したとき、これら3枚の牌をひとつの刻子とすることができる。これをポンという。なお漢字表記は碰である。
- 注:漢字表記で使われている文字は「碰」(石へんに並:数値文字参照碰)である。この文字はJIS X 0208に含まれてないが、JIS X 0213には含まれており、1-89-8の符号位置が与えられている。すべての日本語環境で表示できるわけではないので、記事名ではカタカナを用いている。
上家からの場合 |
対面からの場合 |
下家からの場合 |
ポンの手順は次のとおり。
なお、どのプレイヤーからポンを行ったのかを明示するため、晒した牌を次のように並べる。
- 上家からポンした場合 左側の牌を横向きにする
- 対面からポンした場合 中央の牌を横向きにする
- 下家からポンした場合 右側の牌を横向きにする
ポンにより成立した刻子(晒した3枚)は明刻子として扱うため、得点計算においては、ヤオ九牌なら4符、中張牌なら2符とする。
なお、ポンされた牌と同種の牌の残り1枚をポンカスと言う。特に字牌のポンカスは国士無双以外に使い道がないので、安全牌となる場合が多い。
[編集] チー
手牌の中に搭子が存在する場合、上家(左側のプレイヤー)の打牌を加えて順子を完成させることができる。これをチーという。なお漢字表記は吃である。
チーの手順は次のとおり。
なお、どの牌をチーしたのかを明示するため、チーした牌を横向きにして晒す。
ポンとは異なり、上家の打牌に対してのみ可能であるという点に注意が必要である(宇宙麻雀ではどこからでも行うことが出来る)。また、三人麻雀ではチーはできない。
ある打牌に対して、ポンやカン(大明槓)の発声が同時に行われた場合は、ポンやカンを優先する。ただし、発声が早い者を優先するルールもある。ワンテンポおいた後に「チー」を発声するのはポンやカンの発声がないことを確認するためである。次の自摸順は必ず自分の番になるため、発声がワンテンポ遅れても他家が気づかずに自摸牌を取ってしまうことがない。
[編集] 大明槓
手牌の中に刻子(同種の牌3枚)が存在し、他のプレイヤーがこれと同種の牌を打牌したとき、これら4枚の牌をひとつの槓子とすることができる。これを大明槓という。これも副露の一種であるが、詳細は槓を参照。
[編集] 関連のあるルール
[編集] 発声の優先順位
あるプレイヤーの打牌に対し、ポン・チー・カン・ロンが同時に行われる場合がある。
この場合、発声のタイミングに明らかな差があれば、発声の早いほうを優先するのが一般的である。ただし、発声がほぼ同時の場合、優先順位は次のとおりとする(但し、ルール上はポンまたはカンは打牌に対して即座に、チーはワンテンポ置いてから発声することになっており、ワンテンポ置いたチーに対して同時発声となったポン(遅ポン)の優先権を認めない団体(101競技連盟など)や雀荘も存在する)。
- ロン
- ポンまたはカン(ポンとカンが同時に行われることはあり得ない)
- チー
なお、同時発声で優先権により無効とされたチーを空チーとしてペナルティの対象にされることはない(発声遅れで優先権を失ったポン(遅ポン)は空ポンとしてペナルティの対象にされることもある)。
[編集] 喰い替え
完成している順子の一部をチーして、順子の構成を変えることを喰い替えという。筋喰い替えともいう。これを禁止するルールもある。
(例)手牌の中に345という順子があり、6をチーして3を打牌する。
(注)手牌の中に234567という2組の順子があり、8をチーして2を打牌し、345と678の2組の順子に組み替えるような場合は喰い替えとは見なされない。
[編集] 副露のデメリット
副露することによって、手の進みは早くなるものの、
- 狙いを他家に読まれやすい。
- 手の自由度が減少する。(捨て牌の選択肢が狭くなる)
- 立直をかける権利を失う。
- 門前の場合に比べて、和了ったときの点数が低くなる場合が多い。(下記参照)
などの欠点もある。
[編集] 役の消滅
副露して作ることの可能な役と、副露すると消滅する役がある。立直、一発、平和、一盃口、二盃口、四暗刻、九連宝燈などは鳴くと役が消滅する。
このうち一発の消滅については、立直をかけた本人以外のプレイヤーの副露によって役が消滅する点において、他の役の消滅(本人の副露によって役が消滅する)と性質を異にする。そのため、立直がかけられた場合に一発の成立を妨害するためだけに副露がなされることもある。
なお、断ヤオについては、鳴いても作ることが出来るルール(喰い断あり)と、鳴くと消滅するルール(喰い断なし)とがあり、喰い断なしのルールは特に関西方面で多く採用される。
[編集] 喰い下がり
副露した場合、翻数の下がる役があり、喰い下がり(くいさがり)と呼ばれる。一般に順子系の役は下がるか消滅し、刻子系の役はそのままの傾向がある。
[編集] 喰い下がり役
副露によって喰い下がりの発生する役は全体役、順子役、であり、刻子役や槓子役では見られない。順子系の役が「鳴くと下がる」のに対し、刻子系の役は「鳴かないと上がる」からである。七対子など副露が不可能な役でも見られない。また、役満役の中には喰い下がり役は存在しない。
以下に喰い下がり役の一覧を示す。
[編集] 二翻 → 一翻
[編集] 三翻 → 二翻
[編集] 六翻 → 五翻
[編集] 喰い下がり役の複合
喰い下がり役が複合し、かつ、副露している場合、それぞれの喰い下がり役の翻数が引かれる。
たとえば下のような手の場合、三色同順とチャンタが成立し、合わせて四翻である。
しかし、下のように九筒をポンしている場合、三色同順もチャンタも喰い下がり、合わせて二翻にしかならない。 この例では、三色同順に関係のない九筒をポンしたのにも関わらず三色同順が喰い下がることにも注意されたい。
[編集] 喰い下がりに似た事例
喰い下がり役ではないが、門前役の一部では副露しても必ず下位役が成立するため、喰い下がりに似た状況となる。