低ザクセン語
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低ザクセン語 Plattdüütsch, Nedderdüütsch |
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話される国 | ドイツ、オランダ |
地域 | ヨーロッパ |
話者数 | 約1000万人 |
話者数の順位 | 100位以下 |
言語系統 | インド・ヨーロッパ語族 ゲルマン語派 西ゲルマン語群 低ザクセン語 |
公的地位 | |
公用語 | |
統制機関 | |
言語コード | |
ISO 639-1 | なし |
ISO 639-2 | nds |
ISO/DIS 639-3 | |
SIL |
低ザクセン語(ていザクセンご、低地ザクセン語、ニーダーザクセン語)は、ドイツ語の北部方言低地ドイツ語(低地とは、ドイツ北部からオランダにかけてのドイツ平原を指す)の内、エルベ川より西のドイツとオランダ北東部で話される方言である。低地ドイツ語の内、おおむねエルベ川より東のドイツでは東ニーダーザクセン語(東低地ドイツ方言)が、北西オランダ以外のオランダからベルギー北部にかけては低地フランケン語に基づくオランダ語が話される。
ISO 693-2の言語コードでは、「nds」である。
[編集] 概要
北ドイツでの言葉をドイツ語の一方言(北ドイツ方言)と捉えるか、独自の言語(低ザクセン語)と捉えるかはドイツ国民の間でも判断が分かれている。元々、何らかの言語が独立言語なのか方言なのかを客観的に決める事は言語学者ですら難しく、多くの場合は政治的な理由から判断される事が多い。
低ザクセン語は1994年以来、欧州連合から独立した地域言語の地位が与えられている。1999年以来、低ザクセン語はヨーロッパ地方言語・少数言語憲章(European Charter for Regional or Minority Languages)により保護されている。低ザクセン語北部方言は、テレビなどの放送言語として使われている。北ドイツ居住者の間でも、次第に自身の話し言葉を方言ではなく、ドイツ語とは異なる別言語である事を強調する者が増えているという。
低ザクセン語は政治上の理由からドイツ語の方言とされているが、標準ドイツ語よりは、同じ低地ドイツ語の低地フランケン方言に基づくオランダ語に近い。実際のところ、低地ドイツ語の各方言には、明確な境界線は存在せず、少しずつ変化しているのである。
また低地ドイツ語は、標準ドイツ語が経験した「第二次子音推移」ないし「高地ドイツ語子音推移」と呼ばれる子音変化を経験していないので、英語やフリジア語、スカンジナビア諸言語との共通点が、標準ドイツ語よりも多い。
文法的にも、英語と共通の部分がある。たとえば、低ザクセン語の名詞には、格が3つしかない(標準ドイツ語は4、英語は代名詞で3)。北部方言では、過去分詞にドイツ語やオランダ語のそれに付くようなge-が付かない。一方、構文はドイツの構文に似ている。多くの南部方言ではge-の代わりにe-が使われる。
低ザクセン語はかつて今日よりはるかに広範囲で用いられた。ハンザ同盟の影響により、バルト海域全体の共通語として使用された。1871年にオットー・フォン・ビスマルクがドイツを統一し、高地ドイツ語が標準ドイツ語として使われるようになるまで、ドイツの標準語としてドイツ北部の多くの領域で使われた。
[編集] 関連項目
オランダ低ザクセン語