乗車券 (ボードゲーム)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『乗車券』(じょうしゃけん、英語タイトル:Ticket to Ride)は、2004年に発売されたボードゲーム。北アメリカ大陸に鉄道路線が描かれたゲーム盤で、列車コマを並べてプレイする。自分の路線をより多く完成させたプレイヤーが勝ち。2004年 ドイツ年間ゲーム大賞 (Spiel des Jahres) ・大賞受賞。ドイツ語版は『Zug um Zug』、フランス語版は『Les Aventuriers du Rail』、日本語版は『チケットトゥライド』(バンダイ)として発売されている。
- 作者はアラン・R・ムーン (Alan R. Moon)。
- 発売はデイズオブワンダー社 (Days of Wonder)。
- プレイ人数は、2人から5人。プレイ時間は30~60分。
公式サイト(英語)では、オンラインでもプレイできる(ユーザ登録要)。日本語でのプレイも可能。
目次 |
[編集] ゲームの概要
ゲームの設定(背景)は、友人同士で毎年行っている賭けによって、限られた時間でより多くの都市を旅行することを競うというものである。
プレイヤーは「乗車券カード」および、9種類(8色とSLカード)ある「列車カード」を手札として持つ。ボードには北米大陸の地図が描かれており、多数の都市とそれらを結ぶ路線が示されている。手持ちの乗車券カードに表示されている2都市間の鉄道路線をつなぐ必要がある。路線で指定されている列車カードを使うと、その路線に自分の列車コマを置くことができ、この区間を旅行したことになる。できるだけ多くの区間を旅行し、自分の目的の路線を完成させることが目的となる。乗車券は複数持ち、途中で追加することもできるが、ゲーム終了時に路線が完成しなかった乗車券はマイナスポイントになる。
[編集] ルール
- 準備。各プレイヤーは、自分の列車コマを45個受け取る。列車カードを4枚もらう。乗車券カードを3枚もらう。配られた乗車券カードは内容を見て1枚は戻してもよい。場に乗車券カードの山札、列車カードの山札を置く。列車カードの山札から5枚引き、表を向けて場に並べる。
- 手番では、以下のいずれかの行動をとることができる。
- 列車カードを引く。列車カードを場から2枚取る。オープンされているカードのいずれかでもよいし、山札でもよい。ただし場にオープンされているSLカードを取る場合は、この手番ではその1枚だけしか引けない。
- 路線の確保。ボードで空いているいずれかの区間に対応する列車カード(例えばボード上の青い枠6マスに対して、青色の列車カードを6枚)を使い、自分の列車コマをその区間に置く。以前確保した路線と接続している必要はない。路線の一部分だけ確保することはできない。置いたコマの数に対応する得点を得る。使用した列車カードは捨て札となる。
- 乗車券カードを引く。山札から3枚引いて、内容を見てから2枚までは戻すことができる。戻したカードは山の下に入れる。
- 列車カードも乗車券カードも、手札に持つことのできる数に上限は無い。
- SLカードはワイルドカードであり、任意の色の列車カードとして使用することができる。
- ボードで灰色の路線は色の指定が無いという意味で、同色であればどの色の組み合わせでもよい。
- ボードで2本の路線が併行している区間は、どちらか一方だけを選択して確保できるが、3人以下で遊ぶ際には1区間につき1人しか路線を完成できない。
- 列車コマを置く際、その数によって得点が入る。数が多いほど得点は高い(1個で1点、3個で4点、6個で15点など)。
- いずれかのプレイヤーの列車コマが残り2つ以下になったら、あと1巡してゲーム終了。それぞれの乗車券カードを開き、得点と失点を確認する。ゲーム終了時に、路線が(一筆書きで)最長となったプレイヤーにボーナス10ポイントが加えられる。
[編集] ゲームの特徴
最終目的がはっきりしているため、各プレイヤーは何をすべきかがわかりやすい。また、そのための条件(この色のカードがあと何枚欲しい)も明快なので、短期的な目標も立てやすい。
各区間は1本または2本の路線しか引けず、早い者勝ちである。他プレイヤーの動向を気にしながら重要な路線を押さえる必要がある。必要な路線を取られてしまうと遠回りの路線を引かねばならなくなる。できるだけ手札を増やしてから効率よく進めたいのと、早くカードを使わないと先を越されてしまうかもしれないのが、ジレンマとなる。
乗車券の選択も重要である。長距離の乗車券はポイントが高いが、未完成だとマイナスとなるリスクもある。また、複数の乗車券で重複した区間が多いと効率がよい。
ソロプレイの感覚が大きいと同時に、他プレイヤーとの競争も重要である。ただし、利害が衝突するのは通常は部分的であり、他者と邪魔し合ったり競り合ったりという要素はそれほど強くはない。勝負はカードの「引き」による部分も大きく、戦略と運の両方の要素が含まれる。総じて、初心者にも楽しみやすいゲームであると言える。
[編集] 受賞歴
- 2004年 ドイツ年間ゲーム大賞 (Spiel des Jahres) 大賞。
- 2004年 ドイツゲーム大賞 (Deutcher Spiel Preis) 6位。
- 2004年 トリック・トラック賞 (Tric Trac d'OR) 金賞。
- 2004年 日本ボードゲーム大賞・海外ゲーム・フリーク部門 1位。
- 2005年 オリジンズ・アウォーズ (Origins Awards) Best Board Game賞。
[編集] シリーズ作品
以下のシリーズはいっさい公式に日本語化されていない(ボードゲーム輸入業者によりルールの日本語訳が行われていることもある)。また、記載した以外の細かなルールが異なることがある。
- 乗車券・ミステリートレイン (Ticket to Ride - Mystery Train Expansion)
- 販促品として作られた、基本セットと組み合わせる拡張セット(10枚の追加カード)。公式サイトからダウンロード可能(ユーザ登録要)。
- 乗車券・ヨーロッパ (Ticket to Ride Europe)
- 2005年に発売された続編。舞台をヨーロッパとし、水域の区間を接続する「フェリー」、山岳部の区間を接続する「トンネル」、他のプレイヤーが完成した区間に乗り入れることのできる「駅」のルールが追加された。
- 乗車券・コンピュータゲーム (Ticket to Ride - The Computer Game)
- コンピュータ上でプレイできるCD-ROM。スイスのマップが追加された。後のバージョンアップでUSA 1910のルールでも遊べるようになった。
- 乗車券・メルクリン (Ticket to Ride märklin)
- 2006年に発売された3作目のマップ。ドイツ国内のマップで新たに、都市間を移動させることで商品を受け取って得点する「乗客」のルールが追加された。ヨーロッパ版で追加されていたルールは廃止された。列車カードは全て絵柄が異なり、メルクリン社の鉄道模型をデザインした凝った作りとなっている。
- 乗車券・USA 1910 (Ticket to Ride - USA 1910 Expansion)
- 基本セットと組み合わせる拡張セット。ミステリートレインのカードに加え新たな目的地カードが追加され、3種類のヴァリアントで遊べるようになっている。
- 乗車券・スイス (Ticket to Ride Switzerland)
- 2007年に発売された、基本セットもしくはヨーロッパ版と組み合わせる拡張セットで、4作目のマップとなる。コンピュータゲームに収録されていたスイスのマップをボードゲーム化したもの。規模が縮小されてプレイ人数は2~3人となっており、「トンネル」のルールをヨーロッパ版から少し変更して引き継いでいる。目的地を複数の隣国の中から選択できる特殊な乗車券カードも存在する。
- 乗車券・北欧 (Ticket to Ride Nordic Countries)
- 2007年にデンマーク・ノルウェー・スウェーデン・フィンランドのみで限定発売された、5作目のマップ。前述した4国とエストニア・ロシアを舞台とする。スイス版と同じくプレイ人数は2~3人であり、ヨーロッパ版から「フェリー」と「トンネル」のルールを引き継いでいる。列車カードは雪国を意識したデザインとなっており、またシリーズ中最長の9マスの路線で接続する特別な区間が存在する。
そのほか、非公式マップとして、イギリス、フランス、ベルギー、ハンガリーなどの、ネットで提供されている盤面もある。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 公式サイト(英語)
- 日本語版公式サイト
- デイズオブワンダー社(英語)
- 作者アラン・R・ムーンのサイト(英語)