両国予備校
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両国予備校(りょうごくよびこう)は、かつて存在した日本の予備校。東京都墨田区両国を本拠地に、大阪府東大阪市布施にも校舎を持っていた。略称は両国(りょうごく)。
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[編集] 沿革
- 1948年、創立者である高畠金蔵が千葉市に高畠英語学校を開校
- 1974年、東京都墨田区両国4丁目38番5号に、旧両国予備校7号館ビルを建設
- 1981年4月、東大阪市足代新町17番5号に両国予備校大阪校を開校
- 1986年4月、文系学部受験科を設置
- 2004年、大阪校が閉校
- 2005年2月8日、東京校が閉校
経営者は、のちに高畠金蔵個人から東京都墨田区の「総合学院」になったが、この件に関し、完全な経営権委譲なのか、校長所有の会社への委譲なのかは不明のまま閉校を迎えた(現在でも明らかにされてはいない)。なお、「全国医科歯科大学進学指導協会」及び「医歯薬受験研究社」等が「総合学院」の主要な系列会社であった。
一時は大手予備校の一つとみなされた時期もあったが、代ゼミ、河合塾、駿台といった予備校に生徒が流れた影響で、両国予備校に入学する浪人生の激減で一般的に生徒募集が困難となってきたことや、特に本拠地である東京校に関しては、東京に河合塾の医歯学部進学専門の校舎が出来るなど競合する医歯薬専門予備校が増加してきたこと等により、経営が厳しくなっていた。このため、「使命が終わった」との判断により(経営陣の談話による)、2005年2月8日に閉校した。
[編集] 概要
医歯薬系に力を入れ、全寮制をとって峻厳な規則を課す、いわゆるスパルタ教育で有名であった。なお全寮制を謳ってはいたものの、特に末期には、実際は通学生でも入学が可能であった。
入学説明会の際には、入学生は5~6時間ほどかけて校長の話を聞き、入学生の学習の意志を確認するために、「将来立派な医療人、立派な社会人になることを決意し、あらゆる艱難辛苦に耐えて受験勉強に励む者以外は、両国予備校に入学してはならないが、誓うか」と問い、入学生に誓いを立てさせた。学生は自宅学習報告書を毎日記入し、学習時間が足りないとみなされた際には「反省書」を書くことが義務付けられていた。予備校に行くと朝すぐに毎日テストが行われていた。
[編集] 校則
- 「将来立派な医療人、立派な社会人になることを決意し、あらゆる艱難辛苦に耐えて受験勉強に励む者以外は、両国予備校に入学してはならない」という有名なフレーズがあった。
- 「恋愛禁止」であった。
- 「両国予備校の真の価値」。予備校生は「生活信条」とともにこのフレーズを入学時に覚えさせられ、はじめての毎朝テスト時に暗記テストがあった。
「長い人生不況も好況もある。また艱難辛苦苦悩のときもある。そんなとき役立つのが全寮制(通学生も入学できる)両国予備校である。人生の困難に立ち向かう力と、たった1年間努力する生活経験は、あなたの人生を大きく変え、自己実現欲求を満たし、生きがいを感じ幸福な将来が約束される。それが両国予備校の真の価値である」。これは、本気で勉強しようとする予備校生に対しては、10年後も覚えている珠玉の言葉であり、そうでない予備校生には苦痛でもあった。
- 「生活信条」。両国予備校での予備校生活を行う上での生活信条をまとめたものであり、入学時に暗記があった。
- 「今日一日素直になること、今日一日真面目になること、今日一日感謝の心をもつこと。」
- これは、初めから素直や真面目になろうと気張るのではなく、「たった今日一日だけでも素直になろう」という気持ちをもち、その積み重ねが最終的に自己改革になるという校長の信念に基づいたものであり、校長の信念の中核にある考え方であった。(よく例として「タバコの話」を引き合いに出していた。タバコの話:生活信条の話をする際、校長は大概「タバコの話」を引き合いに出していた。「タバコをやめるとき、これからもう1本も吸わないと考えてはいけない。きっと長続きはしない。人はそんなに強くない。でもたった今日一日だけタバコをやめよう。これなら、何とかできるかもしれない。その今日一日を積み重ねることが本当にタバコをやめることにつながる。勉強や考え方も同じように今日一日を積み重ねることが大切」。この趣旨の話をよくされることがあり、両国予備校の信条の中核となっていた。
- 「今日一日素直になること、今日一日真面目になること、今日一日感謝の心をもつこと。」
[編集] 校長
[編集] 著名講師
[編集] 英語
- 牧政治 「英語出典研究」などの講義で知られていた。
[編集] 数学
- 江川博康 『大学1・2年生のためのすぐわかる数学』をのちに著す。
[編集] 国語
- 松本成二 “国語の神様”と呼ばれていた。
[編集] 理科
[編集] 社会
- 菅野祐孝 『日本史立体パネル』で有名。
[編集] 校舎
[編集] 東京校
JR総武線で錦糸町~両国(東京都墨田区)付近にさしかかると、同予備校の建物が多数目に入った。それら旧校舎は取り壊され、マンション等となった場所もあるが、空きビルのままの建物も数多く存在している(2007年4月現在)。
なお、プラチナ予備校及び両国予備校の元講師陣により、東京都新宿区に両国プラチナ予備校が新たに発足している(外部リンク参照)。
[編集] 大阪校
近鉄奈良線・大阪線布施駅(大阪府東大阪市)に入ると、同予備校の大阪校舎が目に入り、中で勉強している生徒が多数見受けられた。
2004年6月、大阪校の講師陣が労働組合を結成した直後、経営者の「総合学院」側は「大阪校は同年7月21日で閉鎖する」との解雇予告通告書を教職員に送る一方、生徒や保護者には「閉鎖後、北岡予備校を設立する」などと説明。のち、同年8月17日には「名称は両国予備校大阪校のまま」と発表した。
しかし結局同校は閉鎖され、その受け皿として、元講師の経営する奈良市の「北岡総合研究所」がオーナーとなって「両国BEST」という名称で新予備校が発足したが、募集人員が集まらず消滅した。最終的に旧大阪校は2006年12月に取り壊され、更地になっている。ただし、跡地付近の広告塔は残されたままとなっている。
[編集] テレビCM
女優の山本陽子が“Do your best!”と、受験生を鼓舞する内容であった。しかし、山本はいわゆる受験生世代から大きく離れた世代の女優であり、受験生の親をターゲットにしていたCMであったと評価されている。背景には受験生は入学を希望する者が少ないが、親は入学させたいと考える者が多かったことがあると言われている(スパルタ教育による指導が評価されていたからだと思われる。)。放送時期や時間帯は現在のところ詳細不明であるが、少なくとも1980年代や1990年代には首都圏を中心に放送され、一時期は昼のゴールデンタイムに全国ネットで放送されてもいた。
[編集] 校歌
両国予備校校歌は5番まである軍歌調のもので、同校のHPで聴くことができた。生徒は授業開始前の朝礼で毎日これを歌うことになっていた。また、昼休み時間中には校内放送でストームの歌が放送され8番まであり軍歌調のものであった。 また寮の起床時間にも聞くことが出来た。
- 両国予備校校歌 作詞:高畠金蔵 作曲:飯田信夫 歌:小鳩くるみ 東京混声合唱団
- ストームの歌 作詞:高畠金蔵 作曲:雅木しげる 歌:東京混声合唱団
- 両国予備校讃歌 作詞:高畠金蔵 作曲:小沢直与志 歌:東京混声合唱団
- 両国予備校寮歌 作詞:高畠金蔵 作曲:小沢直与志 歌:東京混声合唱団
- 両国予備校応援歌 作詞:高畠金蔵 作曲:渡久地政信 歌:東京混声合唱団
- 眸(まみ)の寮歌(うた) 作詞:高畠金蔵 作曲:渡久地政信 歌:小鳩くるみ 東京混声合唱団