三弦橋
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三弦橋(さんげんきょう)は、北海道夕張市のシューパロ湖に架かる旧森林鉄道の鉄橋である。北緯43度1分23秒東経142度6分36秒にある。
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[編集] 沿革
1962年(昭和37年)完成の大夕張ダム建設により、それまでの下夕張森林鉄道線夕張岳線の一部が水没することとなり、その移設補償工事として北海道開発局により建設された。正式名称を「第1号橋梁」といい、1958年(昭和33年)に完成した単線鉄道橋(軌間762mm)である。夕張岳線ではこの補償工事で6つの橋梁が架設されたが、三弦橋はシューパロ湖の湖尻を横断するため、その中で最大規模のものである。
三弦トラス(Triangular truss、Three chord truss)と呼ばれる、下路トラス橋であるが上弦材が1本、下弦材が2本、断面が三角形で、四角錘を連ねた特異な構造である。同構造を採用した理由は、鋼重と建設費用の低減および、周囲の景観を損ねない美しいスタイルをという配慮からと言われている。同形式としては国内唯一の、世界的にも稀有な鉄道橋である。上部構造製作・架設は株式会社東京鐵骨橋梁製作所(現社名・株式会社東京鐵骨橋梁)、下部工は大成建設株式会社の施工による。
この特徴的な構造と鋼重450t、長さ381.80m(最大支間77m、7連)という、長大さは全国の森林鉄道でも他に例がない。秀峰「夕張岳」を配し、人造湖「シューパロ湖」の湖面を低く横切るその美しい外観は、地元の大夕張郵便局(1997年廃局)の風景印にも使用され、地域の象徴的存在であった。しかし、林道の整備が進み木材輸送が森林鉄道からトラック輸送に替わったため、1963年(昭和38年)に夕張岳線が廃止となり、完成からわずか6年間しか供用されなかった。
現在、大夕張ダムの下流に建設中の夕張シューパロダムが完成すると水没する運命にある。
[編集] 今後の動向
夕張シューパロダムが建設される夕張市では、ダム周辺整備計画の検討を行うことを目的に、夕張市、学識経験者、北海道開発局、札幌土木現業所、住民組織対策委員会、市議会、市農協、青年会議所などから構成させる「夕張シューパロダム周辺整備検討委員会」が2001年(平成13年)11月に設立され、2004年(平成16年)8月に周辺整備の基本方針として「巨大ダム建設を契機として、夕張岳の自然や炭鉱・林業などの歴史を資産として守り育てる」ことを諮問した。そのなかで「三弦橋」の保存や活用には特に配慮することとなったが、その後の夕張市の財政破綻により周辺整備計画は具体化していない。なお、シューパロダム完成後の管理用船舶運航に支障の無いよう、1連分(39.00m)は取り外される予定。
[編集] データ
- 種別 - 下路ワーレントラス、三角断面
- 鋼重 - 450t
- 全長 - 380.80m(支間1×39.00m、1×77.00m、5×52.080m)
[編集] アクセス
国道452号沿いの大夕張ダム管理事務所横の駐車場より眺望出来る。公共交通機関利用の場合は夕鉄バス南部停留所下車、徒歩約15分。なお、右岸・左岸とも近づくことは困難である。
[編集] 鉄道以外の三弦トラス橋
三弦トラスは水管橋に多用されているが、道路橋や人道橋としても存在している。1972年(昭和47年)5月完成の三ツ石橋が高知県大川村の早明浦ダム湖に架かるが、逆三弦トラスとして上弦材2本、下弦材1本の道路橋も存在する。また人道橋としては逆三弦の中路橋であるあやとり橋(石川県加賀市)が観光名所となっている。
[編集] ドイツの三弦橋(Dreigurtbrücke Düren)
ドイツのケルン(Köln)-アーヘン(Aachen)間のデューレン(Düren)を流れるデュー(Dur)川に同様の構造を持つ鉄道橋(De:Dreigurtbrücke Düren、支間78m,複線)が存在する。同区間の鉄道は1841年に開通、当初は石造の橋が設けられていたが1928年より架け替え工事が進められ、1930年に世界初の三弦トラス橋として完成した。その後、第二次世界大戦において連合軍により破壊されたが、その後修復され、記念碑的に保存されている。
[編集] 外部リンク
- 三弦橋
- ふるさと大夕張(個人サイト)
- 夕張シューパロ湖三弦トラス橋 - Naoyuki KON's HomePage(個人サイト)
- 夕張・偉大なる産業遺産を求めて(>夕張の産業遺産>三弦橋) - Noritax World(個人サイト)
- 重構桁鉄道橋の最期 - 天翔艦隊(個人サイト)
- 夕張岳を目指して(大夕張森林鉄道夕張岳線跡)その1、その2 - ぐちくんのHOMEPAGE7(個人サイト)
- ドイツの三弦橋(画像)
- Foto von der Einweihung am 3. August 1930(独)
- Foto aus Seitenperspektive im Jahr 1949(独)
- Foto der Brücke im Jahr 2002(独)
[編集] 参考文献
- 『土木学会北海道支部論文報告集』第51号(B)/第55号(B) 1995年
- 『鉄道廃線跡を歩く5』(大夕張周辺の森林鉄道) - JTB出版 1998年 ISBN 4-533-03002-5
- 『トワイライトゾーンMANUAL 2』 - ネコパブリッシング 1993年
- 『鉄道ピクトリアル』No.627 - 鉄道図書刊行会 1996年