トラス橋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トラス橋(トラスきょう)は桁部分にトラス構造を使った橋である。トラスは細長い部材を両端で三角形に繋いだ構造でありそれを繰り返して桁を構成する。 トラス橋は桁橋の一種に分類される。
材料としては木材や鉄などの金属が使われるが、ある程度以上の規模の橋は鋼鉄が主流である 鉄を使ったものの場合多くは箱型断面やH型断面の溶接構造が一般的だが、H型鋼や山型鋼が組み合わされた構造の場合もある。近年コンクリート製のものも作られるようになった。
トラス橋の設計に伴う構造計算では部材のつなぎ目は一点で繋がり自由に回転できるようになっているとして考える。理想的なトラスでは荷重や温度変化に伴う部材のたわみや伸縮はこの接続点部分に集約される。 実際の橋梁においては、初期のトラス橋では理論と同じピン接合の構造が見られたが、現在ではガセットプレートによる剛結接合が一般的である。
トラス構造は他の形式の橋梁でも部分的に用いられることがある。吊り橋の桁部分やアーチ橋のアーチ部分がトラスである場合がある。 橋脚がトラスである橋もあるがこれのみでは通常トラス橋とは呼ばれない(例:余部鉄橋、桁部分はトラスではない)。
橋で使われるトラスの形式には図のようなものがある。他にプラットトラス全体を三角形に変形したようなキングポストトラスというのもある。橋自体の形式は次項参照。
目次 |
[編集] 代表的なトラス橋(所在地)
[編集] 単純トラス橋
2つの橋脚でトラス構造の桁を支えるもの。トラス橋として最も簡単な形式である。
- 近鉄京都線澱川橋梁 - 単純トラス橋では日本最長の164.4mを誇り、登録有形文化財指定(奈良電気鉄道の項目も参照)。
- 箱根登山鉄道鉄道線早川橋梁 - 1888年製のトラス桁を使用した、現存最古の鉄製トラス鉄道橋
- 出島橋 - 1890年製の日本で現役最古の鉄製トラス道路橋
[編集] 連続トラス橋
トラス橋を連ねたもの。
- 関西国際空港連絡橋 全長3750m。トラス橋として世界最長。
- 高千穂橋梁 水面からの高さ105mは鉄道橋として日本一の高さ。
- 犬山橋(鉄道橋のみ) 日本最後の鉄道道路併用橋。2000年に南側に新しく道路橋(けた橋。この橋も犬山橋と呼ばれる)が架けられ、現在は名鉄犬山線専用となっている。
[編集] カンチレバートラス橋
ドイツ人の発案者(de:Heinrich Gottfried Gerber)の名前をとってゲルバートラス橋とも呼ばれる。トラス構造の片持ち梁と、それに支持される橋桁とで構成される。
[編集] 三弦トラス橋
断面が三角形となったトラス橋。