金属
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金属(きんぞく、メタル、英語:metal)とは、おおむね次のような性質を持つ物質の総称である。
- 導体 - 自由電子が担体となるため
- 磨くと光沢を放つ(金属光沢) - 自由電子が光を弾くため
- 常温では固体(例外は水銀)
- 固体は結晶構造をもつ
- 不透明
- 硬度が高い
- 抗張力が大きい
- 弾性がある
- 可鍛性がある
- 疲労に対する抵抗力がある
- 正の原子価をとる(単独では陽イオンとなる)
- フェルミ面を持つ
- 熱を通しやすい
目次 |
[編集] 金属の硬さ
金属は一般には硬いものとしてイメージされ、ひっかき硬さなどの意味に置いては実際に硬いものが多い。しかし、アルカリ金属・アルカリ土類金属のように柔らかいものもある。
また、延性という観点に立てば、むしろ金属は柔らかく(延性があり)加工しやすいのが特徴といえる。工業的に大量に利用されている理由も、強度と加工しやすさのバランスの良さにある。
さらに、科学的に見ても金属はその結合に自由電子が介在することが特徴となっている。自由電子の形態は、その名の通り、液体のように金属材料中を自由に動き回ることが特徴である。従って、金属を固体の様に位置を変えない原子と、液体のように自由に動く電子で構成された「柔らかい湿った粘土のようなもの」と捉えることもできる。また、この液体のような自由電子は、金属光沢の原因ともなっている。
[編集] 鉄基合金の特異性
鉄基合金は構造部材としては鉄鋼と呼ばれ、その潤沢な生産性により様々な分野で活躍している。しかし、鉄基合金の活躍は、構造部材にとどまらず、低熱膨張材や永久磁石、軟磁性材料など多岐にわたる。構造部材にしても、セラミックスや超硬、その他非鉄金属などとちがい、熱処理による強度増幅能力が高く、鉄を加工する工具や金型に多用される。また耐熱性、耐食性なども高い可変幅を有する合金系である。ただし、これら鉄自体と違う別種の元素を添加し、それに応じた熱処理を施すことにより鉄自体と似ても似つかぬ金属に生まれ変わる。
[編集] バンド理論における金属
バンド理論によって記述されるように、金属とは状態密度においてフェルミエネルギー上の状態が有限に存在する状態(バンドギャップがない状態と言える)、またはその状態を示す物質である。類似した状態に半金属がある。
金属は温度が下がると電気伝導性が上がる。逆に温度が上がると電気伝導性は減少する。これは温度の上昇に伴って伝導電子がより散乱されるためである。この性質から、絶対零度に向けて金属の電気抵抗はゼロになることを検証する過程で、超伝導が1911年にヘイケ・カメルリング・オネスによって発見された。
実際の金属では、零点振動や不純物、欠陥などの影響により伝導電子は散乱されるので、超伝導のような相転移がない限り、絶対零度のごく近傍においても抵抗は存在する。
[編集] 関連項目
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