弾性
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弾性(だんせい)とは、力を加えると変形するが、除荷すれば元の寸法に戻る性質をいう。原則的には固体に見られる性質である。英語で弾性をelasticityというが、この語源はギリシャ語の「戻る」からきている。一般的には弾力とか弾力性とかの後が使われるが、これはほぼ弾性と同義である。ただし、一般に弾力に富むと言えば、変形しやすく、なおかつ元に戻ることを指すから、内容はとにかくイメージは若干異なる。
[編集] 概要
多くの材料は、変形が小さい範囲(弾性範囲内)では、変形しても元に戻る、つまり弾性を示す。この言葉を最初に使ったのはボイルである。
このとき、応力 σ はひずみ ε に比例し、その比例定数Eを弾性率という。特に引っ張り変形に対するEをヤング率 という。
- σ = Eε (フックの法則)
この弾性を示す範囲の変形を弾性変形という。ここから応力がある限界を超えると、弾性の性質から元にもどらない塑性変形を起こす領域へ変わる。その際の限界点を弾性限界点または 降伏点という。
弾性体という用語は、工学的分野で材料の変形を議論する場合のモデルの分類として使われる。(「弾性体力学」など)。
材料の分野で弾性体(elastomer)とはゴムのように、金属などに比べて大きな変形をする材料を指す。ゴムの弾性は エントロピー弾性に分類される。(それに対して金属などの示す弾性をエネルギー弾性と呼ぶ)。
[編集] 超弾性
超弾性は、形状記憶合金が弾性を発揮して予め設定された所定の状態・形状に戻る性質において、鋼など一般の機械要素に使われるばねに比べ、より弾性変形の許容幅が大きい性質を指す。
例えば機械要素として形状記憶合金製のばねを、その機械の作動温度より低い温度で弾性を回復する合金でばねを作って使用した場合、より大きな負荷をばねに掛けることが可能であるため、より工学面で有利な設計を行うことができる。特に弾性回復温度が低い形状記憶合金は、超弾性合金とも呼ばれる。