ローマ人
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ローマ人は、
- 古代のイタリア半島中部に居住していたインド・ヨーロッパ語族のラテン人のうち、ローマ市に居住、あるいはローマ市民権を得たもの。ローマ帝国を建設した民族。「古代ローマ人」。
- 1.が建設したローマ帝国で、ローマ市民権を取得したもの。この場合、ラテン人の血統を引くとは限らないし、ラテン語話者とも限らない。カラカラ帝による「アントニヌス勅令」で帝国内の全自由民がローマ市民権を保有することになり、その数は非常に多くなった。このため東西分裂後の東ローマ帝国では、住民の大半がギリシャ系であったが、ローマ市民権保持者として15世紀の帝国滅亡まで「ローマ人」と自称しつづけた。東ローマ帝国がオスマン帝国に滅ぼされた後も、オスマン帝国領のギリシア語を話すキリスト教の正教会信者は、18世紀から19世紀にかけて西ヨーロッパからナショナリズム思想がもたらされるまで、ローマ人を名乗っていた。彼らがナショナリズム思想の影響を受け、古代ギリシアの文明にアイデンティティーを感じるようになって近代民族としてのギリシャ人が誕生した。ただし、現在のギリシャでも、自らを「ローマ人」という呼ぶことがあるという。
- 現代のイタリアにおいてローマ市、およびその周辺に居住する人を指す。
- ルーマニア人の自称。ダキア地方に住みついた1.の末裔と称している。「ルーマニア」という国名も「ローマ人の国」と言う意味である。