ローマ市民権
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ローマ市民権(Roman citizenship)は、古代ローマ市民に与えられた諸権利。
具体的には、市民集会(民会)における選挙権・被選挙権、婚姻権、所有権、裁判権とその控訴権(ローマ法の保護下に入る)、ローマ軍団兵となる権利など。また属州民税(収入の10%)も課されない。
[編集] 歴史
ギリシアのアテナイが市民権の獲得を厳しく制限したのに対し、ローマは、徐々にこの市民権を他部族・他民族、果ては解放奴隷にも獲得させ、広大な国家を形成していった。そして前1世紀の同盟市戦争を契機にイタリア半島の諸都市に市民権が拡大された。
その後地中海世界が統一され帝政に入ると、さらに市民権は拡大されていく。カエサルは教師と医師の職にある者にその期間中は授与する事を定めた。そしてアウグストゥスによって、属州民が補助兵に志願し(その間属州民税は免除。兵役こそが最高の税であり、金の税はその代理という解釈であった)、満期除隊した際に世襲のローマ市民権を与えることを定めた。
最終的には212年にカラカラ帝が発したアントニヌス勅令により、帝国内の全自由民に市民権が与えられた。しかしこれによって「獲得する権利」から「与えられた権利」となってその価値が大いに揺らぎ、ローマ衰退の決定的な一因となった。
[編集] 市民権の資格
ローマ市民権は以下の者に与えられる。
- 正式な婚姻の関係にあるローマ人の両親より生まれた男子は自動的に与えられた。
- 解放奴隷はローマ市民権が与えられるが、彼らは以前の主人と主従関係にあり、そのクリエンテスとなった。
- 解放奴隷の子供は自動的にローマ市民権が与えられた。
- ローマ人の軍団兵(百人隊長は除く)は正式に結婚はできず、内縁関係から子供があっても兵役期間内は子供にはローマ市民権が与えられなかった。しかし除隊・退役後には子供には認められた。
- ローマ市民を持たない者でも高額な金額を出資できれば市民権を買う事ができる。
- 入隊当時ローマ市民権を持たなかったローマ支援軍の兵は兵役期間を務め上げ退役すると世襲のローマ市民権が授与された。その子供は自動的にローマ市民権を持つ事になり父とは違いローマ市民権を持つ者から構成されるローマ正規軍への参加が可能となった。
- ローマに対して大きな貢献をした者にはローマ市民権が与えられた。補助兵でも上位の隊長クラスになると、満期除隊を待たずにローマ市民権を得た。