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モーリー・ロバートソン - Wikipedia

モーリー・ロバートソン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

モーリー・ロバートソンMorley Robertson1963年1月12日 - )は、日本で活動しているジャーナリストミュージシャンラジオパーソナリティ。国籍はアメリカ

目次

[編集] 人物

アメリカ人の医師と日本人ジャーナリストのロバートソン黎子の間に生まれる。ニューヨーク生まれだが、両親の転勤で、アメリカと日本・広島富山に転校を繰り返した。日英2カ国語を喋る。どちらの言葉でも訛りは無いが、若干日本語に偏った発想で喋るようになったので、英語インタビューの最中にためらうことがある。世界各地の政治や文化に詳しい。朝鮮語中国語の単語も数多く知っている。

[編集] 略歴

特に但し書きの無いラジオ番組については、基本的にJ-WAVEの番組を表す。

[編集] 幼少・青年期

幼いころから日本とアメリカの学校を行き来しており、日本でも公立学校インターナショナルスクールの両方を経験している。

柔道部などで優秀な成績を収めていたが、生活態度の悪さが問題となり広島修道高等学校から自主退学を勧告された。退学間際に黒帯を剥奪されそうになったため、体制と化した競技に対して深い疑問を抱くようになる。その流れで国民的なスポーツも忌避する傾向がある。

日米両国の教育制度の間にはさまってしまったため、制度と文化の両面で数々の混乱を体験した。修道高等学校を自主退学の後、母の実家である富山県に移住。修道高校から転入先の候補であった高岡高校に「問題児だ」との通知がなされたため、当初、高岡高校は転入に難色を示し、聴講生の扱いでしばらく通学。その後に編入を認められた。指導者気質が認められたためか、高岡高校での校内バンド活動も禁止された。不良の扱いを受け続けることに不当さを感じる中、地元のパンクバンドにインスピレーションを受けたことがきっかけで一転、猛勉強を始める。偏差値がみるみる上がっていった結果、手のひらを返したように模範生の扱いを受けるようになった。この二転三転が、後々の権力者への疑いと反抗の意識を養うきっかけになったとも言える。高校時代の体験は著書(後述)に詳述されている。

1981年3月富山県立高岡高等学校卒業。アメリカの学校は算数・数学のレベルが低すぎた上に、教員のやる気も感じることができなかったと本人は著書で語っている。このためアメリカの学校においては常に数学はトップであったという。

現役で東京大学ハーバード大学イエール大学プリンストン大学スタンフォード大学等世界的にトップの大学に合格。東京大学に入学するも、講義がつまらないため三ヶ月で中退する。

CBSソニー(現:ソニーミュージックレコーズ)から酒井政利のプロデュースで自作自演の音楽のアルバムを発表。上京していきなり夢が叶えられる一方で、芸能界の現実をも目の当たりにする。子供の頃からテレビで見聞きしていた芸能人がプロダクション経営者になっていて、裏社会につながったような発言を連発する光景に遭遇し、ショックを受ける。ソニー社内でも売り上げ一辺倒の会議にもまれ、消耗品のような立場に置かれていることに不純さを感じる。その後、当初は憧れていた日本の音楽業界に嫌気が刺したために渡米を決意し、ハーバード大学へ進む。

世界初である 東京大学・ハーバード大学の両方に現役合格という快挙を成し遂げたモーリーはメディアから注目され、日本の企業から学費を全額肩代わりする代わりに入社を要請する打診すらあったが、結局すべて断る。

同年9月にハーバード大学へ入学する。電子音楽を専攻した。イワン・チェレプニン教授(故人)に師事し、特殊なアナログシンセサイザーであるSerge Modular Music Systemを修得した後、視覚環境学部を専攻し、電子音楽とビジュアルを組み合わせたアニメーション制作によって優等で卒業した。

[編集] 大学卒業後

大学卒業後は自称ミュージシャンのニートであったと本人が語っている。

ハーバード大休学中に書いた自叙伝的な著書「よくひとりぼっちだった」を1984年文藝春秋より発表。出版時には5万部が売れた。

1991年には帰国し、自叙伝の続編である「ハーバードマン」を文芸春秋社より発表。

[編集] Across The View時代

1991年より、FMラジオJ-WAVEの深夜番組「Across The View」のナビゲーターを6年半にわたって勤める(新日鉄のスポンサー降板にあわせて降板した)。番組では、バンド「スターリン」のミチロウと渡米、サンフランシスコギグ、さらにアリゾナ州にあるネイティブ・アメリカン(インディアン)のホピ族を共に訪ねる。バンド「突然段ボール」とコラボレーションを種々雑多に行い、一年間バンドメンバーとして参加。アルバム「スーパー」を共に発表、「クアトロ」でもライブを行った。またリスナーを巻き込んだアート式のプロジェクトも目まぐるしく発案。「シンセで勝負」というアマチュア演奏者同士の即興バトルや、リスナーが即興で書いた詩や散文をファックスで募集するという「クリエイター」寄りのものもあれば、大勢のリスナーを動員してのクラブイベント「Love Camp」も主催した。また、ラジオ業界では初めてニフティサーブ(当時)の文字チャットをスタジオ内で立ち上げ、生放送にフィードバックできる方式を作った。

1996年には自主制作のアルバム「空からモーリーが降ってくる」を徳間ジャパンから発表。フジテレビインターネット紹介の深夜番組「Revolution No.8」の司会をしたり、プラズマ・レーベルと契約し松武秀樹のユニット「Tansu Matrix」にゲスト出演。松武のプロデュースによるミニマル・ミュージックのアルバム「ビーナス」を、オンライン配給形式で発表(Liquid Audio)。その後「ビーナス」は発売元の音楽配信サイトの業務譲渡にともない、市場から消える。

[編集] 2000年以後の活動

[編集] NOMAD CITY

2000年から2003年まで、「NOMAD CITY ~THE モーリー・ロバートソン計画~」のナビゲーターを勤める。

当初はJ-WAVEのLIVING IN TOKIOキャンペーンの間の期間限定番組であったが、好評のためその後毎週日曜夜8時より放送された。末期には日曜深夜2時に移る。

番組ではインターネットなど新しいメディアの台頭を独自の視点で解説した。自主制作による表現を後押しするために、自らNOMAD TOOLというMac向け音楽制作ソフトを開発したり、視聴者からの素材をベースに作ったNOMAD SONGも誕生した。

2002年2chムネオハウスムーブメントが起こると、番組内で楽曲の一部を著作権の限界まで放送。初めてムネオハウスの楽曲を紹介するラジオ番組となった。その後自身もDJとしてイベントに参加しようとしたものの、2ch住民との意見の不一致により断念した。

[編集] Jam the WORLD

2001年10月より、「Jam the WORLD」の木曜日と金曜日ナビゲーターを担当する。

しかし開始から数回目の放送の、共産党議員のゲストと対談をするコーナーにおいて、あらかじめJ-WAVE側から用意された原稿や質問をすべて無視してアドリブでの対談を行った。ゲスト側は突然の予定不調和に困惑して冷静な回答ができなくなった。コーナー終了後はモーリーのトークの時間が縮小され、音楽が通常よりもかなり多めに流れた。

そしてこの放送以後、J-WAVE側による視聴者への事態の説明もなく突如「JAM THE WORLD」を降板させられた。

このような、政治家との対談でさえも台本がないと行えない、という日本の放送業界の意表をつく挑戦的な行動が「ラジオ業界の鬼っ子」とも呼ばれる要因ともなっている。

[編集] Elan Vital

2006年4月から福岡県Love FMにおいて「Elan Vital」月曜日と火曜日のエア・ジョッキー(パーソナリティ)を担当した。ちなみに同番組の水曜日〜金曜日の担当は親友でもあるJ-WAVEナビゲーターのロバート・ハリスで、東京の六本木にあるスタジオから生放送された。

しかし、2007年初頭より「チベトロニカ」プロジェクトの始動が決まったことなどにより、同年12月26日の放送をもって降板した。担当最終日はロバート・ハリスとのダブルキャストで放送された。降板後も数回、ロバート・ハリス担当時にゲストとして出演した。なお番組は2007年9月28日で終了したが、リスナーからはモーリー・ロバートソンの復帰を望む声が多かった。

[編集] レギュラー番組

[編集] Early Morley Bird(2004年〜)

  • 2004年より、FM81.3 J-WAVEより時事解説・放談番組「Early Morley Bird」を日曜朝5時より放送している。扱うテーマは国際情勢から国際的な格差問題、文化、旅行、新しいメディア、インターネット等、様々で「世界の小難しい話を分かり易く解説する」と公式ページにはある。
  • 2007年8月19日の番組ではウィキペディアをテーマとして取り上げた。このページについても言及している。

[編集] i-morley(2005年8月〜)

  • 不定期に配信されている同氏のポッドキャスト番組。これまでの日本のラジオ局との度重なる確執、発言への検閲・規制に辟易し、日本でのポッドキャスト自主制作番組「i-morley」の配信を開始する。しかし、実際の放送に関しては完全に無制限な「言いたい放題」ではない。一度公開した番組を短い期間の後に伏せるという「自主規制」を頻繁に行ったり、話の内容によっては「ピー音」のモザイクを入れて自主検閲を行う二面性も持つ。ただ、「ピー音」などはパズルのような入れ方をしているので、情報通だったり読解力があるリスナーには伏せられた内容が大方わかるようにしてある。また、リンクが伏せられたり削除されたりした番組のファイルは「2ちゃんねる」の関連スレッドで誰かがほぼ確実にアップロードをする。このため、「自主検閲」も「2ちゃんねる」スレッドとあうんの呼吸で成り立っているようなところがある。放送業界のタブーに触れてはカモフラージュをすることが一つの戦術であるとも言える。
  • 番組では共同パーソナリティである女優の池田有希子らと自らの思想、心情を中心に不定期に配信している。元々は女優・河野麻子と立ち上げたものであり、河野主演による短編映画「風紋の歌声」も製作・配信されたが、2006年秋頃に突如降板、その後は数回ゲスト出演した池田が共同パーソナリティになっている。前述のロバート・ハリスも不定期で出演する。尚、JASRACとの確執からか、番組内で使用されている楽曲は全てモーリー・ロバートソン本人の創作による。
  • 2007年6月30日からモーリー・池田の2名でベトナム・カンボジア・タイ・ラオスを陸路で周遊し、各地のネットカフェやホテルの回線などから番組を送信。池田は先に帰国するが香港に移動したモーリーとスカイプを使った番組配信を継続する。これは後述の「チベトロニカ」とほぼ同様のスタイルである。7月17日モーリーが香港から海外送信をしている最中に登録者数は25万人に到達、それを記念してTシャツ販売に踏み切る。2008年3月、35万人を突破、さらに増え続けている。なおPodcasting Juice(ニフティが提供するポッドキャストサービス)のFAQによれば「登録者数」とは「受信ソフトに登録したリスナーが番組を登録したのべ合計」を指すため、正確なリスナー数ではない。2008年6月、自らの執筆活動への専念と池田の舞台スケジュールの都合により同年9月まで更新停止(「夏休み」)を宣言した。

[編集] i-morleyで採上げられる主なトピック

  • 人権問題
  • JASRAC問題及び著作権問題
  • 国際情勢
  • 音楽
  • インタビュー 等

[編集] tibetronica(チベトロニカ)

2007年2月6日から3月22日まで、日本ポラロイドが協賛するアート・プロジェクト「tibetronica(チベトロニカ)」で総指揮を務め[1]チベット自治区新彊ウイグル自治区などへ渡航し現地取材した。この取材旅行には写真家の相田年一や前述の池田有希子も同行していた。現地から送られた映像や音声はビデオポッドキャストあるいはポッドキャストとして配信されているほか、公式ウェブサイトでも直接視聴が出来る。(ビデオポッドキャストで配信された映像はYouTubeにも掲載され、それを公式ウェブサイトでシェアする形式をとっている。)またライブドアが提供するねとらじを利用して現地からインターネットラジオの生放送も行い、その一部も編集されポッドキャストとして配信されている。ロバート・ハリスもゲスト出演したこの生放送では、2ちゃんねるのスレッドを読みながら放送したり、生放送を聴いているリスナーをSkypeを通じて出演させたりして3月末までほぼ連日放送し続け、時には放送時間が5時間にも及んだ。同年6月15日にその活動報告会が催された[2]後、公式ウェブサイトではクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下、取材時に撮影された映像や写真、録音された音声などが公開されている。なお、タイトルの「tibetronica」とは、モーリー自身による「Tibet(チベット)」と「Electronica(エレクトロニカ)」の造語である。

[編集] その他の活動

  • 2003年1月、いぬん堂よりアルバム「疾風怒濤る」をCD発売。ロック調の仕上がりにコミカルな調子のボーカルが絡む、ガレージサウンド。韓国に遠征ツアーも行ったが、バンドの寿命は短かった。
  • 2006年8月23日、徳間ジャパン・コミュニケーションズより旧譜「空からモーリーが降って来る」のCDで再発売。新たにiTunes Store上でも発売を開始した。モーリー率いるアバンギャルド・バンドが実験的に演奏。電子音・ノイズ・フリー演奏・ロック・カントリー・メキシカンなどのスタイルがごっちゃにあつらえてあり、一言で言うなら本人の趣味をとことん追求した仕上がりになっている。再発盤には新曲「君の歌」が追加され、この曲のベーストラック・シンセトラック・ボーカルトラックはそれぞれ著作フリーのサンプル音源として同梱されている。
  • 2007年9月、いぬん堂よりアルバム「TRANSHART」を発売。これは1996年頃に一部の店頭にて発売されたものの再リリースではあるが、ジャケット、レーベル面、曲名表などが全く無いCDである。当時担当していた「Across The View」の中で放送した楽曲も収録されている。
  • 2008年6月1日、エレクトロ&トランス・レーベルの「Big Crunch」からリリースされたコンピレーションアルバム「E.T.」に「Analog」名義で「Analog」という楽曲を提供している。

[編集] その他

  • 服はユニクロを愛用し、収入が多くても、変える予定はないと公言していた。しかし「チベトロニカ」で高地順応をしたことがきっかけでティンバーランドに路線変更。ナイキのスポーツウェアも着るようになった。
  • 四つ星レストランを多用する一方、業務用コーヒーで有名なドトールコーヒーも頻繁に利用している。
  • パソコンオタク的な生活のため太りつつあり、2ちゃんねるでは「禿げダルマ」と揶揄される。インタビューでは「体格はマイケル・ムーアと似ている」と自虐的な発言もしている。モーリー自身は2006年頃からヨガを通じたダイエットを行っている。
  • 2007年東京MXテレビの番組「blog TV」への出演依頼があったが、自らの番組i-morleyの中で断っている。この時点で、タブーの多い既存のメディアから完全に距離を置いている。
  • さまざまな報道を見ているが、特にBBCに信頼をおいている。
  • アルバム「空からモーリーが降って来る」の売上げを番組で自ら明かす。版元の徳間ジャパンコミュニケーションズからの印税報告書の中では、出荷枚数は2007年3ヶ月間(4、5、6月)で10枚、印税収入は7,023円である事をi-morley番組内で公表。
  • 番組では度々、その信ぴょう性に断りを入れつつウィキペディアのページをソースとして引用している。

[編集] ディスコグラフィー

[編集] TV出演

[編集] 著書

よくひとりぼっちだった
1984年 文藝春秋 (ISBN 416338670X; ISBN 978-4163386706)
ハーバードマン
1991年 文藝春秋 (ISBN 4163452303; ISBN 978-4163452302)

[編集] 脚注

  1. ^ ポラロイド社とモーリー・ロバートソンの共同ウェブ発信計画スタート 豪華製作メンバーが創る 〜真実・感動・楽しさ!〜(日本ポラロイド株式会社サイト内)
  2. ^ 日本ポラロイドが「チベトロニカ・プロジェクト」の活動報告会(六本木経済新聞)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク


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