ボールニシキヘビ
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?ボールニシキヘビ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ボールニシキヘビ Python regius |
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種の保全状態評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ワシントン条約付属書II類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Python regius (Shaw, 1802) |
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和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ボールニシキヘビ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Ball python Royal python |
ボールニシキヘビ(Python regius)は、爬虫綱有鱗目ニシキヘビ科(ボア科ニシキヘビ亜科とする説もあり)ニシキヘビ属に分類されるヘビ。別名ボールパイソン、ロイヤルパイソン。
目次 |
[編集] 分布
アンゴラ、ウガンダ、カメルーン、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、コートジボワール、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、シエラレオネ、セネガル、スーダン、チャド、中央アフリカ共和国、トーゴ、ナイジェリア、ニジェール、ブルキナファソ、ベナン、マリ共和国南部、リベリア
[編集] 形態
全長100-150cm。最大全長250cm。ニシキヘビとしては小型種だが、全長と比較すると胴体は太い。 体色は黒や濃褐色で、褐色の斑紋が入る。種小名regiusは「華麗な、すばらしい」の意。
[編集] 生態
草原やサバンナ、森林に生息する。性格は臆病で外敵に襲われても噛みつくことはあまりなく、頭を隠しとぐろを巻いてボールのように丸くなる。この防御行動が和名や英名の由来となっている。
食性は動物食で小型哺乳類や鳥類等を食べる。獲物に噛みついた後、締め殺してから丸呑みにする。
繁殖形態は卵生で、体と比較すると大型の卵を5-10個産む。メスは卵を抱くようにとぐろを巻いて、卵を保護する。繁殖期にあたる乾季にはあまり獲物を捕食しなくなる。
[編集] 人間との関係
おそらく世界中で最も飼育されているニシキヘビで、ニシキヘビ特有の形態を持ちながらも性格がおとなしい、動きが素早くない、滅多に大型化しないこと等もペット向けとされる要因と言える。日本では安価なことから、以前はニシキヘビ飼育の入門種とされていた。しかし主に流通していたのが野生個体で輸送状態が悪く、さらに本種の生態があまり知られていなかったことから神経質な本種は餌付くことはなく命を落とすことが多かった。近年になり飼育下での繁殖個体も流通し、本種の生態への理解もありショップで餌付いている繁殖個体であれば以前に比べ飼育は易しくなった。現在は野生個体、繁殖個体共に流通する。日本国内でも飼育下での繁殖例は増加傾向にある。動物愛護法の改正により、2007年現在本種を飼育することに対しての法規制はない。しかし2005年に本種も含めた爬虫類の脱走や遺棄が相次ぐ等、脱走に対する注意や飼育に対して責任を持つ必要がある。
[編集] 品種
現在は多くの品種が作出されている。
- アザンティック - 黄色色素欠乏。体色が黒、斑紋が灰色。
- アルビノ(アメラニスティック) - 黒色色素欠乏。体色は白、斑紋は黄色。
- スノー - 黒色および黄色色素欠乏。
- ラベンダーアルビノ - 体色は薄紫、斑紋は黄色。虹彩は赤い。
- イエローベリー - パターン変化。腹部に黒点を持たない微かな黄色の斑紋が見られるが、見分けが付きにくい品種。
- アイボリー - イエローベリー同士を掛け合わせたうち、劣性遺伝したもの。パターンはほぼ消え、全体が象牙色になる。額と体の一部に灰色のパターンを残すことが多い。背筋に沿って黄色い線が現れることもある。
- ウォマ - 後述のスパイダー、ピンストラプに似たパターン変化。両脇の茶色、もしくは黄色の班の中に黒色部分がなく、結果としてスパイダーに似たパターンを持つ。頭部のパターンはほとんど変化しない。
- エンキ - 後述のパステルの様に明るくなるが彩度はより低い。パターンも若干減衰しており、黒班が少ない。共優性遺伝。
- キャリコ - 腹部の白が両脇にかけて斑となって広がっているもの。それ自体は一部のスパイダー等にも見られる現象だが、背面のパターンはほとんど変化しない。
- コーラルグロー - 黒色部分が淡い紫を帯びた明るい灰色に置き換わり、極小の黒点がそこに散らばる。茶色の部分はオレンジに置き換わり、全体的に非常に淡い色になる。
- ストライプ - 斑紋が繋がり縦縞になる。
- スパイダー - 体色と斑紋の色彩が逆転し、体色が黒いクモの巣状に見える。腹部は白く斑紋がない。
- キラービー - スパイダーかつスーパーパステル(下記参照)
- バンブルビー - スパイダーかつパステル(下記参照)
- クイーンビー - バンブルビーかつレッサープラチナ(下記参照)
- コーラルビー - バンブルビーかつコーラルグロー
- シナモン - 全体的に黒味を帯びており、黄色要素が極端に少ない。共優性遺伝。
- スーパーシナモン - シナモン同士を掛け合わせたうち、それらが共に劣性遺伝したもの。背面のパターンが認識できないほど黒化する。腹部は白く、背中の黒からのグラデーションを描く。
- ダーク - 黒色色素が多く、斑紋は明瞭だが全体的に黒味が強い。
- ハイポメラニスティック - 黒色色素が少ない。
- ゴースト - ハイポメラニスティックの形態の1つ。全体的に淡い色彩になる。
- パステル - 体色が明るく透明感のある黄色やオレンジ色になる。成長に伴い色味はくすむ。共優性遺伝。
- スーパーパステル - パステル同士を掛け合わせたうち、劣性遺伝したもの。パステルよりも黄色部分が明るくなる。
- ピューターパステル - パステルとシナモンを掛け合わせて、両方の特徴を併せ持ったもの。
- ピンストライプ - スパイダー同様に黒色部分が後退し、細い点線となって残るパターン変化。スパイダーとは別種とされ、スーパーブラスト、レモンブラスト等独自の品種につながる。
- ファイアボール - モハヴェ同様にコントラストが強くなるが、パターン変化は少ない。ファイアボール同士を掛け合わせたうちの劣性遺伝したものがブラックアイ・リューシスティックとなる。
- ブラックバック - 背面に斑紋が少ない(もしくはない)、黒い縦縞が入ったようになる。
- モハヴェ - モハヴェ模様といわれる独特のパターンをもつ。茶色、黄色共に明るくなり、黒とのコントラストが強くなる。
- リューシスティック - 白化。目の色によってブラックアイ、ブルーアイに分けられる。
- パイボール - 部分的に白化する。劣性遺伝。
- レッサープラチナ - 黒色、茶色部分が淡い。共優性遺伝。
[編集] 参考文献
- 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社、1984年、143項
- 山田和久『爬虫・両生類ビジュアルガイド ヘビ』、誠文堂新光社、2005年、70-71項