プロスタグランジン
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プロスタグランジン (prostaglandin, PG) とは、生理活性物質の一種でありアラキドン酸から生合成される。エイコサノイド(プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエン)の1つであり、様々な強い生理活性を持つ。また、プロスタグランジンとトロンボキサンを合わせてプロスタノイドという。
プロスタグランジンは、1933年にGoldblattがヒトの精漿内に、1934年にウルフ・スファンテ・フォン・オイラーが羊の精嚢腺に平滑筋を収縮させる生理活性物質が含まれていることを発見し、1936年に初めて精液中から分離されたことによる。当時は前立腺 (prostate gland) 由来であると考えられたために prostaglandin と名付けられた。
プロスタグランジンは人間の様々な組織や器官で認められる。まず、ホスホリパーゼA2によって細胞質内にアラキドン酸が遊離される。アラキドン酸にシクロオキシゲナーゼ (COX) が作用すると、アラキドン酸カスケードに入りプロスタグランジンG2 (PGG2) が合成され、その後プロスタグランジン又はトロンボキサン族が合成される。アラキドン酸にリポキシゲナーゼが作用するとロイコトリエン合成系に入り、ロイコトリエンが合成される。
PGG2からは、プロスタグランジンまたはトロンボキサンが合成される。 1969年にコーリーがプロスタグランジン類の全合成を完了した。
NSAIDsはシクロオキシゲナーゼ活性を阻害し、アラキドン酸からのPGH2合成を阻害し、プロスタグランジンとトロンボキサン合成を抑制する。
[編集] プロスタグランジンの種類と作用の一部
- PGA:血圧低下作用のみ
- PGB:血圧低下作用のみ
- PGC:血圧低下作用のみ
- PGD2:血小板凝集作用 。睡眠誘発作用。
- PGE1:動脈管を開存させる働きがある。
- PGE2:局所の血流増加作用。炎症時に放出される。
- PGF2:黄体退行及び子宮収縮作用。畜産業界では繁殖関連で重宝する。
- PGG:血圧低下作用、血小板凝集作用
- PGH:血小板凝集作用
- PGI2(プロスタサイクリン):血管拡張作用、血小板合成阻害作用。
- PGJ:抗腫瘍作用のみ
[編集] 関連項目
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視床下部-脳下垂体 | 視床下部:TRH - CRH - GnRH - GHRH - ソマトスタチン - ドーパミン - 脳下垂体後葉:バソプレッシン - オキシトシン - 脳下垂体前葉:αサブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - MSH - エンドルフィン - リポトロピン) |
副腎 | 副腎髄質:副腎髄質ホルモン(アドレナリン - ノルアドレナリン) - 副腎皮質:副腎皮質ホルモン(アルドステロン - コルチゾール - DHEA) |
甲状腺 | 甲状腺:T3 - T4 - カルシトニン - 副甲状腺:PTH |
生殖腺 | 精巣:テストステロン - AMH - インヒビン - 卵巣:エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン/アクチビン - リラキシン(妊娠時) |
その他の内分泌器 | 膵臓:グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン - 松果体:メラトニン |
内分泌器でない器官 | 胎盤:hCG - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓:レニン - EPO - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心臓:ANP - 胃:ガストリン - グレリン - 十二指腸:CCK - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸:エンテログルカゴン - 脂肪組織:レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺:チモシン - チモポイエチン - 肝臓:IGFs(IGF-1 - IGF-2) |
誘導タンパク質 | NGF - BDNF - NT-3 |