ブックメーカー
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ブックメーカー(bookmaker)とは、主に欧米における、賭け事の胴元である
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[編集] 概説
18世紀末、英国・ニューマーケット競馬場でオグデンが始めた。初めは競馬の歴史にそぐわないという観点で抵抗があったが、徐々に参加者が増えていった。
具体的な方法としては、あるレースについて出場が予想される馬にブックメーカーの予想担当者が倍率(オッズ)をつける(ブックメーカー方式の項も参照)。この倍率の付け方こそがブックメーカーの腕の見せ所であり、当然各ブックメーカーによってその倍率は異なる。また、G1等のビッグレースではレースの何ヶ月も前から倍率がつけられ、毎日変動していくことになる。出走が予想される馬に賭けるため、出走できるかどうかも賭けのうちであり、実際に出走しない場合でも返金されることはない。賭けが偏ったり、巨額の賭けが行われた場合はブックメーカー自身が同業他社の賭けを買うことで損失に対して備える。
ブックメーカーの賭けの対象は競馬からはじまり、徐々に様々なプロスポーツや大学スポーツに拡がっていったが、スポーツ以外の賭けも存在する。その範囲は政治的選択や戦争の行方といったものから(但し、イギリスでは戦争に賭けることはタブーとされている)、クリスマスに雪が降るかどうかというものまで非常に幅広い。
ブックメーカーは各国によって法律上の扱いが異なる。イギリスでは免許が必要であるが合法であり、アメリカではネバダ州など一部の州を除き、非合法である。シンガポールやカナダなどいくつかの国では公営のブックメーカーのみが許可されている。
日本では法律で定められた胴元以外から馬券等を購入することは、いわゆるノミ行為として全て違法とされる。また、実際に配当金は支払わないが賞品を出していた高校野球を賭けの対象とした「野球賭博」や相撲賭博などで処罰された例もある。また、インターネット(パソコン・携帯通信)や郵便などの通信で、あたかも合法であるかのように日本以外の国の競馬や宝くじを購入できる会社などがあるが、これも違法行為となる。
[編集] 倍率の表示方法
ブックメーカーの場合、パリミュチュエル方式のように小数で表示されることは少なく、例えば3.0倍の場合は、2対1(2-1、2/1、2:1)と比の形式で表示される。左側の数字(前項)は投票の引き受け手側(胴元側)、右側の数字(後項)は投票者側を意味するとされている。
ブックメーカー式の倍率表示から小数の倍率に換算する場合は、「(左側の数字+右側の数字)÷右側の数字」の式となる。また1対1の場合はevens(または略してevs)と表示される場合もある。
[編集] ブックメーカーから派生したテレビ作品
- 1991年度(91年 4 月-92 年3 月)にフジテレビジョン(東京ローカルホイチョイ・プロダクション製作のマーケット 3部作の一)の深夜番組で「TVブックメーカー」という番組が放送された。この番組は、直近に行われるスポーツ・文化イベントやニュースの話題などを毎週数点取り上げ、司会者(オッズメーカー)がその結果に関しての倍率を提示。またその関連の資料・話題を見ながら、ベッター(パネリスト)が番組独自の 通貨「カノッサ」を使い、予想を立てるというもので、時にはカノッサを使い果たしたパネリストが「せんべい」をベットする一幕もみられた。「TV ブックメーカー」の元スタッフがリメイクした番組「デリバティブTV」(テレビ東京系)も参照のこと。
[編集] インターネットの普及
インターネットの普及により、タックスヘイブンなどにを本拠を置くブックメーカーが増えている。クレジットカードによる決済手段は、客側にもブックメーカー側にもメリットがあり、2000年代に入ると瞬く間に広まった。対抗措置として各国の主催者などは、払戻率の向上などに注力を行っているが、取締りに関しては有効な手段はなく事実上野放し状態である。
競馬の払戻率については、フランス(フランスギャロ)が2007年より85%へ、日本(中央競馬)も2008年から特定のレースに限り80%へ率を引き上げた(JRAプレミアム)が、ブックメーカーによっては95%の高払戻率を謳い対抗する動きも見られる。