ファラフェル
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ファラフェルもしくはファラーフェル(アラビア語: فلافل ( falaafil ) 、ヘブライ語: פלאפל、英語: Falafel)はヒヨコマメまたはソラマメから作ったコロッケのような中東の食べ物。
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[編集] 概要
水にもどしてから磨り潰したひよこ豆かそら豆、またはその二つを混ぜたものにパセリやコリアンダーと様々なスパイスを混ぜ丸めて揚げたものである。また、アレクサンドリアを除くエジプトでは、そら豆で作るものを「タアメイヤ(アラビア語: طعمية ta`amiyya)」と呼ぶ。
欧米ではイスラエル式のひよこ豆のファラーフェルが最もよく知られているため、しばしばイスラエルの食べ物と認識されるが、エジプトから東地中海沿岸、アラビア半島南部、イランまで広い地域で愛されている食べ物である。
エジプトではそら豆のみ、シリア、レバノン、イラクではそら豆とひよこ豆半分ずつ、パレスティナ地方やイェメンではひよこ豆のみで作ることが多い。そら豆を入れた方がファラーフェルがしっとりするという。火を通してつぶしたじゃがいも、ブルグール(en:Bulgur)、溶き卵を加えることもあり、イーストを加えてふっくらと揚げることもある。
イスラエル建国当時、国外からの移民が集中した時、イスラエル国内では深刻な肉不足が起こり、安価で蛋白質が豊富なファラーフェルは国民の貴重な蛋白源となった。イラクやクルディスタンからの移民の中には先天的にグルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ欠陥を持つ者が多く、そら豆の入ったファラーフェルを食べてソラマメ中毒を起こし、死にいたることもあったため、イスラエルではそら豆のファラーフェルは作られなくなった。[1]
ファラーフェル(タアメイヤ)はエジプトの国民食でもあり、朝昼夜を通していつでも食される。コプト正教の祝日(特に四旬節)にコプト教徒はファラーフェルを大量に作って友人や近隣の住民に配る習慣がある。[2]
イスラエルではピタパンにトマト・キュウリ・フムスを挟み、タヒーニ(en:Tahini)(胡麻ペースト)のソース、あるいはマヨネーズをかけてサンドイッチ状にして食べることがある。ファラーフェルについてはユダヤ人もアラブ人(パレスチナ人)も食べ方に違いはない。
シリア、レバノンなどの地域では、ホブズ・マルクーク(خبز مرقوق)またはホブズ・アル=ジャバル(خبز الجبل)と呼ばれる直径30センチほどの薄いナン状のパンにトマト、イタリアンパセリ、赤カブやキュウリの漬物などを細かく切って散らし、これもまたざっと砕いたファラーフェルを散らしてソースをかけ、くるくると巻いて食べる。
[編集] 備考
- 東欧系ユダヤ人(アシュケナジム)の焼き皿料理ファルフェルはファラーフェルとは関係ない。
- ファラーフェルの正式名称はアラビア語の「ام الفلافل(Umm al-Falāfel、辛きもの全ての母)」である。[3]
- アラビア語の「ファラーフェル」は複数形で、単数形は「フェルフラ(فلفلة、Felflah)」である。しかし一つ以上食べる場合が多いため「フェルフラ」という単語を用いる機会はほとんどない。[要出典]
[編集] 関連項目
[編集] 文献案内
- ^ Joan Nathan, The Foods of Israel Today. Knopf, New York, 2001, p70-71.
- ^ Claudia Roden. The New Book of Middle Eastern Food. Knopf, New York, 2000, p61-62. ISBN 0-375-40506-2
- ^ Sonia Uvezian. Recipes and Remembrances from an Eastern Mediterranean Kitchen. The Siamanto Press, Northbrook, IL, USA. 1999, p113.
- Yael Raviv, "Falafel: A National Icon", Gastronomica, Summer 2003, 3:3:20-25. Discusses how an Arab dish became "the national food of Israel".
- Aziz Shihab. A Taste of Palestine: Menus and Memories. Corona Publishing Co., San Antonio, Texas, 1993.