トヨタ・プロナード
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プロナード(Pronard)は、トヨタ自動車が日本で販売していた前輪駆動(FF)の乗用車である。
トヨタ・アバロン(2代目モデル)の日本市場向けのバッジエンジニアリング商品である。
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[編集] 概要
1-3代目アバロンについてはトヨタ・アバロンを参照
米国ケンタッキー工場で生産された輸入車であり、2代目である本モデルはビスタ店で販売されていた。 北米市場向けの大型乗用車アバロンが2世代目モデルに移行(フルモデルチェンジ)するにあたり、日本市場独自の名称が与えられたために誕生した。
また、トヨタの車種ラインアップの中では、解説書にて「FF最高級セダン」という表現がなされている。
[編集] 歴史
- 開発テーマは「上質のゆとり」
- 車両コンセプトは「Brand-new Luxury & Spacious Sedan」※新型車解説書より。
- (既存の国産ラージには無い商品性を持つ新時代の、高級且つスペーシャスなセダン)
- 月販売目標は1,000台とされていた。
- ボディーカラーは「ホワイトパール」「シルバー」「グリーン」の全3色が用意された。
大型の3000ccのV6・1MZ-FE型エンジンにFF車の特性を生かした広い室内空間や、大きなトランクスペースが特徴であった。
北米市場をメインとして作られていた事もあり、全体的な車格はクラウンよりも大きく、座席自体の大きさも一般的な乗用車よりもやや大きい設計になっている。室内長(2155mm)に至っては3代目セルシオとも同格のクラスであるため、トヨタのセダン型車種としては、製造・販売が終了した現在においても尚、最大級の広さと大きさをほこる。
しかし、同メーカー同クラスのクラウンという圧倒的な人気車種の存在や、当時同じビスタ店にはアリストやクレスタといった、既存から存在する人気車種もあったため、知名度・露出度がともに低かったこと(国産他車に比べると宣伝や広告なども控えめだったという説もある)、また日本国内におけるFFラージクラスセダン[1]の人気の全体的な下火傾向が出はじめていた事と、トヨタ車ではありながらもアメリカトヨタ製造の逆輸入車という不安感など、数々の要因が絡んだこともあり、結果的に人気を得ることができず、輸入販売は終了する。
この後の2005年12月には、同じFF車であるウィンダム・FFの3ナンバーサルーンの火付け役のディアマンテも販売が終了するなど、日本国内でのセダン(特にFFセダン)車の人気の陰りによる販売低迷が、販売終了の最も大きな要因でもある。
このプロナードは(北米名称のアバロンも共通)、3ナンバーセダン型の車種としては特徴的といえる、前席3人掛けコラムシフト式のベンチシート車[2]のグレード設定がある。このグレード名は「3.0L」。
グレードはベーシックモデルとなる「3.0」とその上級モデルにあたる「3.0G」、そして上記に記載した「3.0L」の計3種類がある。
販売当時、先進装備でもあったDVDナビゲーションが全グレードに標準装備されていた事は、まだ純正カーナビゲーション自体が追加オプションによる設定が主流であった日本車市場において、当時の国産他車(トヨタ車以外も含む)と比べても、ハイスペックな装備をしていたと言える。
- フロントバンパー、フォグランプ、フロントグリルや後部テールデザインを変更し、ディスチャージヘッドランプや雨自動感応式ワイパーなどの標準装備化を施した。ロゴ入りのスカッフプレートなども標準装備される(日本仕様モデルのみ)。ただし、マイナーチェンジ後はグレードに関係なく、サンルーフの設定がなくなった。
- 内装色にも若干の変更が加えられた。設定上は共にアイボリー(象牙色)となっているが、前期は淡い黄色に近い明るめのアイボリー色、後期はグレーに近い暗めのアイボリー色となっている。
- ボディーカラーは前期にあった「グリーン」が無くなり、後期専用として「ダークブルー」が追加された。「ホワイトパール」と「シルバー」は前後期ともに変更無し。後期のボディーカラーは全3色。
- また、前期の「3.0L」は「3.0G」グレードと同様の本皮シートが標準装備となっていたのだが、後期の「3.0L」は通常の「3.0」グレードと同様のファブリックシートが標準装備に変更されたため、結果的に前期の同型よりもダウングレードしているという珍しい特徴もある。
- 後期では、それまで全グレードで標準装備となっていたTV付きDVDナビゲーションの無い「Mパッケージ」という受注専用生産車の設定が存在した。
- 日本仕様モデルの総生産台数は約7,800台。
- 2008年現在、ラグジュアリーカスタムやUSDMに興味を持つ若者の間で中古車が一部人気となる。
- 特に流通台数の少ないベンチシート「3.0L」の人気が高い。
北米トヨタでフラッグシップモデルであるアバロンは、2005年に3代目モデルへと移行したが、日本での販売は行われていない。
主な仕様などはアバロンの3代目の項を参照。
尚、2代目である本モデルに関しては、日本国内においてアバロン(AVALON)の名で販売はされていない。故に日本国内で2代目のアバロン(AVALON)が存在する場合、並行輸入(アメリカからの左ハンドル仕様が逆輸入)されたものか、国内仕様であるプロナード(PRONARD)のエンブレムを北米仕様であるアバロン(AVALON)に交換したものである。
[編集] 脚注
- ^ 3代目日産セフィーロや三菱ディアマンテがあたる。
- ^ クラウンセダンにも6人乗り車が初代~1995年まで設定車があった。以後はタクシー専用のクラウンコンフォートのみとなる。競合車種のセドリック/グロリアにも同様の設定車があった。
[編集] 車名の由来
- 「PRONARD」の車名はフランス語「Proner」(称賛)からの造語である。