デビルマン (映画)
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デビルマン | |
監督 | 那須博之 |
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製作総指揮 | 泊懋 |
製作 | 冨永理生子 松井俊之 北﨑広実 |
脚本 | 那須真知子 |
出演者 | 伊崎央登 伊崎右典 酒井彩名 宇崎竜童 阿木燿子 他 |
音楽 | 安川午朗 |
配給 | 東映 |
公開 | 2004年10月9日 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
制作費 | 10億円 |
興行収入 | 5億円 |
allcinema | |
Variety Japan | |
『デビルマン』(DEVILMAN)は2004年10月9日東映系公開の日本の特撮映画。永井豪の人気漫画『デビルマン』の実写映画。PG-12。
目次 |
[編集] 概要
「原作漫画の完全実写映画化」というキャッチフレーズのもと、制作費10億円をつぎ込み、VFXをふんだんに用いて製作された。当初、公開は2004年5月頃を予定したが、「驚異の映像をふんだんに駆使し、満足のいくクオリティーに仕上げる事を確約」するため10月に延期した。特撮映画・テレビを手掛ける東映と、アニメを手掛ける東映アニメーションがタッグを組んで特撮シーンが製作され、それを「T-Visual」と名づけて売り出した。先にアニメによる作画を行い、それにしたがってCGに動きをつけたり、CGカットの中に一瞬だけ手描きの絵が挿入されたりと、「アニメと実写の融合」という新しい表現を試みているが、映画全体の作風と噛み合わず、色物として失敗に終わった。
とはいうものの、新しい方式に取り組んだ姿勢や、特徴的な台詞回し等を評価しようという動きが全くないという訳ではない。
[編集] 評価とその背景
本作が公開された2004年には、『CASSHERN』(4月)、『キューティーハニー』(5月)、『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』(8月)と、往年の人気漫画・TVアニメをVFXを用いて実写化した映画が多かったが、いずれも映画ファン、原作ファンを納得させることが出来なかった。本作は、これらの作品と比較された上で、更に一段と低い評価を受けた。
主な批判は以下のとおり。(他にも細かい指摘や批判は無数に存在する)
- 物語が破綻している。原作の話の筋を短い上映時間につめこんだ結果、原作では整合性のとれた部分が映画で意味不明になっている。全体が細切れのエピソードの単なる羅列になり、物語上重要な場面がことごとくカットされた。
- 場面展開が支離滅裂である。時系列的に連続しているはずの場面で、いきなり昼が夜になったり、海岸から山中へ移動したり、室内では土砂降りだったのに外へ出ると晴天、などの矛盾が随所に見られる。
- 主演の伊崎兄弟(FLAME)をはじめとしたメインキャストに演技経験が皆無か乏しいタレント(多くがインタビューなどで堂々と「演技は初めて」と述べている)が大量に起用された。
- 登場人物たちの理解不能な行動が多い。例としてデーモン達がいる屋敷のシーンで、部隊が一斉射撃している正面に、続々とデーモン達が向かっていく。(射殺されるだけで逃げたり反撃を試みたりはしていない)また武器が日本刀一本だけの相手に、重火器で武装しているにも関わらず発砲せずに突入する部隊など。
- 明と了の関係、悪化していく世界情勢など、重要な部分をナレーションでの一言で済ませている。
- 小林幸子やボブ・サップ、KONISHIKIなどのゲスト出演者が無意味な場面で登場し、カメオ出演としても無理がある。
- 見所のシーンの大部分をTVCMで公開したため、本編のVFXが期待外れとなる。
- シレーヌの衣装デザインが事前に公開されたものと異なっている。一説には、演じる富永愛が露出の多さを嫌って(映像では首から下はほとんどCGなのだが)強引にデザインを変更させたとも言われている[要出典]。しかも出番は前半に約10分程度で、その後の消息も説明されず、作中屈指の人気キャラクターを使い捨てにしている。
なお、作家の山本弘は自身の公式サイトで「映画を作ろうとする者全てにこの映画を観せるべきである、なぜなら映画を作るに当って決してやってはいけない事がよく理解できるから」と批評、映画の出来自体は批判したが反面教師的な価値は認めている。
2005年1月、「文春きいちご賞」(週刊文春主催)の1位を獲得。
その一方、DVDの売り上げは初回限定版の売り切れが続出した。
[編集] スタッフ
- 原作:永井豪
- 製作総指揮:泊懋
- 企画:遠藤茂行、森下孝三
- プロデューサー:冨永理生子、松井俊之、北﨑広実
- 監督:那須博之
- 脚本:那須真知子
- 特撮監督:佛田洋
- デビルマンコンセプトデザイン:寺田克也
- キャラクターデザイン:衣谷遊
- CGプロデューサー:氷見武士
- CGスーパーバイザー:野口光一
- 製作プロデューサー:生田篤
- キャスティングプロデューサー:福岡康裕
- 特撮監督・VFXプロデューサー:佛田洋
- 特殊撮影・VFXコーディネーター:高橋政千
- アクションコーディネーター:野口彰宏
- 衣装:森口誠治、鶴岡英門
- 音楽:安川午朗
- 主題歌:hiro『光の中で』
- 協力:ボーダフォン、プジョー・ジャポン
[編集] キャスト
- 不動明 / デビルマン:伊崎央登 (FLAME)
- 飛鳥了 / サタン:伊崎右典 (FLAME)
- 牧村美樹:酒井彩名
- 牧村啓介:宇崎竜童
- 牧村恵美:阿木燿子
- 飛鳥教授:本田博太郎
- シレーヌ:冨永愛
- ミーコ:渋谷飛鳥
- ススム:染谷将太
- ニュースキャスター モリソン:ボブ・サップ
- 神父:永井豪
- 牛久:仁科克基
[編集] 受賞
- 2004年度文春きいちご賞一位