ダブ
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ダブ(dub)は1970年代に、スカとレゲエから発展したジャマイカの音楽の手法、およびジャンル。ダブワイズ(dubwise)とも呼ぶ。リミックスという音楽手法の元祖。
1970年代初め、キング・タビーが、サウンド・システム用のボーカル抜きのトラック(ヴァージョンと呼ばれる)を製作する過程で、偶然発明したという、曲のリズムをより強調する様にミキシングし、エコーやリバーブなどの過剰なエフェクトをかけて加工したもの。
また、ジャマイカではシングルレコードのB面にダブを収録する場合が多いが、その場合、基本的にボーカル抜きのカラオケのことを指す(「ヴァージョン」とも呼ばれる)。ヴァージョンは、必ずしもボーカルをすべて抜くわけではなく、ところどころにオリジナルの楽曲の歌を故意に残したりする。それはダブのひとつの効果となっている。
ダブは、もともとオリジナルが存在する楽曲を加工したものだが、出来上がった物はそのダブ・エンジニア名義で発売されることが多い。ダブ・エンジニアは、ジャマイカではリー・ペリー、サイエンティスト、ステイーブン・スタンレー、イギリスではマッド・プロフェッサー、エイドリアン・シャーウッド、日本では、Dub Master Xまたはizumi D.M.X miyazakiこと宮崎泉等が有名。
[編集] ダブバンド
本来はスタジオでの作業であったダブをライブで生演奏するようになったのは1980年代前半のイギリスと日本においてである。イギリスではアスワドやマトゥンビが、日本ではミュート・ビート等がほぼ同時期にダブバンドとして活躍した。現在でもこの分野の中心となっているのは日本のDRY&HEAVY(ドライ・アンド・ヘヴィ)等ジャマイカ以外のアーティストである。
日本のジャズミュージシャン菊地成孔は自身のジャズバンドにダブ処理のメンバーを加えたNaruyoshi Kikuchi Quintet Live Dub(現在はメンバー改変し「Naruyoshi Kikuchi Dub Sextet」)を結成している。
[編集] ダブ・プレート
ダブ・プレート (Dubplate)とはサウンド・システムのために作られた、一般にリリースされない録音、入手できないバージョン、あるいは既存の録音のリミックス等を収録したアセテート盤レコードのこと。詳しくは→ダブ・プレート