アセテート盤
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アセテート盤(Acetate disc)は、録音において、アナログ盤の生産の前段階に使用された参照用のオーディオディスクである。
アセテート盤は、録音された音が最終的にどのようにアナログ盤に移されるかを決定する際に重要だ。例えば低音のボリュームを変更するなどして、マスターディスク(金型)を作るひとつ手前の段階で参照するために作られる。
また、安価で素早く、高音質でプレスできるため、プロモーション用の盤として宣伝目的のためにも利用された。アセテート盤は、塩化ビニール製の通常アナログ盤よりも強度が弱く、湿度や経年変化により表面剥離などが起きやすい。
アセテート盤は現在でも、DJやプロデューサー、コレクターのためにダブ・プレートとしてプレスされている。
実際には、アセテート盤はニトロセルロースでコーティングされたアルミニウム盤であり、多くはアセテートを含んでいない。
戦前における日本では唯一の音声記録媒体であり、玉音放送をはじめとする有事の放送音源などもアセテート盤で残されていた。