シーブック・アノー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シーブック・アノー(Seabook Arno)は、アニメーション映画『機動戦士ガンダムF91』、漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』に登場した架空の人物。『機動戦士ガンダムF91』の主人公である。年齢は『機動戦士ガンダムF91』本編で17歳、『機動戦士クロスボーン・ガンダム』で28歳。(声:辻谷耕史)
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 経歴及び劇中での活躍
[編集] コスモ・バビロニア建国戦争期(『機動戦士ガンダムF91』)
コロニー「フロンティアIV」のフロンティア総合学園工業学科に通う普通の高校生であったが、宇宙世紀0123年3月16日のクロスボーン・バンガードによる襲撃に遭遇し、友人達と共に避難した先のコロニー「フロンティア」において練習艦スペース・アークで整備されていたモビルスーツ、ガンダムF91のパイロットとなり、クロスボーン・バンガードと戦うことになる。
母親のモニカ・アノーはサナリィに所属するバイオコンピューターの研究者であった。仕事人間のモニカは家に帰らず、父親のレズリー・アノーは金属工学の権威だったが、家族の傍に居る為に溶接工の仕事をしている。シーブックと妹リィズは、母親に対してわだかまりがあるが、リィズが母親から教わっていたあやとりの技が、F91起動の鍵となった。
シーブックの人物像は、それ以前のニュータイプの主人公と比べると、アムロ(登場初期)のように内向的でもなければ、カミーユほどナイーブで感情の起伏が激しくなく、どちらかというと温厚な、ごく普通の若者といった感じであった。強いて弱点を挙げるなら物語初期においてジュドーほどの強力なバイタリティーは持ち合わせていないことであるが、物語が展開するに従って初期のイメージ以上の行動力を発揮するためそれも目立った弱点とは言い難い。
さらに親との間に確執[1]があるという点ではカミーユ、妹の面倒を見るしっかり者という点はジュドーと共通している。その名前の由来は"see book"(見本)であるらしく、偏りのない性格の持ち主という意味と思われる。屈折した一面を持つ少年が多かったU.C.ガンダムの主人公像を一新するために、このようなキャラクターとなったようである。とはいえ後述するごとく、若さゆえの失敗や脆さを見せることもあり、MS戦による火花を「宇宙を乱す物の怪」と表現するなど、感受性の鋭さを思わせる台詞も随所にあった。優れた素養を持つニュータイプであることは、歴代のガンダムパイロットと変わりなく、人手不足からやむをえず搭乗することになったF91での初戦闘で、大きな戦果を挙げる。
スペース・アーク内では、シーブックにニュータイプパイロットとして期待が高まるが、戦闘を重ね、やや自信過剰となったシーブックは、独断専行でクロスボーン・バンガードに連れ去られたセシリー・フェアチャイルドを助けようと「フロンティアIV」に潜入し、このため父親のレズリーを死なせてしまうことになる。この時は深く悲しんだが、すぐに立ち直り、その後の戦闘中に再会したセシリーを説得し、母親とも和解して、自分とセシリーがニュータイプなら、自分達が道しるべになってスペースアークを救ってみせると言うなど、精神的な逞しさを見せた。
母親のモニカがF91のバイオコンピューターを設計しただけあり相性が良く、ごく短期間でF91に順応し、カロッゾの乗るMAラフレシアとの戦闘では、「質量を持った残像」でラフレシアを撹乱し、撃破する。そして、その戦闘で宇宙空間に投げ出されたセシリーを、F91のバイオコンピューターで感応力を高めて感知し、見事救って見せた。
以降のコスモ・バビロニア戦役期の行動、戦果などの詳細については不明であるが、各種設定によると、レジスタンスのエースパイロットとして活躍したようである。『機動戦士クロスボーン・ガンダム』によると、宇宙世紀0133年の時点で歴史の教科書にその名が登場している。
[編集] 木星戦役期(『機動戦士クロスボーン・ガンダム』)
その後の消息については、『F91』の10年後の物語として語られている。空白の10年について作品として語られてはいないが、宇宙世紀0128年のバビロニア・バンガードの事故で公式にはセシリー共々死亡した事になっている。この事故の真相は、彼らを危険視していた木星帝国のテロのようである。
これによりセシリーは、再びベラ・ロナとして宇宙海賊クロスボーン・バンガードを興し、木星帝国の脅威に対し立ち向かう決意を固めるが、シーブックも共にクロスボーンガンダムX1を駆り、木星帝国と戦っている。その際、公的に死んだ事になっていたことから、彼も「キンケドゥ・ナウ」と名乗ることとなる。しかし、実際にはセシリーが「ベラ・ロナ」に戻った事から、それに付き合うために名乗ったというのが真相だったようである。
一般の高校生だった『F91』の時とは違い、今作では宇宙海賊というアウトローの世界で生きてきたためか、ワイルドな性格に変貌を遂げている。また、主人公トビアの良き兄貴的な存在であった。『機動戦士クロスボーン・ガンダム』のもう1人の主人公と言っても決して過言ではない。
MS戦はますますその腕に磨きがかかり、X1の特性を活かした戦法や奇策などを使い木星帝国、地球連邦の優秀なパイロット達を破っていった。しかし一度、万全な状態では無かったX1でザビーネ・シャルに敗北。この際は大気圏に機体ごと突き落とされ、瀕死の重傷を負うが、ビームシールドを用いて大気圏への突入に成功[2]し命を永らえる。その後、キンケドゥはコックピットをX2のビームサーベルで貫かれた際に失った右腕をエピテーゼ手術で取り戻して復活を遂げ、ザビーネとも決着を付け、木星帝国と戦い抜いた[3]。
紛争終結後はトビアに機体を譲り渡し、セシリーと共に再び元の名前に戻り、一緒に姿を消す。後日談の『機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート』ではセシリーと結婚、1児の親となり、パン屋を営んでいる事がわかる。
その後『機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人』において、再建した木星帝国による「神の雷作戦」阻止のため、トビアが助力を請うため訪問しようとしたが、戦いから離れて平和に暮らす(この時、二人の間に第二子が誕生した)彼らを見て会うことなくトビアは去る。このため、「神の雷作戦」はもとより木星帝国の再来も知らない。なお、パン屋としての評判は上々らしい。本格的な登場こそしないものの、その生き様はトビアに受け継がれ、ベルナデットが「テテニス・ドゥガチ」に戻る事を聞いたトビアは、かつてシーブックがそうしたように「キンケドゥ・ナウ」となる決意をするのだった。
[編集] 主な搭乗機
- F91 ガンダムF91
- XM-X1(F97) クロスボーン・ガンダムX1(改)
[編集] その他の搭乗機
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
|
||||||
---|---|---|---|---|---|---|
|
||||||
ガンダムシリーズの映像作品 | ||||||
|
||||||
ガンダムシリーズの劇中項目 | ||||||
|