カン (バンド)
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基本情報 | |
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出身地 | ドイツ ベルリン |
活動期間 | 1968年-1979年、1986年、1991年 |
ジャンル | クラウト・ロック |
メンバー | |
イルミン・シュミット ホルガー・シュカイ ヤキ・リーベツァイト ミヒャエル・カローリ |
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旧メンバー | |
マルコム・ルーニー ダモ鈴木 ロスコ・ジー リーボップ・クワク・バー |
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カン(Can)は、1968年に西ドイツで結成されたロック・グループ。1970年代後半のパンク・ニューウェーブ、そしてエレクトロニック・ミュージックに大きな影響を与え、クラウト・ロックの中でも最大級の賛辞を送られているバンドである。
目次 |
[編集] 歴史
イルミン・シュミット(キーボード)、ホルガー・シュカイ(ベース)、ヤキ・リーベツァイト(ドラムス)、ミヒャエル・カローリ(ギター)の4人のドイツ人と、アメリカ人の実験音楽家デイヴィッド・ジョンソンによってケルンで結成された。イルミンとホルガーはクラシック畑出身であり、シュトックハウゼンの教えを受けていた。ヤキはフリー・ジャズ・シーンでキャリアを積んでいた。ミヒャエルはホルガーの教え子であり、ホルガーたちに逆にロックを教えた。かれらは知り合いの貴族に貸してもらった城館をインナー・スペース・スタジオと名付け、そこでセッションを始めた。バンド名の由来は、「Communism」(共産主義)、「Anarchism」(無政府主義)、「Nihilism」(虚無 主義)の頭文字を並べると、英語の可能を意味する助動詞「Can」になると言う物であり、アナグラムの遊びである。デイヴィッド・ジョンソンは早々に離脱し、アフリカ系アメリカ人のマルコム・ムーニーがボーカリストとして参加した。
1969年にファースト・アルバム『モンスター・ムービー Monster Movie』を自主レーベルからリリース(その後ドイツ・ユナイテッド・アーティスツと契約して再リリースする)。20分の大作「ユー・ドゥー・ライト Yoo Doo Right」はカンの代表曲となり、のちにThe Geraldine Fibbers、Thin White Rope、Masaki Batohらが短縮形でカバーした。マルコム・ムーニーは精神を病んで離脱、代わりに日本人のダモ鈴木がボーカリストとして参加。
1970年、映画音楽作品を集めた『サウンドトラックス Soundtracks』を発表。14分30秒の「マザー・スカイ Mother Sky」は、西ベルリンでディスコ・ヒットを記録した。このころからの数年間がカンの全盛期といえる。
1971年の『タゴマゴ Tago Mago』は当初の予定を変更して、より実験的な一枚を加えて二枚組LPとして発売された。「現代音楽」、「フリー・ジャズ」、「民族音楽」のごった煮という、カンの特徴がよく表れたアルバムとなった。
1972年に『エーゲ・バミヤージ Ege Bamyasi』を発表。前衛性と軽やかさが同居したアルバムで、収録曲の「スプーン」(テレビドラマの主題歌として作られた)のシングルは20万枚を売るヒットとなった。ジャケットの写真には「カン」というメーカーのオクラの缶詰が使われた。
1973年の『フューチャー・デイズ Future Days』は、批評家から高く評価されたアルバムである。ドラムスは軽く細やかなアフリカン・パーカッションとなり、ダモのボーカルも気だるく、環境音楽に接近した。このアルバムを最後にダモ鈴木は離脱し、以後のボーカルは主にミヒャエル・カローリが担当する。
1974年の『スーン・オーバー・ババルーマ Soon Over Babaluma』は似非ラテン音楽をコンセプトにしたアルバム。「Chain Reaction」はラテンの熱を感じさせない機械的狂騒サンバである。
1975年、ヴァージン・レコードに移籍する(ドイツの発売権はEMI/ハーヴェスト)。『ランディッド Landed』は遊び心に溢れたアルバムで、似非ハードロックがコンセプトである。
1976年の『フロー・モーション Flow Motion』からはディスコ・ヒット「I Want More」が生まれた。
1977年の『ソー・ディライト Saw Delight』からは、元トラフィックのベーシストとパーカッショニストが参加し、よりプロフェッショナルなアフリカ風ミュージックを演奏している。このころからホルガー・シュカイはバンド内で孤立しはじめる。
1978年の『アウト・オブ・リーチ Out of Reach』は、のちにバンドから公式作品の地位を抹消された。
1979年の『カン Can』を最後にバンドは解散する。お別れパーティーのような明るさと寂しさの漂うアルバムである。このあと、メンバーはそれぞれのプロジェクトに散っていく。
1989年には再結成アルバム『ライト・タイム Rite Time』が発売された。
[編集] ディスコグラフィー
[編集] スタジオアルバム
- 1969年 Monster Movie
- 1970年 Soundtracks
- 1971年 Tago Mago
- 1972年 Ege Bamyasi
- 1973年 Future Days
- 1974年 Soon Over Babaluma
- 1975年 Landed
- 1976年 Flow Motion
- 1977年 Saw Delight
- 1978年 Out of Reach(メンバーが仕上がりに不満を覚えたため、公式のディスコグラフィーからは抹消されている)
- 1979年 Can
- 1989年 Rite Time
[編集] 未発表曲集など
- 1974年 Limited Edition
- 1976年 Unlimited Edition
- 1981年 Delay 1968
- 1995年 The Peel Sessions
- 1997年 Sacrilege(Remix Album)
- 1999年 Live
[編集] 参考図書
明石政紀 『ドイツのロック音楽』 (水声社、1997年) ISBN 489176349
[編集] 外部リンク
- Spoon Records.com - The official Can website
- [1] - Datenverarbeiter vs. Jaki Liebezeit - Online-Album "Givt".