カウンターストップ
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カウンターストップ (counter stop) またはカウントストップ (count stop) とは数字のカウントが上限に達してそれ以上のカウントがストップされる状態を表す用語。主にコンピュータ分野、特にテレビゲーム・アーケードゲームにおいて用いられる。略称はカンスト。
例えば得点が「999,999,999」のように、システム上これ以上上昇しない状況の事を指す。カンストが達成されれば自動的にそのスコアが最終スコアとなり集計は終了する。ゲームによってはカウンターがストップせず、再び0からカウントし直される場合もある(上記の例だと、「1,000,000,000」を「0」としてカウントし直す)。
スコアのあるアクション・シューティング系のゲームに限らず、ロールプレイングゲームやシミュレーションゲームなどのパラメータなどについても用いられる。また1990年代末期に話題になった2000年問題も、年数のカウントが機械的な上限を超えることによって発生するとされた諸問題を警戒したものであった。
[編集] 概要
カンストする値は数桁の10進数整数の上限、もしくは数桁の2進数整数の上限となることが多い。前者の例は999や9999、後者の例は255(= 2 8 - 1 =11111111)や65535(= 2 16 - 1 = 1111111111111111)である。
カンストが発生する理由として、その値が変数で扱える限界を超えていることが第一に考えられる。この場合は一定値以上のカウントをストップするようプログラムを組んでいないと機械的なオーバーフローが発生し、予期しない動作やフリーズを起こし、そのままプレイを強行すれば最悪の場合、セーブデータの破損や機械的な故障を起こすなどの結果が予想される。また、変数の型によっては一定以上の値は負の数として扱われるため(原理は2の補数を参照)、それを考慮していないプログラムでは様々な不具合が発生することが予想される。
こうした不具合の具体例としては、スーパーマリオブラザーズの「無限1UP」(無限増殖)がある。残機数が100人以上に増えた場合、ゲーム開始時の表示が数字から王冠や文字へと変わったり、127( = 2 7 - 1 = 1111111)人を超えた状態でミスをすると即座にゲームオーバーになってしまう(詳しくは上記リンク内該当項目参照)。グラディウスIIのように、残機がカンストし、内部的に「-1」になると(死んでいなくても)即座にゲームオーバーになるようなタイトルもある。このような不具合の防止のため、忍者くんシリーズやレインボーアイランドなどのように、表示可能な残機数以上には増えない様に制限している場合もある。
その他有名なものとしてはドラゴンクエストIV 導かれし者たちにおける「838861」(カジノのコインの購入金額を計算する領域が24ビットで確保されており、24ビットの上限である16,777,216ゴールドを超える値(838,861×20=16,777,220)を購入した場合にオーバーフローを起こして値が切り捨てられてしまい、4ゴールドで購入が可能になる。)、「8逃げ」(逃げた回数を記録したフラグが内部でカウントされており(3回逃げると確実に逃げられるようにするため)、ボスモンスターなど逃げられない敵に対して4回以上逃げた場合にオーバーフローを起こし、8回逃げた時点で呪文「パルプンテ」の「力がみなぎってきた」のフラグがONとなってしまい、すべての攻撃が会心の一撃となる。アイテム「時の砂」使用済みフラグと併用すると4逃げで現象が発生する。)が知られている。
機械的な都合とは別に、ゲーム上の理由でプログラム上の制約とは別に人為的な上限値を設定する場合もある。例えばロールプレイングゲームのキャラクターの能力値が際限なく上がり続けると、ゲームの難易度を著しく下げてしまい、ゲームバランスを崩してしまう。アイドルマスターでは各種能力値のカンストが育成の重要な要素となっており、各種要素のカンストを意識しながら育成して行くことが効率的なプレイに繋がる様になっている。
あるいは単に表示上の都合で一定桁数でカウントを止めるように見せかけるケースもある。この場合、画面上では確認できないが内部的には本来の値で計算が行われていることがある。逆に「ある値」より高い数値が表示されていても、計算上は「ある値」で扱われることもある。
ゲーム機の処理能力が向上し、より大きい数値を扱えるようになるに従って、通常のプレイの範囲内ではユーザが(ゲームの難易度と直結しない得点などでは)カンストに出会うことはないように設計される傾向にある。カンストに出会うこと自体はどちらかというとやり込みに近い概念でもある。よって、プレイを続行が不可能となったりセーブデータが壊れたりするわけでもない限りはビジネス用ソフトウェアと違ってバグ扱いされることは少なく、製作側からは仕様の一つであると説明されることが多い。
ちなみに、カンストは「理論値」(ゲームをチート無しでプレイしたときに獲得できる得点などの限界を理論的に推測した値)とは異なる概念である。例えば、ポップンミュージックシリーズやトップランディングでは上限の得点があるがこれはカンストではなく、明確に「満点」が決められていて、それを音符数で分割したり、ミスごとに減点したりする方法で評価されており、「満点」=「理論値」となっているため、満点を超える点数は絶対に出ないが、この満点をカンストと呼ぶことはない。本来は(ループゲームで理論値が無限大でないかぎりは)理論値ではカンストすることがないように設計されるはずだが、見込み違いによりカンストしてしまうケースもある。
また、上記のように単にプログラミング上の設定だけではなく、ゲームのプレイ中にある条件により、本来貰える筈の経験値などが条件を満たすまで貰えない作為的な状態を指す場合もある。(例として、クイズマジックアカデミーシリーズに於ける階級昇格条件など。)
[編集] カンストが発生するゲームの一例
スコアカンストの例を挙げる
- ポケットファイター
- テトリス
- マネーアイドルエクスチェンジャー
- マーズマトリックス
- スーパーパンチアウト
- ぐわんげ
- ディグダグ
- 戦場の狼2
- B-WING全面クリアで強制的に9999999点にされる。但し、実際には10000000点の桁が存在する
- バーチャコップ3(得点のカウンターストップが発覚して、バージョンアップをする破目になった、最近の事例。)
- Newスーパーマリオブラザーズ(セーブデータの記録内容にスコアが含まれるため、通常のプレイを継続し続けても達成可能)
- レインボーアイランド(アイテム及び隠しコマンドの中にスコアの桁を増やす物があり、これを使うことで通常のカンストを超えるスコアを出すことが出来る。エキストラバージョンでは2段階でスコアの桁が増加する)
- クレオパトラフォーチュン(電源パターンにより、開始後わずか数分で達成可能)
- ミステリアスストーンズ(開始直後に「減点」されるフィーチャーを発生させてスコアを0点未満にすることで、カンスト寸前の得点が得られた)
- クイズマジックアカデミー(人為的なカンストの例。QMA5では、一定の階級に達した時に「昇格試験」が発生し、これに合格しない限り、戦績にあたる「魔宝石」数がカンスト状態となる)
- beatmania IIDX(システムによるカンスト。EXPERTモードに於いて上級譜面のスコアで9999を超えるスコアが発生した為、デモ画面等でカンストが発生した。現在はオンラインアップデートにより、9999点を超えているスコアでもちゃんと記録が残っている)
- 怒首領蜂大復活(2周目が存在するゲームだが、プレイ次第では1周目ですらおよそ1000億点でのカウンターストップが発生する)