イエローカード
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イエローカードとは、一部のスポーツにおいて悪質な反則、行為を行った選手に対して、審判が警告を宣するときに提示する黄色いカードの事。単にイエローと言って表すこともある。
主にサッカーで見られるが、他のスポーツでも同様に「警告」の意味付けで用いられることがある。また「イエローカード」の語自体が一般化して「次に同じ事を行えば何らかの措置をとる」というニュアンスを持って使われることも多い。
かつては同様の警告・退場処分は主審の口頭によって行われていたが、国際試合の多いサッカーでは言葉が通じないことがままある。退場処分を下したにも関わらず、その意図が理解されずにプレーを続行する選手がいたというミスが生まれた。そこで見てすぐに理解できるようにカードが導入された。
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[編集] サッカー
[編集] ルール上の規定
警告者に対してイエローカードを提示する規定は、サッカーのルールとなるLaws of the Game(日本サッカー協会では「サッカー競技規則」)の第12条、ファウルと不正行為(Fouls and Misconduct)の中で規定されている。ファウル (サッカー)も参照の事。
[編集] イエローカードが提示される反則
競技者が次の7項目の違反を犯した場合、警告を与えイエローカードを示すと規定している。
- 反スポーツ的行為を犯す
- 言葉または行動によって異議を示す
- 繰り返し競技規則に違反する
- プレーの再開を遅らせる
- コーナーキック、フリーキックでプレーを再開するとき、規定の距離を守らない
- 主審の承認を得ずにフィールドに入る、または復帰する
- 主審の承認を得ずに意図的にフィールドから離れる
[編集] 警告とイエローカード
イエローカードは、前述の通り主審が警告を与えた時に示される物であって、警告自体ではない。当該選手やその他の選手、監督、コーチ、副審、観客などはこれにより、明確に当該選手が警告されたことを知るのである。
ただしサッカーの話題で「イエローカード」という言葉は「警告」と同義で扱われることが殆どである。
例えば、リーグ戦など複数の試合で構成される大会では通常、各試合で受けた警告の数を累積してカウントし、一定数(大会によって異なる)に達すると出場停止処分などが課せられる。規則上カウントされるのは警告でありイエローカードではない。ただし、一般的な会話やテレビ解説などでは「何々選手は、何枚目のイエローで次節出場停止」の様に言われる。
また、「同じ試合の中で2つ目の警告を受ける」と「退場を命じ」られ「レッドカードを示」されるが(競技規則第12条)、これも「2枚目のイエロー」などと言われることが多い。尚、この場合、主審は一方の手でイエローカードを示した後、もう一方の手でレッドカードを上にあげて示し、2つ目の警告による退場であることを示す。
[編集] その他のスポーツ
[編集] ラグビー
ラグビーでは、悪質な反則や同じ反則を繰り返した選手に対して、イエローカードが提示される。サッカーとは異なり、10分間の退出を命じられ、これをシンビン(Sin Bin。Sin=違反+Bin=置場)と呼ぶ。同一試合で2度またはレギュレーション内で3度繰り返すと、レッドカード(退場)となる。
なお、ゼブラカードが設けられて以降は、ゼブラカードを提示された側のチームの全選手がカード提示を受けたと看做される。
[編集] バレーボール
バレーボールでは、審判に暴言をはいたり、行動が悪意な行為とみなされた選手・監督・コーチなどのベンチスタッフに対して、イエローカードが提示される。意味はサッカーのルールと同じく警告を意味する。また相手チームには1点が加算され、サーブ権も相手に移るルールとなっている。レッドカード(一時退場)も同様に存在する。イエローカードとレッドカードが同時に提示された場合は、永久退場となる。
[編集] ビーチバレー
バレーボールと類似のスポーツであるビーチバレーでも、反スポーツ的行為に対してイエローカードが用いられる。ただし、イエローカードはあくまで警告の意味で提示され、罰則はない。
[編集] ホッケー
フィールドホッケーでは危険・不当な行為、もしくは故意の反則があった場合、反則の度合いに応じてイエローカードが提示されることがある。イエローカードは5分間以上(審判が指定した時間)の一時退場を意味する(この他に警告を示すグリーンカード、永久退場を示すレッドカードが用いられる)。
[編集] バドミントン
バドミントンでは、公式競技規則において「不品行な振舞い」が定義されている。これに最初に違反した場合、警告となり主審がイエローカードを提示する。罰則はない。不品行の度合いに応じて、レッドカード(フォルト)およびブラックカード(失格)も用いられる。
[編集] 卓球
卓球では、定められた時間以外でコーチが選手に対してアドバイスを与えた場合、審判がイエローカードを提示して警告する。レッドカード(退場)も用いられる。
[編集] ハンドボール
ハンドボールでは4種類の罰則(警告、退場、失格、追放)のうち、警告で出され、危険な反則やスポーツマンシップに反する行為と審判が判断した場合に提示される。
[編集] フットサルとビーチサッカー
サッカーに類似したスポーツであるフットサルおよびビーチサッカーでも、同様にイエローカードのルールが定義されている。運用方法はサッカーとほぼ同様である。
[編集] K-1
K-1においてもイエローカードのルールが定義されている。
当初は警告処分を表し、1試合で2枚もらうとレッドカードを提示され減点となっていたが、2005年のルール改正後は、減点を表し、3枚もらうとレッドカードを提示され失格となる。