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アーク・エネミー - Wikipedia

アーク・エネミー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

アーク・エネミー
基本情報
出身地 スウェーデン
ジャンル メロディックデスメタル
活動期間 1996年~現在
レーベル Wrong Again Records
センチュリー・メディア・レコード
トイズファクトリー
メンバー
アンジェラ・ゴソウ(ボーカル)
マイケル・アモット(ギター)
シャーリー・ダンジェロ(ベース)
クリストファー・アモット(ギター)
ダニエル・アーランドソン(ドラム)
旧メンバー
ヨハン・リーヴァ(ボーカル)
マーティン・ベンソン(ベース)
ピーター・ウィルドアー(ドラム)
フレドリック・オーケソン(ギター)
  

アーク・エネミー(ARCH ENEMY)は、スウェーデンメロディックデスメタルバンドである。

マイケル・アモット(g)と、弟のクリストファー・アモット(g)を中心に結成。マイケルは情緒的で直感的なメロディアスなギターラインを、弟のクリストファーイングヴェイ・マルムスティーンスタイルの速弾きを得意とする。

初期の編成は流動的であったが、2001年以降は安定したラインナップを保っていた。しかし、2005年に弟のクリストファーが突如脱退し、ツアーには代役として急遽ガス・Gが一時的に加入。その後にパーマネント・メンバーとしてフレドリック・オーケソンが正式加入するも、2007年にクリストファーが復帰。フレドリック・オーケソンはバンドを追い出される形となったが、両者の間にわだかまりは無いようである。

バンド名はアーチ・エネミーと呼ぶ事があり、英語としてはこちらが正しい発音である。archangel(大天使)のアークエンジェルという読みと混同したことが考えられるが、日本での配給元であるトイズファクトリーが表記を「アーク・エネミー」としたことには強く非難するメタル評論家もいる。archenemyはサタンの意味で本来は一語である。

目次

[編集] 音楽的特徴

  • ダニエル・アーランドソン[1]の激しいドラムに、デスメタル特有のデスヴォイスや強靭なギターリフ、さらに叙情的なリードギターを組み合わせた独特のスタイルを持つ。これはリーダーのマイケル・アモットが参加した最初のバンドであるカーネイジ(このバンドにはディスメンバーの中核となるマッティ・トルキらも在籍していた)の北欧的な叙情的要素と、敬愛するギタリスト、マイケル・シェンカー、レスリー・ウェスト、フランク・マリノらからの影響である。
  • 2本のギターの役割分担はある程度決まっており、リフやリードのハーモニーを弾く場合、マイケルが低いパートを、クリストファーが高いパートを演奏することが多い。同じフレーズが繰り返されながら片方が変化していく展開の場合はクリストファーが変化していくパートを弾く。また、クリーンギターやアコースティックギターは全てクリストファーが弾いている。ただし、ギターのチャンネルの振り分けは決まっておらず、アルバム毎に異なっている。
  • テンポ・チェンジをする曲が非常に多く、楽曲に陰と陽の抑揚を付けている。これはダニエル・アーランドソンを中心に、メンバーの演奏能力の高さを証明するものでもある。一方、この手のバンドとしては珍しく、ブラストビートを駆使した楽曲が比較的少ないのも特徴であり、特に1st・3rd・4th・7thアルバムにブラストビートを駆使した楽曲は一切収録されていない。
  • 1st~3rdアルバムではチューニングを2音半下げていたが、3rdアルバムに伴うツアー中に2音下げに変更している。これは音程が低すぎて音の輪郭がはっきりしないことやチューニングの不安定さが理由である。4th以降は2音下げで、ライヴでは初期の曲も全て2音下げのチューニングで演奏されている。
  • ヴォーカルスタイルについては、1st~3rdのヨハン・リーヴァは、ハードコア・パンクからの影響を窺わせる、感情を撒き散らしながら暴走するタイプで、4th以降のアンジェラ・ゴソウデスメタル由来の無慈悲な強烈さと正確無比なリズム感を持つものである。世界的にバンドの人気が拡大したのはアンジェラ加入以降であるが、ヨハンを支持する声も根強い。
  • 5th以降、従来の音楽性を基調にしつつ、アメリカのメタルシーンで主流となっている跳ねるようなリズムを多用するようになってきている。

[編集] 略歴

  • 1996年イギリスデスメタルバンド、「Carcass(カーカス)」の4thアルバムで、アグレッシブなデスメタルに泣きのメロディーを導入し、ヘヴィ・メタルの一般リスナー層に大きな衝撃を与えた『HEARTWORK(ハートワーク)』に参加し、その後カーカスを脱退したMichael Amott(マイケル・アモット)が、スウェーデンに戻りしばらく「Spiritual Beggars(スピリチュアル・ベガーズ)」という「Black Sabbath(ブラックサバス)」やトラブル、キャンドルマスといったドゥーム・ロック的なハードロックバンドを結成し活動する中、デスメタルのプロジェクトArch Enemy(アーク・エネミー)を立ち上げ、1stアルバム『BLACK EARTH(ブラック・アース)』を制作。このアルバムのクオリティは高いものであったが、Arch Enemy自体の活動は「Cathedral(カテドラル)」の来日公演のスペシャルアクトとしての初来日公演終了と共に終わる予定であった。しかし、日本での反響が非常に良かったために、メインのバンドとして活動していくことになる。尚、Spiritual Beggarsも不定期ではあるがサブ・プロジェクトとして活動中である。
  • 1998年、2ndアルバム『STIGMATA(スティグマータ)』を発表。前作で打ち出した暴虐性をそのままに、沈み込むようなヘヴィなグルーヴが支配する作風となる。このアルバムをレコーディングする際にドラムスのDaniel Erlandsson(ダニエル・アーランドソン)が一時バンドから離脱しており、彼の代役としてピーター・ウィルドアー(後に「Darkane(ダーケイン)」を結成する)が参加した。作品はミドル・テンポの曲を中心に構成されていたが、日本のレコード会社とのライセンス契約の際に、レコード会社側から「これでは納得できない、もう2曲レコーディングしなきゃダメだ。速い曲を」と言われ、急遽、2曲追加することになった。またこのアルバムについてマイケル自身は、彼が当時のベーシストであったマーティン・ベンソンとバーで喧嘩して店を破壊し、損害賠償金を支払うことになってしまったり、ダニエル復帰後のアルバム完成直後の来日公演でライブパフォーマンスが酷かったりということで、思い入れは浅いらしい。
  • 1999年、ベースのマーティンの後任に「Mercyful Fate(マーシフル・フェイト)」などで活動していたSharlee D'Angelo(シャーリー・ダンジェロ)が加入。そして3rdアルバム『BURNING BRIDGES(バーニング・ブリッジズ)』を発表。デビュー時から築き上げてきた暴虐性と叙情性の融合はこのアルバムで完成することとなる。そのため、このアルバムを最高傑作と推すファンが多い。
  • 2000年マイケルが「Carnage(カーネイジ)」時代からの盟友であったボーカルのヨハン・リーヴァを、ライヴでのパフォーマンスの悪さを理由に解雇する。マイケルにとってヨハンは盟友という事もあり、彼の解雇については苦渋の決断であったそうだが、現在でも彼らは友好的な関係を保っている。バンド脱退後、ヨハンは「ノンイグジスト」などのプロジェクトを経て、「ハース」というバンドを結成し、今に至る。
  • 2001年、ヨハンの解雇後、バンドは後任ボーカリストを迎えないままレコーディングを進める中、後任として元「At The Gates(アット・ザ・ゲイツ)」でロック・アップ等で活動していたトーマス・リンドバーグや元「Carcass(カーカス)」のジェフ・ウォーカーが加入するという噂もあったが、4thアルバム完成間近となった頃にドイツ人女性ボーカリスト、Angela Gossow(アンジェラ・ゴソウ)がメンバーとして加入した。
  • 同年、4thアルバム『WAGES OF SIN(ウェイジス・オブ・シン)』を発表。疾走感を抑えたモダンな作風で、よりパワフルでメカニカルなヘヴィメタルを展開。またデスメタルシーンでは珍しい女性ボーカルの加入ということも話題になった。3rdアルバム『BURNING BRIDGES』と共に、このアルバムを最高傑作とするファンが多い。しかしながら、音楽性の変化については従来のファンの一部からは否定的な評価も受けた。
  • 2003年、5thアルバム『ANTHEMS OF REBELLION(アンセムズ・オブ・リベリオン)』を発表。前作で得た攻撃性をより前面に押し出した。一方で曲構成がシンプルになり、クリストファーのクリーン・ヴォーカルを導入するなどファンの間では賛否両論が巻き起こった。楽曲をシンプルにしすぎたことをマイケル本人も認め、以降のアルバムでは複雑性を取り戻している。
  • 2004年、この年のツアー終了後、年末から6thアルバムに向けてのアルバム制作を開始する。
  • 2005年6月、6thアルバムを数ヶ月かけて制作し、完成もほぼ間近となったとき、デビューからのメンバーでマイケルの弟であるChristopher Amott(クリストファー・アモット)が、暫く学業に専念することを理由に脱退を表明。他のメンバーも彼を引きとめようと努力したものの、クリストファーの意志は固く、脱退することになった。
  • 同年7月に6thアルバム『DOOMSDAY MACHINE(ドゥームズデイ・マシーン)』を発表。やはりモダンな作風ながら、初期に見られた叙情性のあるツインギターを再び前面に押し出した。また、後にツアーでクリストファーの代役を務めることになるガス・Gもこのアルバムにゲスト参加している。
  • クリストファー脱退後、オズフェストへの参加が決定し、急遽後任として「ナイトレイジ」や「ファイアーウィンド」などでの活躍で知られるギリシャ人ギタリスト、ガス・Gを迎えた。尚、バンド側はガス・Gに正式加入を打診するも、自身のバンドであるファイアーウインドに専念するため、夏のアメリカ・ツアー終了をもってバンドを離れた(後にガス・Gは、他に掛け持ちしていたバンドも全て脱退している)。
  • 同年9月、元「Talisman(タリスマン)」のFredrik Akesson(フレドリック・オーケソン)がクリストファーの後任のパーマネント・メンバーとして加入することをバンドは発表。彼は同年10月下旬に行われた来日公演にも同伴し、成功を収めた。
  • 2006年、07年と連続で日本のヘヴィメタルフェスティバル「LOUD PARK」に出演。
  • 同年、7thアルバム『RISE OF THE TYRANT(ライズ・オブ・ザ・タイラント)』をリリース。復帰したクリストファーの代わりに、フレドリック・オーケソンはバンドを追い出される形となった。

[編集] メンバー

[編集] 現在のメンバー

[編集] 元メンバー

  • Vo:ヨハン・リーヴァ (Johan Liiva)(1995-2000)
    元「カーネイジ」、現在は「ハース」に所属。
  • B:マーティン・ベンソン (Martin Bengtsson)(1997-1998)
    1998年の2ndアルバム『STIGMATA』に参加。
  • Ds:ピーター・ウィルドアー(Peter Wildoer) (1998)
    1998年の2ndアルバム『STIGMATA』に参加。
    現在では「ダーケイン」をメインに活動している。
  • G:フレドリック・オーケソン (Fredrik Akesson)(2005-2007)
    タリスマン、現「オーペス」。また「ティアマット」のツアーに参加した。

[編集] サポート・メンバー

  • G:ガス・G (Gus G)
    脱退したクリストファー・アモットの代役としてツアーに参加。

[編集] ディスコグラフィー

※CDの国内盤は全てトイズファクトリーから発売されている。

[編集] フルアルバム

  • 1996年11月04日 BLACK EARTH (ブラック・アース)
  • 1998年4月21日 STIGMATA (スティグマータ)
  • 1999年7月27日 BURNING BRIDGES (バーニング・ブリッジズ)
  • 2001年4月08日 WAGES OF SIN (ウェイジズ・オブ・シン)
  • 2003年8月25日 ANTHEMS OF REBELLION (アンセムズ・オブ・リベリオン)
  • 2005年8月22日 DOOMSDAY MACHINE (ドゥームズデイ・マシーン)
  • 2007年9月21日 RISE OF THE TYRANT (ライズ・オブ・ザ・タイラント)

[編集] シングル・ミニアルバム

  • 2002年3月6日 BURNING ANGEL (バーニング・エンジェル)
  • 2004年11月15日 DEAD EYES SEE NO FUTURE (デッド・アイズ・シー・ノー・フューチャー)
Megadeth(メガデス)」の「symphony of destluction」、「Manowar(マノウォー)」の「kill with power」のカヴァー収録

[編集] ライブ・アルバム

  • 2000年8月23日 BURNING JAPAN LIVE 1999 (バーニング・ジャパン・ライブ 1999)
1999年の来日公演を記録したものである。ヴォーカルはヨハン。

[編集] DVD

  • 2006年7月26日 LIVE APOCALYPSE (ライブ・アポカリプス)

[編集] 脚注

  1. ^アット・ザ・ゲイツザ・ホーンテッドクレイドル・オブ・フィルスで活動していたエイドリアン・アーランドソンの実弟

[編集] 関連項目

  • GuitarFreaks&drummania - GuitarFreaks&drummania V4 Rock×Rockで「Nemesis」(DOOMSDAY MACHINEに収録)を提供。

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ


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