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アプリリア・RS - Wikipedia

アプリリア・RS

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

RSアールエス)とは、アプリリアが製造販売しているレーサーレプリカタイプのオートバイである。水冷2ストロークエンジンを搭載しており、シリーズ車種として排気量別に数車種が生産されている。

目次

[編集] RS50

RS50は欧州の大柄な体格のライダーに合わせて車体を設計しているため、日本の原付規格車両と比べると大柄な車体をしている。

1994年の発売開始から、一貫してミナレリヤマハ製の単気筒エンジンを搭載しており、出力 8.8ps/9750rpm・トルク 0.77kgm/8500rpm(1998年時のメーカー公称値)を発生する。近年の車両は出力が発表されていないが、EUの騒音規制・排ガス規制により出力が低下している模様。 2006年にRS125同様にフルモデルチェンジが行われ、ベースモデルをDERBI GPR50Racingとした後継モデルに生まれ変わっている。

1993年MMA型(DGM型):前身であるAF1/50 FUTURAからフルモデルチェンジされ、RS50が発売される。DGM型とも呼ばれる最初期型のRS50の登場である。 AF1/50からフレーム、スイングアームを受け継ぎ、ホイールデザインを星型から3本スポークに変更し、エンジンをこれまでのRV4に代わりYAMAHA(ミナレリ) AM5に変更するなど細部で大きな変更が行われている。 なお、フレームとスイングアーム自体は従来のモデルから受け継いでいるため、カウルのデザインも大きな変更を受けていない。 この年から、ロリス・レジアーニとマックスビアッジが乗っていたChesterfieldカラーのモデルがラインナップされている。 アプリリア車は昔からこれらのGPマシンのレプリカカラーを採用することで大きなデザインアクセントを得ていた。少し台形の角目ライトが特徴のモデル。 この型自体はDGM~から始まるフレームナンバーを持っている機種なのだが、形状が以後の1996年-1998年と同じため便宜上MMA型と呼ばれている。公称馬力は1993年から2001年モデルまでは8.8ps(6.6kw)である。。

1995年MMA型(DGM型):RS50にマイナーチェンジが行われ、アッパーカウルのデザイン変更と半月ライトの採用を行っている。これは、前年に販売開始されたRS250のスタイルに合わせた変更であり、内部的な変更は一切行われていない。なお1995年式は、RS50に19φのキャブレターが搭載されていた最後の年式となっている。 この型自体はDGM~から始まるフレームナンバーを持っている機種なのだが、形状が以後の1996年-1998年と同じため便宜上MMA型と呼ばれている。

1996年MMA型:販売台数の増加と共に、国別仕様の適正化が行われる。それによりキャブレターを14φに絞ることで出力の低下を招いた仕様がいくつかあった。日本仕様の登場は、この1996年式からとなる。1995年との見分け方は、フレームの塗装色が明るい灰色であることで識別できる。

1997年MMA型:頻繁に変更されるRS50は、この年もマイナーチェンジする。YAMAHA(ミナレリ) AM5に代わり、6速ギアを採用したAM6が搭載されている。なおこの年式には、レプリカカラーが一切存在しないという特徴がある。

1998年MMA型:この年は最もRS50が輝いていた年と言える。再びマイナーチェンジを敢行し、ロッシレプリカ、原田レプリカが登場。フォークキャップの変更、リアサスのレート変更、ミラーの形状変更などの細かい変更が行われている(ミラーは後継機に受け継がれている)。

1999年PGE型:RS50は突如フルモデルチェンジされ、世界初のアルミダイキャストフレームを採用しこれをボルトで連結するという構造に変更。走りを追求するため、RS50の大きな特徴であったリアの片持ちスイングアームを廃止し、両持ちのスイングアームに変更。カウルデザインはRS125と同等の当時のGPマシン流で美しい流線型を描くデザインとなった。 エンジンについても変更を受けており、中速トルクの増強を行うべくポート形状を変更し、更に騒音の減少のためのサイレンサーを従来の直管型からパイプを分ける形に。 アプリリアにしては珍しく、エンジンを含めて同じパーツは、1998年型から流用したミラーだけ、という徹底的なフルモデルチェンジを行うという中々の気合の入りようで、この会社がRS50に掛ける意気込みの強さを感じさせる。 この型から、フレームナンバーから名前をとってPGE型と呼ばれるようになる。

2000年PGE型:更にマイナーチェンジ。毎年カラーリングの変更と共に細かい変更が入っていることに注意。ラジエータの厚みが縮小されて、冬場のオーバークール傾向が改善される事になった。しかし、このラジエータの厚みの問題は、エンジンチューニングを行った際に容量不足に陥る傾向があり、注意が必要となる。なお、この次の2001年もカラー変更が行われているが中身の変更はない。

2002年SE型:そして2002年、RS50はSE型へとマイナーチェンジされる。 新しく搭載されたエンジンは排ガス規制と騒音規制、更にモペッド規制に対応させるために出力に大幅な制限を受け、坂道で後退する、カブ50に追突されるなど従来のRS50と比べ、大幅なスペックダウンとなった。 具体的には、エンジンをAM6の規制バージョンに変更。速度計は80km/h表示になり、キャブレターがPHBN12に変更。同時に特徴的であった、金属レバーのチョークレバーは廃止されて、左ハンドルのスイッチBOX部にチョークレバーが追加されている。 ユーザたちは勿論の事、販売店も大混乱に陥れたSE型RS50だが、これによって日本での販売は一気に低迷。暗雲が立ち込める。この後の2003年までの2年間は悪夢としか言いようがない時期であった。尚、この年からRS50の公称馬力は発表されていないが、SE型の実馬力はおおよそ2~3ps程度といわれている。

2004年TSJ型:2004年に突如、TSJ型がデビューする。このモデルは日本仕様だけの特殊なRS50で、SE型から過剰なモペッド規制を外したモデルとなり、依然元気はないもののある程度の性能を回復させたモデルである。基本構成は、SE型と同一ながら、吸排気のリストリクターの除去とキャブレターのセッティング変更を行ったモデル。 これにより最高速はSE型の45km/hから、70km/h程度まで回復したものの、それまでのMMA、PGEといったモデルから比べると比較にならないほど低出力(実馬力はおおよそ4~5ps程度)であった。

2006年TSJ型:RS50に最後のマイナーチェンジが行われる。事実上このRS50がRS50としてのファイナルエディションである。フレームをバフ掛けし、RS125やRS250と同じくめっきのように輝く姿を得ている。最終バージョンにふさわしい姿を手に入れており、これを最後に20年の歴史を持つAF1から始まったRS50の血脈は、ついに途絶えることになる。

2007年未定:ベースモデルをDERBI GPR50Racingとした、新型RS50が日本でもデビューする。GPR50Rからの変更点は、新型RS125と同デザインのカウルを装備し、メーターパネルをRS125と同等の装備にしている。そのほかの、フレーム、エンジン、前後ホイール、足回り、ブレーキシステム、果てはアンダーシートエキゾーストに至るまで、ベースGPR50Rがそのまま使われており、それまでのRS50とは全く違う車体になっている。 GPR50Rは、チューニングしたあとの化け方に非常に魅力があり、性能は非常に期待できると考えられている。馬力はTSJ型と同じく4~5ps程度といわれている。

[編集] RS125

イタリア人レーサーのヴァレンティーノ・ロッシカラーを施した1998年モデルのRS125
イタリア人レーサーのヴァレンティーノ・ロッシカラーを施した1998年モデルのRS125

RS125は単気筒の2サイクル・クランクケースリードバルブ・125ccエンジンを搭載しており、最高出力は34psを発生する。

そのエンジンはカートに使われているものと同じ系統のモデルを使用しており、極端な高回転高出力型の特性を持ち じゃじゃ馬の呼び声が高い。近年のモデルは排ガス規制などでパワーが抑制されているため、マフラーキャブレターの交換などでパワーアップさせるのが定番となっており、交換することにより元の34ps近くの発生も可能とされている。

また、ベースエンジンの優秀さから、エキゾーストの変更や大口径キャブレターの装備により40psもの大出力を発揮することも可能である。

更に二次減速比の変更と、エキゾーストを変更することで、メーター読み190km/hもの最高速を発揮した例がある。RS125のメーターはRS250のものと同一で文字盤のみ異なる仕様であり、実測値は183km/h程度と思われる。

元々RS125は、AF1/125というモデルの後継機種として開発されている。AF1の晩年のモデルは現在のRS125に非常に酷似した形状となっている。

RS125でよく話題にあがるのが、5500回転から6000回転くらいで発生する、異様なトルクの谷である。この回転域が使えないことで街中や大人しく走行した時の走行フィールは著しく不快なものになってしまっている。 これは騒音規制に適合させるため、騒音計測を行う回転数においてエンジンが吹かないようにする仕組みが組まれているためである。これについては、バイクとしての完成度を犠牲にした強引な方法という批判もある。 解除にはCDIに手を入れて回路の除去を行う必要があるが、この改造を行う事でメーカー保証で問題が発生する可能性がある。そのため上記の規制に対する対応も手伝って物議を醸している。

なお、この騒音規制のトルク谷を解除されたRS125は、拍子抜けするほど乗りやすいバイクに変貌してしまう。


1993年AF1/125から、フレーム・前後足回り・スイングアーム・エンジンなどありとあらゆる部分に手を入れてフルモデルチェンジし現在の原型であるRS125EXXTREMAが生まれる。

このときに採用されたフレーム・スイングアーム・そしてROTAXエンジンの組み合わせは、小変更のまま2007年モデルにもそのまま使われており、足掛け14年もの長い歴史を誇る組み合わせとなっており、以下に当初の設計が優秀であったかを物語っている。

1995年RS125はマイナーチェンジを行い、同時期に発売されたRS250と同じスタイルにするべく半月ライトとカウル形状の採用、そしてメーターパネルが従来型の3眼メーターから2眼+デジタルに変更される。

1996年-1997年頃にRS125は、エンジンの変更を受けている。従来使われていたエンジンユニットは、オーストリアロータックス社のROTAX123であったが、よりトルクフルなエンジン特性を求めてROTAX122に変更される。

1998年RS125はリアサス周りに変更を受ける。この型が最後のRS125SPとして認識されており、VHSB34LDキャブレターを装備し凄まじく鋭い回転フィールを持った最後のRS125となっている。

1999年にRS250から遅れる事1年、RS50共々マイナーチェンジが再び行われる。RS50ではフレームやスイングアームを変更するといったフルモデルチェンジを敢行したのに対し、RS125は大きな変更が必要なかったためカウル形状変更やポジションの変更を行うマイナーチェンジで対応している。 また、この時にキャブレターをPHBH28にしパワー特性を穏やかにすべく変更を受けている。この変更で従来型にあった激しい高回転のフィーリングは鳴りを潜めることになったが、パワーそのものは125ccにしては充分すぎるほど残しているものであった。 当時のアプリリアのGP250チームのエースライダー、原田哲也選手のレプリカカラーと本人のロゴを身にまとい好評を博した。

2004年RS125にも規制の波は訪れる。チャンバーに触媒が仕込まれることで、パワーが低下。それまで海外仕様として売られていたモデルよりは、出力に余裕はあったが国内市販の125ccスポーツモデルと同等程度までパワーダウンしてしまうことになる。 エンジン本体についても、ヘッドの変更などを受けており、一説には最大29ps程度までパワーダウンしていると言われている。

2006年フルモデルチェンジを行い、フロントフェイスが同社のフラグシップスポーツであるRSV1000Rに似たものとなった。新車価格は約50万円。 外装およびメーターなどの外観部品のほかに、フロントフォーク、ブレーキシステム、エキゾーストにそれぞれ変更を受けている。最終型RS125にふさわしいスタイルと装備の充実ぶりから、最後の最後にRS125の完成形を見せ付けられたと言える。

[編集] RS250

1997年モデルのRS250
1997年モデルのRS250

RS250スズキ・RGV-ΓをベースとするV型2気筒の250ccエンジンを搭載し、最高馬力は85psの発生も可能とされていた。ガンマのエンジンタイプは、VJ22A型式のヨーロッパ仕様が元になっており、RS250発売開始当初はベースの62psのガンマより8psアップした70psの出力がある事になっていた。チャンバーの位置はVJ22A型ガンマとほぼ同じ位置。(写真右)

最高出力等の性能表示については、元々日本とイタリアでの計測方法や表示の違いにより異なっていた事も原因で、表示上では70Ps、圧縮比12~13となっているが、実際はガンマの輸出仕様と概ね変わらない出力性能である。

RS250には前期型モデルである「LD型」、後期型モデルである「LDA型」と2種類の車両が存在しており、前期型モデルにはアプリリアチャレンジカップ用のパーツを組み込んだRS250SPというモデルが存在している。登場した一時期はスガヤ製のチャンバーを備えたSP車両も存在した。(RS250SP2、RS250GPというモデルもあるが、構成は同じなので基本的にはRS250SPで統一しても差し支えない)

1994年最初期型であるLD型がデビュー。当初の扱いはGP250チャンピオン獲得に伴う記念モデル的な車両だったため、1995年までの車両にはフレームのネック部分にライセンスプレートが取り付けられている。 カラーは1994年から1995年が青/赤(所謂レジアーニカラー)、銀、黒が存在した。

1998年RS250はマイナーチェンジを実施し、LDA型に変更される。カウルは当時のGP250のトレンドである流線型の大柄なものになりテールカウルはスポイラー型となる。ここまで露骨な形状のスポイラー型の市販スポーツバイクは、世の中には存在しないことで非常に目立ったスタイルを得ている。

エンジン自体にも手が入り、ヘッド形状が変更されて低回転域のトルクの増強と出力の安定化を図っている。また排気バルブユニットの動作を更に変更し、回転数に合わせて無段変速するというアプリリアならではの制御が行われている。これにより、LD型に見られた8000rpmを超えてから唐突な出力を発揮する特性が適正化され、非常にスムーズな出力特性に変更されている。

日本メーカーが2ストロークレプリカバイクの生産を終了してからも、アプリリアはRS250を生産しつづけていたが、環境規制とSUZUKIからのエンジンのデリバリーが終了したことにより2003年に生産終了となり、このオートバイが世界で最後に生産された250cc2ストロークレプリカバイクとなってしまった。

元々エンジンは10000台の生産契約ということで、生涯生産台数が初めから決まっていたRS250だが、思いのほか長期にわたって販売される事になった。

この時に余ったフレームなどを使って、MXV/SXV/RXVの450ccVツインエンジンを搭載したRSV450が開発されるとの噂が流れた事があるが、現在ではその望みも潰えている。

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