C-5 (航空機)
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C-5 ギャラクシー
C-5はアメリカ空軍が運用する軍用超大型長距離輸送機。開発時は、世界最大の輸送機であった。製造会社はロッキード社(現在はロッキード・マーティン社)である。愛称は「ギャラクシー」(Galaxy)。初飛行は1968年6月30日。1973年までに計81機が調達された。
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[編集] 概要
1961年にアメリカ空軍はC-133の後継となる大型輸送機を求め始めた。アメリカ陸軍は、当時開発中であったC-141よりも大きなペイロードを望み、それらの要望はCX-4計画として構想が練られていった。1962年にC-141の拡大型の6発エンジン機案が構想されたが、これはキャンセルされた。1963年にはCX-X計画として、81.6t(18万ポンド)のペイロードを持つ4発エンジン、胴体前後に貨物ドアを持つ機体が構想された。このCX-X計画はCX-HLSに名称が変更され、その仕様をもって、航空機メーカー各社に提案が求められた。
ロッキード社、ボーイング社、ダグラス社、マーティン社、ジェネラル・ダイナミクス社が応募し、それらの設計案の中から、ロッキード社、ボーイング社、ダグラス社案が次の選考に進んだ。最終的にロッキード社案が採用された。C-5の発注機数は当初115機であったが、開発の遅れと機体価格の高騰を受けて81機に削減された。初飛行は1968年6月30日、機体の納入は1969年からである。
開発途中でロッキード社は機体重量が予想よりも大きくなる事に気付き、軍に要求仕様の変更を求めたが受け入れられず、やむを得ず主翼の厚みをギリギリまで削る事で重量を削減した。その処置は明らかに失敗であり、納入されたC-5Aは機体の構造強度が不足していることが判明し、搭載量の制限措置がなされた。後に補強改修が行われている。1982年より緊急展開軍(RDF)構想の基に主翼の改設計などを行った機体がC-5Bとして、50機が生産された。
ベトナム戦争や湾岸戦争においては、高い長距離貨物輸送能力を発揮して各地への空輸を行い、高い評価を受けた。
なおボーイング社の設計案は大型機開発の技術・スタッフを転用した結果、民間向けのボーイング747へと発展している。
機体形状は、軍用輸送機として一般的なもので、主翼は高翼配置、T字尾翼を採用した。エンジンは、ターボファンエンジンを主翼パイロンに4基搭載している。機内は一部2階建てとなっており、上部デッキには、兵員73名が搭載可能である。
C-5A/Bのカーゴベイは幅5.8m、高さ4.9m、長さ36.9m(+ランプ部7.2m)という巨大なもので、前後にローディングランプ付のカーゴドアを持つ。ペイロードはアメリカ軍の輸送機としては最も大きく、約118tもの貨物が搭載可能である。
[編集] 要目(C-5B)
- 全幅:67.9m
- 全長:75.5m
- 全高:19.9m
- 空虚重量:169643kg
- 最大離陸重量:379657kg 840,000 lb (381,000 kg)
- 最大ペイロード:118387kg
- 積載量:769,000 lb (349,000 kg)
- エンジン:GE TF39ターボファンエンジン(19,500kg)4基
- 最大速度:496kt マッハ0.79 (500 knots, 570 mph, 920 km/h)
- 巡航速度:440kt マッハ0.77
- 飛行高度:34,000 ft (10.4 km)
- 海面上昇率:564m/min
- 翼面積:6,200 ft² (580 m²)
- 翼面荷重:120 lb/ft² (610 kg/m²)
- 実用上昇限度:10895m
- 搭載燃料:51,150 US gal (193,620 L)
- 航続距離:2982nm
- 乗員:5名
[編集] 派生型
- C-5A:初期生産型。81機製造
- C-5B:主翼、エンジンを改良されたTF39-GE1Cへの換装、アビオニクスの改良を行ったタイプ。50機製造
- C-5C:NASAの大型貨物輸送任務のために、2機のC-5が改造して製作。運用は空軍が行っている。A型から2機改造
- C-5M:A型とB型の近代化改修型。順次更新が行われる予定。Super Galaxy
[編集] C-5M Super Galaxy
1999年よりC-5の延命と近代化改修を目的として開発が進められていた最新型で、2006年5月16日に初号機がロールアウトした。この改修によって、離陸性能が30%、上昇性能が38%改善され、整備性と稼動率も大幅に向上した。アメリカ空軍ではC-5Mへ改造することで、今後25年間はC-5を運用する方針である。なお、主な改修点は以下に示す。
- デジタル・コクピットの導入
- 最新の航法・通信システムの導入
- エンジンをGE CF6-80C2へ換装
[編集] 関連項目
- C-X
- An-70
- C-17 (航空機)
- C-130
- C-160
- C-1 (輸送機)
- エンブラエル C-390
- エアバス A400M
- C-130J スーパーハーキュリーズ
[編集] 登場作品
- 機動警察パトレイバー:TV版でシャフト社の警備部門SSS(=シャフト・セキュリティ・システム)の輸送機で登場。
- ゴルゴ13
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攻撃機 | A-1 - A-2 - A-3 - A-4 - A-5 - A-6 - A-7 - AV-8/AV-8B - YA-9 - A-10 - A-12 - A-26 - A-37 - F-117 |
爆撃機 | B-1 - B-2 |
輸送機 | C-1 - C-2 - C-3 - C-4 - C-5 - C-6 - C-7 - C-8 - C-9 - C-10 - C-11 - C-12 - YC-14 - YC-15 - C-17 - C-18 - C-19 - C-20 - C-21 - C-22 - C-23 - C-24 - C-25 - C-26 - C-27 - C-28 - C-29 - C-30 - C-31 - C-32 - C-33 - C-35 - C-37 - C-38 - C-40 - C-41 - C-45 |
電子戦機 | E-1 - E-2 - E-3 - E-4 - E-5 - E-6 - E-8 - E-9 - E-10 - EA-6 - EA-18 |
戦闘機 | F-1 - F-2 - F-3 - F-4 - F-5 - F-6 - YF-7 - F-8 - F-9 - F-10 - F-11 - YF-12 - F-14 - F-15/F-15E - F-16/F-16XL - YF-17 - F/A-18/F/A-18E - F-20 - F-21 - F-22/FB-22 - YF-23 - X-32 - F-35 |
偵察機 | TR-1 - ER-2 - SR-71 |
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対潜哨戒機 | S-2 - S-3 - P-2 - P-3 - P-4 - P-5 - P-7 - P-8 - P-9 |
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