LE-7
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LE-7エンジンは宇宙開発事業団(NASDA)が航空宇宙技術研究所(NAL),三菱重工業,石川島播磨重工業とともに開発したH-IIロケット第一段用液体ロケットエンジンである。
国産初の第1段液体ロケットエンジンである。
現在は,コストダウンと信頼性向上を図った改良型LE-7AエンジンがH-IIAロケット一段目に使用されている。
[編集] 諸元
- エンジンサイクル:二段燃焼サイクル
- 燃料:液体水素
- 酸化剤:液体酸素
- 真空中推力:1,079kN(110.0t)
- 真空中比推力:445.6秒
- 主燃焼室圧力:12.7MPa
- 予燃焼室圧力:21.0MPa
- 液体水素ターボポンプ回転数:42,200rpm
- 液体酸素ターボポンプ回転数:18,100rpm
製造は三菱重工業(燃焼器・バルブ・全体艤装),石川島播磨重工業(液体水素ターボポンプ・液体酸素ターボポンプ)。
SSME(スペースシャトルメインエンジン)にも採用された二段燃焼サイクルエンジンは,プリバーナーと呼ばれる予燃焼室で水素リッチの高圧な不完全燃焼ガスを作り,その燃焼ガスで両ターボポンプを駆動後,主燃焼室で再び燃焼するというエンジン。効率はよいが,高圧部分が多いため技術的には難しい。LE-7の開発においてもトラブルが続出。開発期間が幾度となく延長された。
[編集] H-II 8号機 事故原因
- 事故直後 テレメータデータよりLE-7エンジン高圧配管系に何らかのトラブルあり 推進薬の供給が瞬時に停止していたと推定
- 1999年12月24日 海洋科学技術センターの協力で,海底に沈んだLE-7エンジンの残骸を発見
- 2000年1月23日 海底3,000mよりエンジンを引き上げ
- 引き上げた残骸の調査から,液体水素ターボポンプインデューサが破断していることが判明 破断面調査より疲労破壊の痕跡が見られた
- インデューサ単体の試験を繰り返した結果,旋回キャビテーションと呼ばれる現象とそれに起因する部品の共振が発生、インデューサに過大な負荷をかけ疲労破壊に至ったことが原因とされた