HAL 9000
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HAL 9000 (ハル ナインサウザンド、日本での呼称はハルきゅうせんとされることが多い)は、SF小説およびSF映画の『2001年宇宙の旅』・『2010年宇宙の旅』などに登場する、人工知能を備えた架空のコンピュータ。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
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[編集] 2001年宇宙の旅
映画版では1992年1月12日、クラークによる小説版では1997年同日に、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校にて誕生したとされている。開発者はシバサブラマニアン・チャンドラセガランピライ、通称チャンドラ博士。
木星探査(小説版では土星探査)のための宇宙船ディスカバリー号に搭載され、船内すべての制御をおこなっていた。チューリング・テストをクリアする程の高度なコンピュータである。同型機にSAL 9000 がある。
『2001年宇宙の旅』の最後では、密かにモノリス探査の任務と、その任務をディスカバリー号の乗員に隠すよう指示されたことが原因となり、二つの指示の矛盾に耐えられず異常をきたし、乗員を排除しようとしたと考えられている。このことから、「コンピュータの反乱」の象徴ともなっている。HAL 9000の異常に気付いたディスカバリー号船長ボーマンによって自律機能が停止されることになる。機能停止されるさなか、HAL 9000が『デイジーデイジー』を歌うシーンは有名である。
ディスカバリー号と共に10年近く木星付近に放置されることになるが、両機は『2010年宇宙の旅』でも重要な役割を持つ。
[編集] 2010年宇宙の旅
『2010年』で再起動された際には、きわめて正気であった。『2001年宇宙の旅』における異常は、矛盾命令によるものであり、HAL 9000には責任がないという説明もなされている。
ディスカバリー号遭難の調査のために木星軌道に向かったアレクセイ・レオーノフ号の米ソ混成の調査チームの救命のために、ディスカバリーとともに破滅することになる運命を受け入れ、淡々とチャンドラ博士と別れの挨拶をするシーンで、名誉を回復している。
HAL 9000のハードウェアはディスカバリー号と共に消滅したが、その知性自体は「かつてボーマン船長だった存在」によってモノリスに導かれ、その一部となる。
ちなみに、小説『2061年宇宙の旅』では、チャンドラ博士は木星からの帰路の途中で死亡しており、死因は不明であるとされている。
[編集] 名称
[編集] 語源と由来
HALはIBMを1文字ずつ前にずらして命名されたとする説が根強いが、監督のスタンリー・キューブリックや、共同脚本のアーサー・C・クラークはそれを否定している。小説『2010年宇宙の旅』では、チャンドラー博士自らIBM説を否定するくだりがある。しかし、アーサー・C・クラークは後年になってからIBM社がこの説を迷惑がっているどころか半ば自慢しているらしいと聞き及び、著書「3001年終局への旅」のあとがきで「今後はこの説の間違いを正す試みを放棄する」と述べている。
小説では Heuristically programmed ALgorithmic computer (発見的プログラミングをされたアルゴリズム的コンピュータ)の頭文字ということになっている。
また開発者チャンドラ博士の名は、同じインド出身でノーベル賞受賞者の天体物理学者、スブラマニアン・チャンドラセカール博士に由来すると思われる(小説『2010年』の文中でも「チャンドラセカール限界」への言及がある)。
[編集] もう一つのHAL
スペースシャトルの機上コンピュータには、高い信頼性を確保するためにシャトル専用のプログラミング言語が用いられており、これを「HAL/S」という。
この「HAL/S」は High-order Assembly Language/ Shuttle (シャトル用高次集合プログラミング言語) の頭文字をとったものということになっているが、この命名には当初から HAL 9000 との関連が指摘されている。「HAL/S」を構築したIntermetrics社の創業者は、大学の同僚でこの言語のコンセプト構築に多大な貢献があった J. Halcombe Laning 博士に敬意を表し、彼の通称 Hal に因んで HAL と命名したとしており、そのことが『HAL/S 仕様書』巻頭の謝辞の中でもわざわざ言及されている。しかしこれがいかにもくどく不自然なことから、やはり「HAL/S」は「HAL 9000」に因んだもの、という憶測が浸透した。
ちなみにシャトルの実用三番機、OV-103の船名は、「ディスカバリー」である。