イリノイ大学
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イリノイ大学(ーだいがく、University of Illinois)は、イリノイ州の州立大学システム。本部は2市にまたがるアーバナ・シャンペーン校である。このほか、シカゴと州都スプリングフィールドにもキャンパスを有する。これらの大学はすべて州税で運営されている。現在の学長はジョセフ・ホワイト(B. Joseph White)である。
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[編集] アーバナ・シャンペーン校
The University of Illinois at Urbana-Champaign(通称UIUC)は3つの大学校舎の中で最大の規模を有している。また、3大学の中では最高、全米でも35位の高い評価を得ており、イリノイ州のみならずアメリカ合衆国中西部を代表する大学の1つでもある。名前が示す通り、キャンパスはアーバナ市とシャンペーン市にまたがっている(2都市の境界線はライト通り【Wright St.】)。18の学部を有する総合大学であり、その中には全米屈指の高評価を誇る会計学専攻(経営学部)をはじめ、法学部や航空学部もある。
また、著名な機関として米国立スーパーコンピュータ応用研究所 (NCSA) もある。ここは(後にネットスケープコミュニケーションズを設立する)マーク・アンドリーセンが画像をレンダリング可能な最初のHTMLブラウザであるMosaicを他のメンバとともに作り上げた場所である。さらに、1987年にはNCSAは利用者がスーパーコンピュータの資源を遠隔地から利用できるようにするプログラムであるNCSA telnetをつくり出した。映画2001年宇宙の旅劇中の宇宙船の頭脳であるスーパーコンピューターHALは、このNCSAで開発されたという設定になっている。
アーバナ・シャンペーン校は電気工学への貢献でも有名であり、世界最初の発光ダイオード (LED) が生まれた場所でもある。図書館、情報学、工学、電気および計算機工学、計算機科学、物理科学、広告研究、心理学、教育心理学、農学および会計学において高いレベルを誇っている。
[編集] キャンパス
キャンパスの主要部はQuad(四辺形)と呼ばれる長方形の広場。主に総合・一般教育を行うビルに囲まれている。南側のフォーリンジャー公会堂を挟んでUndergraduate Libraryが有り、地下に広がる図書館であることからUnderground Libraryと間違えて呼称する新入生も少なくない。その更に南に、ビジネス系キャンパスが広がる。北側のユニオンのむこうには1997完成のGrainger Library新図書館がある。新図書館よりさらに北に工学系キャンパスが広がっており、南北に長いキャンパスの外側を時計回りにグルグル回る2両連結バス(LOOP号等)を利用しなければ、冬は凍え死んでしまう。大学の学生証 (I-Pass) を見せれば、2都市内のバス (MTD) は無料で乗車可能である。
これら教室ビルを囲んで学生寮やアパートがあるが、特別な事情がない限り、生徒は2年間大学寮に入らなければならない。ほとんどの生徒は北東の角に位置するIllinois Street Residence hall(通称ISR)、又は南西の角に位置する6連棟Champaign Residence Halls(通称Six Pack)に入る。更に伝染病隔離のため少し離れた場所にある大学病棟のそれまた南東にはPennsylvania Avenue Residence Halls(通称PAR)とFlorida Avenue Residence Hallsがあり遠いことと通称がFARであることから「FAR(遠く)に住んでる」というジョークは珍しくない。PARとFARは農学部の研究農場に近いことから、主に農学部の生徒でいっぱいである。「農場から動物を焼くようなにおいがしたら、寮の晩飯はチキンだ」という噂に農学部の生徒たちはノーコメントである。
前途のUndergraduate Libraryの隣には100年単位の遺伝子実験材料である、遺伝子組み換え済みのトウモロコシ畑が20メートルほどある。ここのミュータント・コーンを捕って食べた勇気の持ち主は未だいないが、単に学校側の罰則が厳しいからだけだという説である。
隣接するサヴォイ町 (Savoy) のウィラード空港 (Willard Airport) は大学の所有地であり、航空学部の実習はここで行われる。小型機用の空港でありながら、ボーイング747型機でも離着陸可能な滑走路がある。第42代アメリカ大統領ビル・クリントンが大学に来訪した際、専用機エアフォースワンが滑走路を走行中にドブにはまった、名誉ある空港である。その後滑走路脇のペイントは再塗装されている。
[編集] その他
この学校のスポーツチームはThe Fighting Illiniである。激戦区ビッグ・テン・カンファレンスに所属し、特に男子バスケットボールは全米トーナメントに度々出場する有力チームである。同チームは2005年に37勝2敗という同校史上最高の成績を残した。シーズン中はオハイオ州立大学に僅差で敗れた1敗のみ、ビッグ・テン・トーナメントは優勝、全米トーナメントでも準優勝に輝いた(優勝はノースカロライナ大学)。応援団兼マーチングバンドであるThe Marching Illini もまた高い評価を受けている。大学の運動部のシンボルはネイティブ・アメリカンであるチーフ・イリニウェック (Chief Illiniwek) である。これはフロリダ州立大学のセミノールズ (Seminoles) などと同様、ネイティブ・アメリカンの偶像を白人主体の機関が使用しているものであり、20世紀末期にアメリカ合衆国全土に大きな論争を巻き起こした。
[編集] シカゴ校
The University of Illinois at Chicago通称UICはシカゴ地区で最大規模の大学である。UIC は毎年29,000万米ドルを上回る研究費を投入しているアメリカ合衆国内で最大の医療学校、並びに生徒数25,000人、合計15カレッジを有している。イリノイ州の健康管理の決定的な役割を演じているUIC は、州の主要公共医療センターを運営し、イリノイ州の医師、歯科医、薬剤師、看護師、及びその他の健康管理専門職のための教育機関としてはナンバーワンである。
[編集] キャンパス
現在の UIC は1982年に2つのイリノイ大学キャンパスの合併によって設立された。その歴史が19世紀まで遡るメディカルセンター・キャンパス、及びシカゴ市内に広がるシカゴサークル・キャンパスからなる。元々は、退役軍人の再教育のために二年制の学部ネイビーピアー・キャンパスが海軍の元埠頭ターミナルビルに設置されたが、民間の生徒も受け入れる様になり、1965年にサークル・キャンパスによりその役目を置き換えられた。この合併及び拡張後、 "UIC" が今日の短い名称で呼ばれる様になった。
シカゴ校はイリノイ大学医学部の本拠地となっており、医学部にはロックフォード、ピオリア、アーバナにサテライトキャンパスがある。アーバナにあるサテライトキャンパスはアーバナ・シャンペーン校の敷地内にあるにも関わらず、シカゴ校の一部とみなされている。
交通手段は主に自動車であるが、駐車スペース数は限られており、ステッカー登録制である。市バス、高架鉄道等も運行されている。West Campusへは2006年に新設された高架鉄道Pink LineのPolk駅により、便利にアクセス出来る。シカゴ校の学生であれば割引定期券・回数券を生徒サービス事務所で購入することが可能。East Campusへは、Polk駅からさらに市バスもしくは大学の無料Intercampus shuttleバスに乗る必要がある(約1マイル)。
キャンパス内の公会堂であるUIC Pavillionは一般に公開されており、著名なロックバンドなどのコンサート等で賑わう一方で、大都市であることと生徒以外もキャンパス内に入ることができるため、一触即発的事件も少なくはない。普段はアメリカの大都市としては比較的治安は良い。
シカゴ校のコンピューターネットワークはシャンペーン・アーバナ校のネットワークに直結しており、世界でも古くからあるワイドエリア・ネットワーク(WLAN)である。
[編集] スプリングフィールド校
他のキャンパスは1969年から1995年6月30日までサンガモン州立大学であった、イリノイ大学スプリングフィールド校である。ここは3つのキャンパスの中で最小であり、イリノイ州の州都スプリングフィールドに位置している。
[編集] 著名な卒業生
特記に値する卒業生については各校の英語記事を参照すること。
[編集] 同窓会
イリノイ大学同窓会はIllinois Alumni誌を隔月で出している。それには個別の同窓生についての特集記事、同窓会活動、死亡記事やその他同窓生に情報を伝え大学との繋がりを維持するのに役立つ情報が含まれている。Illinois Alumniは会費を払っている同窓会員にメール便で送られている。この会誌にはISSN 1096-5856が割り当てられていて、2005年の時点において18冊目になる。
[編集] 関連項目
- 東京工科大学(提携)