魔女っ子チックル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『魔女っ子チックル(まじょっこチックル)』は、1978年3月6日から1979年1月29日までテレビ朝日系列にて全45話が放送された永井豪とダイナミックプロ原作の魔法少女アニメ。
目次 |
[編集] 概要
本作は「東映動画」ではなく「東映本社」の製作であるため、東映動画の「魔女っ子シリーズ」からは外されることがほとんどで、ゲームソフト「魔女っ子大作戦」にも本作のキャラクターは一切登場しない。実際のアニメ制作はネオメディアと日本サンライズ、風プロの3社が請け負い、それぞれキャラクターデザインなどが微妙に違っている。
魔法少女アニメとしては初めて「ダブル主人公制」が導入された作品として知られ、本作の主役である小森チックル&チーコは、本放送当時に国民的アイドルであったピンクレディーを意識したキャラクターとされている。 また、魔法を悪用・乱用したチックルが人間であるチーコから罰せられるのが特徴的で、本作以前の魔法少女アニメでは魔界の者から罰せられるのがお決まりであった。
[編集] ストーリー
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
小森チーコは今度の新学期に小学5年生に進級する女の子。ある日、ただ一人の親友であるミヨちゃんが北海道に引っ越すことになった。
チーコは自分の誕生日にお別れのパーティーを開くことをミヨちゃんと約束した。しかし、誕生日の前日に断りもなくミヨちゃんは北海道に行ってしまった。
このことにショックを受けたチーコは、ふと通りがかった本屋に立ち寄ったところ、綺麗な絵本が店頭に置いてあった。チーコはこの本を欲しいと感じたが、本屋の店員は「もうその本は売れちゃったよ。男の人が今朝お金を払っていったんでね」と言った。
チーコが帰宅し、父の冬吉、母の春子、妹のヒナとの家族四人で誕生パーティーを祝っている時に、冬吉から「チーコ、誕生日おめでとう」と手渡されたものがなんと、さっきの絵本だった。店員が言った「男の人」とは父の冬吉だったのである。
チーコが自分の部屋でその絵本をそっと開いてみると、なんと、絵本の中から「助けて!お願い!誰か…」と女の子の悲鳴が聞こえてきた。絵本の世界の中で怪獣に追いかけられているのだ。
チーコが「助けるってどうやって…!?」と言うと、その女の子は「クルンカクルンカテコポコテン…さあ早く!」と言ったので、チーコは「クルンカクルンカテコポコテン!」とその呪文を唱えると、なんと絵本から女の子が飛び出し、チーコの前に姿を現した。その子こそが魔法の国の「魔女っ子チックル」だったのである。いたずらが過ぎたために絵本の世界に封印されていたのだった。
最初は「この世に魔法使いなんかいるはずがない」とチックルのことを疑っていたチーコも、やがてチックルと打ち解けあい、魔法の力を借りることによって小森家の双子の姉妹として生活することになる。こうしてチックルチーコの「ラッキーペア」が誕生したのであった。 (1話「ラッキーペア誕生」より)
[編集] 登場人物
[編集] 小森家
- 小森チックル(声:吉田理保子)
- 本作の主人公。絵本に封印されていた魔法少女でツインテールの髪形が特色。チーコに封印を解かれた後、魔法の力によりチーコとの双子の姉妹として小森家で生活する。登場初期は彼女の魔法によるイタズラが周囲に騒動を引き起こす場面が多かったが、後半では人助けなど他の目的で魔法が使用されている描写も少なくない。性格は明朗活発である反面、短気でそそっかしく多少自己中心的な面もあるが、根は誰よりも友達想いで優しく、彼女の魔法によって救われた人間も多い。そのためか、学校ではクラスの人気者である。本作のレギュラー役では唯一の魔法使いであるが、設定上は「半人前の魔法使い」ということになっており、彼女の意図した通りに魔法がかからないケースもたまに見られた(例えば猛スピードで走っていた乳母車を魔法で止めようとしたが、逆にスピードが上がってしまったこともあった)。ただ、魔法をかけるときは(魔法辞典以外は)一切道具を使わず、箒無しでも空を飛ぶことも可能なので、それなりの能力は持っているようである。作中では彼女が元居た「魔法の国」については殆ど触れていないので、彼女に肉親が存在するかどうかは一切不明である。
- 小森チーコ(声:麻上洋子(45話のみ潘恵子))[1]
- チックルの封印を解いた少女で、チックルが魔法使いであることを知っている唯一の人間。[2]外見・性格共にチックルと似ていないものの、実際の姉妹の様に仲が良く、いつも二人で一緒に行動している。チックルが魔法を用いることをどちらかと言えば諌める場合が多く、周囲にチックルが魔法使いであることがバレそうになってヒヤヒヤすることもしばしば。優しくおとなしい子でクッキーを焼いたり、占いに手を出したりしているが、正義感も強く、下級生をいじめる矢野さとみ達に堂々と立ち向かったこともある。
- 小森ヒナ(声:駒沢トヨ子)
- チーコの実の妹で年齢は4歳くらい。作中で最もチックルの事を疑っている人間で、幼いながらも賢くて勘が鋭い。特に初期はチックルが実の姉であることを否定するような言動も多く見られたが、後半では自分を大事に思ってくれるチックルを姉として受け入れている描写が多くなっている。
- 小森春子(声:北浜晴子)
- チックル達の母親で専業主婦。しつけには厳しいが家族想いの優しいお母さんで、怪我で倒れたチックルを徹夜で看病したこともある。
- 小森冬吉(声:大竹宏)
- チックル達の父親で職業はサラリーマン。彼がチーコへの誕生日のプレゼントとして買った絵本がチックルとの出会いのきっかけとなった。
[編集] 夢町小学校
チックル達が通う小学校。チックルとチーコは5年1組に在籍している。
[編集] 5年1組(チックルのクラスメイト)
- 山谷ドン太(声:大竹宏)
- チックルの喧嘩相手。同作者の『マジンガーZ』における「ボス」のキャラが入った、大柄で乱暴な少年。但し、根っからの悪い性格ではなく、チックル達に協力したり、母のかおるの事を気遣ったりするなど優しい面も少なくない。女は羨ましいといって、様々な行為(スカートをはいてみたり)に及んだ事がある。
- アゴ(声:田の中勇)
- ドン太の子分。名前の通り、アゴが突き出た顔をしている。
- ポチ(声:千々松幸子)
- ドン太の子分。背が非常に低い少年。
- フー子(声:山本圭子)
- チックルの友達で、かなり太った女の子。
- 吉川正(声:山本圭子)
- 学級委員を務める真面目でハンサムな少年。塾に通っているため、放課後に遊ぶ時間が取れないらしい。
- 矢野さとみ(声:北浜晴子)
- 大金持ちのお嬢様。いつも取り巻きがいる。チックル達とは仲が悪い。
[編集] その他の生徒
- 錦三郎(声:神谷明)
- チーコが恋心を抱く6年生の美形の少年。喧嘩が圧倒的に強く、中学生3人を一人で倒したこともある。
[編集] 先生
- 高倉先生(声:増岡弘)
- 本名は高倉元太郎。チックルが在籍する5年1組の担任である男の先生。厳格ではあるがさっぱりとした性格をしている。花村先生に想いを寄せている。
- 花村先生(声:杉山佳寿子)
- 本名は花村和歌子。チーコが4年生の時の担任である女の先生。現在では1年生を教えている。
- 校長先生(声:山田俊司)
- ニコボテ校長とも。禿頭と白い髭が特徴的な校長先生。
- 教頭先生(声:八奈見乗児)
- 苗字は蛭田。痩せ型で逆三角形の顔をした教頭先生。非常に厳格なため、生徒たちから嫌われている。
[編集] その他のレギュラーキャラクター
- 山谷かおる(声:山本圭子)
- ドン太の母親。三年前に夫と死別し、女手一つでドン太を育てる。
- ノラ
- 小森家の周辺に屯しているオスの野良猫。ヒナの遊び相手。
[編集] ゲストキャラクター
- ミヨちゃん
- 1話「ラッキーペア誕生」で登場。チックルと出会う前のチーコのただ一人の親友。チーコに無断で北海道に引っ越してしまったが、後に電話にてチーコと仲直りをする。
- 明(声:古谷徹)
- 39話「がんばれ!赤ちゃんゴリラ」で登場。動物園の飼育係の若者。生命の危機に見舞われた赤ちゃんゴリラの命を救うべく奮闘する。
[編集] 作中で登場する呪文
- マハールターマラフーランパ
- チックルが魔法をかける時はほとんどの場合この呪文を唱える。「マハールターマラ」で両手の人差し指を左右に振り、「フーラン」でくるりと回した後に「パ」で人差し指を前に突き出すのが特徴で、この動作は本作の原作者である永井豪が考えたと言われている。一度、チックルが指名手配中の犯人に両手を縄で縛られた時に、指の自由が利かないために魔法がかけられず、生命の危機に陥ったこともある。
- クルンカクルンコテコポコテン(またはクルンカクルンカテコポコテン)
- 絵本に封印されていたチックルの封印を解いた時にチーコが唱えた呪文。
- ペケポン
- チックルの魔法が度を越した場合に、チーコが再びチックルを絵本の中に封印させるために唱える呪文。この呪文によってチックルはチーコに何度か絵本に閉じ込められている。ちなみに絵本の中に封印できるのは魔法使いだけで、人間は封印することはできない。
[編集] スタッフ
- 原作:永井豪とダイナミックプロ
- プロデューサー:碓氷夕焼(テレビ朝日)、松永英(大広)、飯島敬、小野耕人(東映)
- 漫画:成実由規、菜摘ペコ、あらすみこ
- 音楽:渡辺岳夫
- 音楽製作:あんだんて
- 脚本:馬嶋満、田村多津夫、篠崎好、富田祐弘、曽田博久、酒井あきよし、三宅直子、辻真先、相原道子、原島将郎、田口成光、山本優、雪室俊一、安藤豊弘、金春智子、鷺山京子
- ストリーボード:名輪丈
- 作画監修:木村圭市郎、森下圭介
- 作画監督:玉沢武、原完治、高橋愛緒、小林慶輝、福島正、加藤音次郎
- 撮影監督:森口洋輔
- 美術設定:加藤清
- 絵コンテ:山田秀夫、小林ひろみ、雪村剛、水田勇、高木厚炎、浦井泰、井内秀治、村田四郎、あしべつひろし、佐々木勝利、湯山邦彦、高垣幸蔵、今敏邦、向中野義雄、岡友美
- 演出:高木厚炎、坂田透、久岡敬史、内田祐司、中野健治、向中野義雄、田代文夫、剣竹青
- 原画:浅井政宣、松崎一、葉山和夫、高橋愛緒、吉原彰雄、金子鷹良、新井雄高、星野真砂子、落合正宗、石井邦幸、川筋豊、林和夫、久保園誠、伊藤鋭一郎、高橋敏雄、長島正徳、篠原秀穂、高田三郎、阿仁ますお、久米川進、加藤誠一、水間清人、北原卓士、大滝友子、山本哲也、森一浩、原完治、小泉惠子、北村卓士、小林慶輝、江田勝、山口賢裕、吉沢八重子、獅子実、星野絵美、井上和夫
- 動画チェック:柏田涼子、坂野片子
- 動画:本島るり子、須山一彦、吉沢八重子、藤井一郎、北村卓士、小泉惠子、森一浩、池田たず子、大滝友子、青木恭子、枝沢真理、松本昌代、今川よしみ、大円申二、弓入叶子、梅津美深、迎田悦子、町井由紀子、高橋祐子、油座瞳、池上信子、青山恭子、青柳鉄、山本哲也、半田由利、金沢勝真、水間清人、佐藤真代子、恵比寿六子、佐々木とし子、松岡英明、辻佳宏、川井真砂子、大木幸恵、邑松明美、吉原八須子、服部一郎、星野真砂子、宇佐美郁代、石井康雄、玉沢君子、中村昭子、寺島淳、新山歌子、上妻晋作、佐藤昌子、伊藤光男、浅見静子
- 音響制作:映広音響
- 録音:石井佑貴生
- 編集:松本高行
- 選曲:茶畑三男
- 効果:浜田知彦(スワラプロ)
- 音響ディレクター:太田克己
- 特効:藤井武郎、土井通明、柴田睦子
- 仕上:鈴川元昭、小峰典子、日下部久枝、金原芳治、佐々木尚子、高橋陽子、雨宮ひと美、武田洋子、金沢幸子、関司、清水昭子、滝沢和男、増田かつ子、池田浩、竹内弥生、甲田美代子、 金子之春、深沢フミ恵、藤原克己、佐藤孝二、高田峯子、小林ゆう子、山田紀子、松井一美、加藤紀子、西牧志津子、須藤節子
- 背景:平川栄治、杉浦正一良、池田祐二、大沢真紀子、土井則良、伊藤正男、井上順子、金箱良成、林正則、田原優子、阿部透、渡辺紀子、壇久美子、脇威志、菊地美惠子、財部誠、石原あき子、木暮ひで子
- 撮影:亀井純一、佐藤均、前島健一、上野寿夫、上杉隆一、旭プロダクション、井出勇作
- 美術ボード:宮本清司、増岡清弘
- 色彩設定:坂野加世子、佐藤孝二、増田かつ子、森下ひろ子、須田節子、西牧たみ子
- 制作担当:西条剋磨、上野寿夫、長谷川徹、馬島巽
- 現像:東映化学
- 制作進行:内田祐司、沖山愛子、杉本勝男、森下ひろ子、漆原秀人、福山康治、岡山行治、山本之文、青木寛爾
- チーフディレクター:久岡敬史
- 製作協力:ネオメディア プロダクション、日本サンライズ、風プロ
[編集] 主題歌
- OP:『魔女っ子チックル』(作詞:永井豪、作曲:渡辺岳夫、編曲:馬飼野俊一、歌:堀江美都子)
- ED:『チックルチーコのチャチャチャ』(作詞:八手三郎、作曲:渡辺岳夫、編曲:馬飼野俊一、歌:堀江美都子・コロムビアゆりかご会)
[編集] 放映リスト
- ラッキーペア誕生(1978年3月6日)
- てんやわんやの新学期(1978年3月13日)
- すてきなすてきな男の子(1978年3月20日)
- パーティーにご用心!(1978年3月27日)
- 涙、涙のガキ大将(1978年4月3日)
- 班長さんはくたびれる!(1978年4月10日)
- お姉さんはいじめっ子(1978年4月17日)
- 海の神さまSOS!(1978年4月24日)
- 女はだめよ!鯉のぼり(1978年5月1日)
- 花嫁さんがこわい(1978年5月8日)
- はばたけ!母の愛で(1978年5月15日)
- 愛情メーターは感度良好(1978年5月22日)
- 野生の男!お父さん(1978年5月29日)
- 敵はガリ勉スーパーマン(1978年6月5日)
- 蛙の命は銀の笛(1978年6月12日)
- 星占いナンバーワン(1978年6月19日)
- 町のギャングは子猫の親(1978年6月26日)
- 秘密がいっぱい(1978年7月3日)
- 弱虫小虫肝だめし(1978年7月10日)
- ホームランで大事件(1978年7月17日)
- ふるさと行き夜行特別列車(1978年7月24日)
- 捕まえたお化け(1978年7月31日)
- お母さんの結婚!?(1978年8月7日)
- トラックに乗ってきた古里(1978年8月14日)
- 溺れた浦島太郎(1978年8月21日)
- おせじごますり大嫌い(1978年8月28日)
- 星空がうたう子守唄(1978年9月4日)
- 空をとぶ少女(1978年9月11日)
- 双子のたたりじゃ魔法病(1978年9月18日)
- 雲から落ちた天使(1978年10月2日)
- あぶない友達(1978年10月9日)
- 皆が主役?シンデレラ(1978年10月16日)
- 俺たち女の子!?(1978年10月23日)
- 大発明!成功は失敗のもと(1978年10月30日)
- 泣き出した魔球のエース(1978年11月6日)
- 女性の魅力は馬鹿力?(1978年11月13日)
- 恐竜くん町を行く(1978年11月20日)
- 魔法の料理はフーランパ(1978年11月27日)
- がんばれ!赤ちゃんゴリラ(1978年12月4日)
- ハートの鬼の泣きどころ(1978年12月11日)
- うわさの魔女屋敷(1978年12月18日)
- 振袖姿の初登校(1979年1月8日)
- お手伝いさんはサル山育ち(1979年1月15日)
- 島からの便り(1979年1月22日)
- 魔法の国からの使者(1979年1月29日)
[編集] 補足
- 初期のエンディングでは、当時放送局・テレビ朝日のステーション・イメージとして契約されていた、ワーナー・ブラザーズのアニメキャラクター、トゥイーティーが登場していた。
- ビデオ・LDなど映像ソフトが一度も発売されなかったが(OP映像/END映像のみあり)、2005年12月から毎月、東映ビデオよりDVD全4巻が発売された。
- 放送前の仮題は『チックルチーコ』であった。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
テレビ朝日系 月曜19:00枠 | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
魔女っ子チックル
|