高島俊男
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高島 俊男(たかしま としお、男性、1937年1月16日 - ) は、兵庫県相生市出身の中国文学者、エッセイストである。
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[編集] 学歴
[編集] 人物・来歴
東京大学経済学部を卒業後、銀行に五年勤めたが、大学院人文科学研究科中国文学科に入り、藤堂明保らの指導の下で学んだ。文革後の中国文学、唐詩、「水滸伝」などの研究が中心。
母親の介護のためしばしば大学を休んだところ、「そんなに会議に出られないなら辞めてくれ」と言われ、岡山大学助教授を辞職。以降は、在野の研究者だが、1994年~1997年には愛知大学で非常勤講師として中国近現代文学を講義している。
1991年に、『水滸伝』を論じた『水滸伝と日本人 江戸から昭和まで』で第5回大衆文学研究賞受賞。1995年に、『本が好き、悪口言うのはもっと好き』で第11回講談社エッセイ賞。
この初の一般向けエッセイ集、『本が好き、悪口言うのはもっと好き』は、独自の観点からユニークな主張を行っている本として、丸谷才一らから評価される。丸谷は「高島俊男さんの出現は衝撃でした」と語っている。しかし高島は『水滸伝と日本人』のあとがきで、母親が死んだ後いきなり丸谷を訪ねたことを書いており、前から知り合いだった。
その評判から「週刊文春」誌上で1995年5月4・11日号から始まった、「言葉の語源や、本来の正しい使い方、などについて」の連載エッセイ「お言葉ですが…」は2006年8月17・24日号まで11年にわたって連載され、人気を博した(だが、連載最末期の部分は、文藝春秋社が刊行を拒んだため、別の出版社から刊行された)。また、過去に刊行した本も次々と文庫化され、新たなエッセイ集なども続々と刊行した。2007年から草思社の公式サイト「草思WEB」で「新・お言葉ですが…」を連載している。
2001年には、夏目漱石が漢文で書いた旅行記「木屑録」を解読した『漱石の夏やすみ 房総紀行『木屑録』』で、第52回読売文学賞随筆・紀行賞を受賞。
独身であり、読書と囲碁のみが趣味の、「現代の仙人」のような暮らしを送っていた。
囲碁が趣味で、「お言葉ですが…」の連載中もたびたび囲碁の話題に触れていた。
近年、眼病を患い、執筆活動は「口述筆記」に頼るようになった。
[編集] 主張等
中国文学者の立場から、エッセイなどで、従来の常識に反する、様々な主張を唱えている。
- 「支那」という用語が使えなくなった経緯について調査し、『本が好き、悪口言うのはもっと好き』収録の「『支那』は悪い言葉だろうか」にまとめており(詳細は「支那」参照)、チャイナを現す用語として使用するのは問題ないとしている。
- 『漢字と日本人』において、「漢字は本来、シナ語を表記するための言葉であり、日本語を表記するのには適さない。もし中国の言語・文字が入ってこなければ日本語は健全に成熟し、いずれ、やまとことばに適した文字を生み出していたに違いない。それが、まったく違う言葉と文字の『侵入』によって、日本語は発育を阻止され、音だけでは意味が通じない、文字を見なければ伝達できない言葉ができあがってしまった。」「そのため、日本語本来のやまとことば(和語)を表記するのに、漢字を使うのは不自然である。まして、やまとことば(和語)を漢字で表記する際に複数の漢字の候補がある場合、『どの漢字が正しいのか』と議論するなど、滑稽きわまりない」と主張している。付言すると、これはあくまでやまとことばについての指摘であり、漢字・漢語を用いなければ日本語では論理的な文章を書けないという現実認識に基づき、旧字を含めた適正な漢字使用を本書では主張している。
- 『中国の大盗賊』において、「中国の王朝末期に起こる反乱軍は、多数の流民をひきつれた『盗賊』であり、その最終勝者が次の王朝を開く。毛沢東の共産革命軍もその一種だ。」と論じた。
- 向田邦子の同世代の人として、『メルヘン誕生』において、向田邦子の代表作『父の詫び状』に描かれている家庭環境が、「戦前の標準的な家庭」として描かれて、一般からもそう受け取られているが、実は非常にエリートの特殊なものであると、論じている。
- 『漱石の夏休み』において、現在使われている、漢文の日本語での読み下し方「漢文訓読文」は江戸末期に成立した、日本語としては半端なものであると主張している。
- 『しくじった皇帝たち』において、幸田露伴の晩年の名作評伝とされる『運命』を批判している。(詳細は「幸田露伴」参照。)
[編集] 著書
[編集] 『お言葉ですが…』シリーズ
- 『お言葉ですが…』(文藝春秋、1996、文春文庫、1999)
- 『お言葉ですが… 「それはさておき」の巻』(文藝春秋、1998、改題して『「週刊文春」の怪』、文春文庫、2001)
- 『せがれの凋落 お言葉ですが…(三)』(文藝春秋、1999、改題して『明治タレント教授』、2002)
- 『お言葉ですが…(4)猿も休暇の巻』(文藝春秋、2000、改題して『広辞苑の神話』、2004)
- 『お言葉ですが…(5)キライなことば勢揃い』(文藝春秋、2001、文春文庫、2004)
- 『お言葉ですが…(6)イチレツランパン破裂して』(文藝春秋、2002、文春文庫、2005)
- 『お言葉ですが…(7)漢字語源の筋ちがい』(文藝春秋、2003、文春文庫、2006)
- 『お言葉ですが…(8)百年のことば』(文藝春秋、2004、改題して『同期の桜』、文春文庫、2007)
- 『お言葉ですが…(9)芭蕉のガールフレンド』(文藝春秋、2005)
- 『お言葉ですが…(10)ちょっとヘンだぞ四字熟語』(文藝春秋、2006)
- 『お言葉ですが…第11巻』(連合出版、2006)
- 『お言葉ですが…別巻1』(連合出版、2008)
[編集] その他の著作
- 『李白と杜甫』(評論社、1972、後講談社学術文庫、1997)
- 『声無き処に驚雷を聴く-「文化大革命」後の中国文学』(日中出版、1981)
- 『文学の自立を求めて-今日の中国文学を読む』(日中出版、1983)
- 『水滸伝の世界』(大修館書店、1987、後ちくま文庫、2001)
- 『中国の大盗賊 天下を狙った男たち』(講談社現代新書、1989、改版して『中国の大盗賊 完全版』講談社現代新書、2004)
- 『独断!中国関係名著案内』(東方書店、1991、改版して『本と中国と日本人と』ちくま文庫、2004)
- 『水滸伝と日本人-江戸から昭和まで』(大修館書店、1991、後ちくま文庫、2006)
- 『三国志<人物縦横談>』(大修館書店、1994、後に改題して『三国志 きらめく群像』ちくま文庫、2000)
- 『本が好き、悪口言うのはもっと好き』(大和書房、1995、文春文庫、1998)
- 『ほめそやしたりクサしたり』(大和書房、1998)
- 『寝言も本のはなし』(大和書房、1999)
- 『水滸伝人物事典』(講談社、1999)
- 『メルヘン誕生 向田邦子をさがして』(いそっぷ社、2000)
- 『漱石の夏やすみ-房総紀行『木屑録』』(朔北社、2000、後ちくま文庫、2007)
- 『漢字と日本人』(文春新書、2001)
- 『座右の名文-ぼくの好きな十人の文章家』(文春新書、2007)
- 『しくじった皇帝たち』(ちくま文庫オリジナル、2008)
- 『天下之記者-「奇人」山田一郎とその時代』(文春新書、2008)