ちくま文庫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ちくま文庫(-ぶんこ)は、筑摩書房が発行している文庫判叢書である。
1986年に刊行を開始した。基本的な装幀は安野光雅(ちくま文庫の刊行に携わった松田哲夫(現 筑摩書房専務取締役)の小学生の頃の美術教師である)。当初は自社刊行物の囲い込みの意識が強かったが、1992年のちくま学芸文庫創刊からは、学術的なものはそちらに回して、一般書の比重が高くなっている。また、個人全集に強い版元のありかたを利用して、文庫サイズの個人全集(芥川龍之介・森鴎外・太宰治・宮沢賢治など)が充実しているのも特色である。ただし、刊行後20年以上を経過しているので、品切れになっているものもけっこうある。またマルセル・プルーストの「失われた時を求めて」を文庫化している点も特筆されるべきである。
このように古典的な文学に強い一方、赤瀬川原平の「老人力」のような話題作や都築響一の「珍日本紀行」などの写真集も擁する、硬軟両面を併せ持つ文庫である。
ちくま文庫は二種類に分けられ、「翻訳、古典、シリーズ」を扱う月マークと「現代日本の小説、エッセイ、評論、ノンフイクションほか」を扱う太陽マークが扉ページに描かれている。
2006年にはちくま学芸文庫の中に数学、物理学などを扱う「M&S」シリーズが設立された。
[編集] 主な作家・話題の著作
- 宮下志朗訳のフランソワ・ラブレー『ガルガンチュワとパンタグリュエル』(未完)
- 宮沢賢治全集
- 柳田國男全集