飫肥天
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飫肥天(おびてん)とは、宮崎県日南市飫肥地区の郷土料理である練り物。おび天とも書かれ、こちらは元祖おび天本舗の登録商標となっている。
[編集] 概要
飫肥藩領であった江戸時代に領民たちによって案出され、飫肥地方に伝わる料理である。もともと飫肥周辺では味噌を使う料理が多く、南西諸島からの移住者を中心に19世紀半ばにサトウキビの栽培が始まったことなどを背景に、味噌と黒砂糖を使う飫肥天が誕生したと考えられている[1]。
イワシ、アジ、シイラ、サバ、トビウオ、サワラなど日向灘の近海でとれる大衆魚を丸ごとすり身にしたものに豆腐を混ぜ、味付けに味噌や醤油、黒砂糖を加えて揚げて作る。見た目は薩摩揚げに似ているが、薩摩揚げに比べて柔らかく、ふわりとした食感で、少し甘めで独特の味わいがある。通常、煮るなどの二次的加工を施されずに揚げたそのままで食べる。飫肥では飫肥天の定食を供する飲食店もあり、揚げたての熱い飫肥天を賞味することができる。
魚のすり身に豆腐と砂糖を混ぜて揚げた、飫肥天に似た練り製品には紀文食品の「魚河岸あげ」などが現在全国的に販売されている。これらは、主におでん種など煮物に用いる点が飫肥天と異なる。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- ^ 朝日新聞 1996年8月24日付 夕刊、らうんじ面、P.3