飛ぶ教室 (漫画)
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飛ぶ教室 | |
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ジャンル | SF・世紀末・少年漫画 |
漫画: 連載版 | |
作者 | ひらまつつとむ |
出版社 | 集英社 |
掲載誌 | 週刊少年ジャンプ |
レーベル | ジャンプ・コミックス (JC) |
発表期間 | 1985年24号 - 38号 |
巻数 | 全2巻 |
漫画: 読切版 | |
作者 | ひらまつつとむ |
出版社 | 集英社 |
掲載誌 | フレッシュジャンプ1984年7月号 |
その他 | 連載版JC2巻に収録 |
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『飛ぶ教室』(とぶきょうしつ)は、ひらまつつとむによる日本のSF漫画作品。
目次 |
[編集] 概要
読切りとして描かれた同名作品(後述)を元に、『週刊少年ジャンプ』(集英社)誌上で1985年24号から38号に連載された作者の連載デビュー作。単行本はジャンプ・コミックスより全2巻。題名はエーリッヒ・ケストナーの同名小説『飛ぶ教室』からつけられたものであり、この他に副題等にも児童文学からつけられた物がある[1]。
小学校に設置されていた核シェルターのおかげで、突如起こった核戦争から助かった小学生たちが、核の冬に襲われつつある過酷な世界を、埼玉の小学校での共同生活によって生き抜こうとする姿を描いた作品。
冷戦最中にある1980年代において、198x年[2]の現代劇として描かれており、作中で東京を襲った水爆はソビエト連邦による物であろうとされている[3]。こうしたシリアスでリアリティを持った設定でありながらも、主人公のラブコメディなどのコメディ描写を織り交ぜる事によって、陰鬱な作品となる事が避けられている。
いわゆる「打ち切り作品」ではあるものの、現在は「隠れた名作」として再評価する向きも多く、既に絶版となっている単行本にはプレミアムがついている事もある。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] あらすじ
198x年9月3日、突如水爆が東京を襲った[2]。たまたま学校に設置されていた試作の核シェルターへと避難する事が出来たオサム達であったが、外の放射能濃度の下がるまで、その後一ヶ月はシェルターの中での生活を強いられる事となる。一ヶ月後、広がる荒野には生存者は見つからず、唯一の大人である北川先生は怪我で寝込み、オサム達は幼い下級生の先頭に立ちながら子供達だけでのサバイバル生活を送る事となった。
[編集] 登場人物
[編集] 埼玉第八小学校
オサム達が通う小学校。関東に10箇所のみ作られた民間の試作シェルター[4]の中の1つ・8号シェルターが校庭にあったため、偶然近くに居た1年3組の39人、4年2組の41人、6年2組の42人で合計122人の生徒[5]と、6年2組の担任であった北川先生が生存する事が出来た。校舎はシェルターを脱出後のオサム達の共同生活の場となる。
[編集] 6年2組
- 安田 オサム(やすだ - )
- 本作の主人公。どこにでもいる平凡な少年だが逆境にくじけず頑張るひたむきさを持つ。両親と幼稚園児の妹との4人家族であったが、他の仲間同様家族の安否は不明。ただし母親が山梨へと疎開した事だけは、自宅跡に残された手紙から判明している[6]。作者自身がモデル[7]。
- みつ子(みつこ)
- オサムの彼女でオサムからは「みっちゃん」と呼ばれる。男勝りな少女で一人称はボク[8]。その明るさと元気で皆を引っ張っているが、オサムの前では涙を見せる等女の子らしい可愛い一面も見せている。モデルは本田美奈子[7]。
- サトル
- 知識・統率力共にクラス一で、作者自身が「いるわけない」と言う[9]様な理想的な少年。その能力から生徒達のリーダー格として信頼されており先生を補佐し続け、後には先生の提案による大統領選挙で圧倒的な票を集めて大統領となる[10]。モデルは吉川晃司[7]。
- タロー
- 粗暴だが行動力のある少年。みつ子といつも喧嘩している。タローが掃除をさぼってシェルターに忍び込んだ為に水爆の襲来を知る事が出来、近くにいた生徒達が避難する事が出来た[11]。モデルは衣笠祥雄[7]。
- ノボル
- 食いしん坊だが、心優しく面倒見が良い少年。関西弁を喋る。モデルは笑福亭鶴瓶[7]。
- 北川ひろみ(きたがわ - )
- オサム達の担任の女性教師でシェルターに入った中では唯一の大人。学校創設者の娘で[12]、前任者の産休中の代理として1年前に赴任して来た[13]。美人でスタイルも良く、凛とした性格で生徒からも慕われている。シェルターの非常口を確認しに地表近くまで上がった際に、誤って「死の灰」を浴びて被曝[14]。作品は彼女の死とそれを乗り越え再び歩みだす子供達により幕切れを迎える。
[編集] 7号シェルター
第八小学校から比較的近いS市の公民館に設置されたシェルター。婦人会のおばさんと幼児や乳児ばかりが避難していたが、乳児達の為にと大人達が外にミルクを探しに出た所で入り口が塞がれてしまい、生存者を求めてオサム達が訪れた頃には子供しか中にはいなかった[15]。脱出後第八小学校へと合流する。
- 立花 ユウ子(たちばな ゆうこ)
- 夏風邪をこじらせ学校を休んでいた為、シェルターに避難する事が出来た少女[15]。オサム達と同じ小学6年生[16]で閉じ込められ中では最年長。
- 立花 カオル
- ユウ子の妹。体が弱く、学校を休んでいたため姉と共にシェルターに避難する事が出来た[15]。第八小学校へ合流後もほとんどを保健室のベッドの上で過ごしている。ジロと言う名の犬を飼っている。
- クミ
- シェルターに閉じ込められた乳児。厳しい環境の中で衰弱し、オサム達がシェルターの入り口を開いたその日の夜に息絶える[17]。
以上で物語・作品に関する核心部分の記述は終わりです。
[編集] 読切版
1984年に『フレッシュジャンプ』(集英社)7月号に掲載された作者のデビュー作で、連載版のプロトタイプとなった同名読切作品。連載版『飛ぶ教室』のジャンプ・コミックス2巻に同時収録されている。
「タローだけではくノボルもシェルターへ忍び込む[18]」、「7号シェルターは登場しない」といったいくつかの差異はあるが、既に設定はほぼ出来上がっており、主な登場人物や大筋は連載版と同一。
[編集] 書誌情報
- ジャンプ・コミックス(集英社刊)
- 1986年2月15日初版発行、ISBN 4088521692
- 1986年4月15日初版発行、ISBN 4088521706
[編集] 註
- ^ ひらまつつとむ「なるほど ザ 飛ぶ教室クイズ」『飛ぶ教室 第2巻』、68頁。
- ^ a b ひらまつつとむ「災害(わざわい)の日の巻」『飛ぶ教室 第1巻』、20頁。
- ^ ひらまつつとむ「核のボタンを押したのは…!?の巻」『飛ぶ教室 第1巻』、161-163頁。
- ^ ひらまつつとむ「探検…失われた世界への巻」『飛ぶ教室 第1巻』、115頁。
- ^ ひらまつつとむ「夏への扉の巻」『飛ぶ教室 第2巻』、100頁。
- ^ ひらまつつとむ「夏への扉の巻」『飛ぶ教室 第1巻』、79-82頁。
- ^ a b c d e ひらまつつとむ「なるほど ザ 飛ぶ教室クイズ」『飛ぶ教室 第1巻』、84頁・87頁欄外。
- ^ ひらまつつとむ「災害(わざわい)の日の巻」『飛ぶ教室 第1巻』、13頁他。
- ^ ひらまつつとむ「なるほど ザ 飛ぶ教室クイズ」『飛ぶ教室 第2巻』、46頁。
- ^ ひらまつつとむ「大統領選挙の巻」『飛ぶ教室 第2巻』、64頁。
- ^ ひらまつつとむ「災害(わざわい)の日の巻」『飛ぶ教室 第1巻』、51-57頁。
- ^ ひらまつつとむ「最後の授業の巻」『飛ぶ教室 第2巻』、115頁。
- ^ ひらまつつとむ「最後の授業の巻」『飛ぶ教室 第2巻』、110-113頁。
- ^ ひらまつつとむ「明日への誓いの巻」『飛ぶ教室 第2巻』、136-139頁。
- ^ a b c ひらまつつとむ「希望の帰還の巻」『飛ぶ教室 第2巻』、14-6頁。
- ^ ひらまつつとむ「希望の帰還の巻」『飛ぶ教室 第2巻』、37頁。
- ^ ひらまつつとむ「希望の帰還の巻」『飛ぶ教室 第2巻』、20頁。
- ^ ひらまつつとむ「巻末フレッシュ読切り 飛ぶ教室」『飛ぶ教室 第2巻』、154-157頁。