車止め
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車止め(くるまどめ)とは、車の駐車場や鉄道の終着駅、留置線にあるコンクリート状の物、またはバラストを積んだものである。
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[編集] 概要
車止めは減速すべきところで減速せずに来た自動車、または鉄道車両を強制的に停止させるためのものである。自動車は多くの場合、車止めのある場所では車止めにタイヤ等を接触させることによって停止させられることが常であり設置もそれを前提としているが、鉄道では車両が車止めに接触すること自体が稀であり、かつ殆どの場合において異常事態であるという大きな違いがある。
主としてコンクリートの塊やバラストの積み重ねが多く使用される。コンクリートは車・鉄道両方に使用される。バラストは鉄道にのみ使用される。
[編集] 鉄道の車止め
[編集] 第1種車止め
線路を覆うように砂利を盛っただけのものを言う。主に安全側線や、将来的に延伸の予定がある暫定的な終端等で使われる。砂利は線路下に敷いてあるバラストと同じ材料を使用するため、コスト面ではコンクリート式に比べて有利である。後述の他種に比べて簡単に崩れるため、万一の際に車両や乗客・貨物に与えるダメージが小さい反面、強度は高いとは言えない。その強度を補うため設置には数十m単位の細長い用地が必要で、長さは手前1kmの平均勾配で決められている。近年はコスト面からバラスト式の採用も目立ってきている。
[編集] 第2種車止め
金属の棒を櫓型に組んで作られたもの。最も一般的である。設置に必要な用地が短くて済み、また材料には古レールなどの既存資材を有効活用した例が多く見られる。
[編集] 第3種車止め
レールを上方に向かって(逆U字形に)曲げることで車止めの機能を果たすもの。設置にあたって新たな追加材料や用地を必要としない反面、構造が簡易的で強度はさほど高くない。主に保線材料線等の終端で使われる。
[編集] 第4種車止め
制走提とも言う。コンクリートの塊を線路端に置いたもの。留置線等に多く見られる。設計次第では車止めを挟んで両面から使用できるため、用地の有効活用が求められる留置線で多用される。
[編集] 枕木
通常はレールの下に敷かれている枕木を1本ないし数本束ねてレールの上面に渡して固定し、簡易的な車止めとしているものもある。大抵は古い木製のものが使われる。また、それとは別に、前述の他種の車止めにおいて車両が最初に接触する位置に取り付けられ、車止め本体・車体双方の破損防止のクッション代わりとされる例もある(当然、その役目を果たせるのは衝突の衝撃がごく弱い場合に限られる)。
[編集] 油圧式
油圧式の緩衝装置が列車を迎える形で設置されているもので、万一列車が過走しても低速ならば比較的安全に停止させる事ができる(危険が全く無いという意味ではない)。用地が少なくて済む上に強度・安全性に優れ信頼性も高いが、他種に比べて格段に高価なため、採用されるのは特に信頼性が要求される頭端式ホームの終端などごく限定的である。
[編集] 強度
車止めはどんな速度でも止めることができるわけではない。土佐くろしお鉄道宿毛駅衝突事故のように、列車が車止めを破壊するなどして乗り越していくこともありうる。そのため、線路終端の手前に速度照査システムを設置して列車を予め強制的に減速あるいは停止させ、車止めへの衝突時のショックや車体の損害を少しでも緩和したり、衝突そのものを防止しようという取り組みもある。そうでなくても、車止めのすぐ先に川や崖、民家、公道等がある場合や高架の終端など、列車の過走が直ちに乗客や第三者の生命・財産の危機へと直結するような場合に備えて、確実性向上のために複数種の車止めを相互間のバックアップとして併設しているケースは古くから多く見られる。
[編集] 標識
鉄道の車止めでは、車止め本体と一緒に線路の終端を示す標識が設置されている事がほとんどである。設置条件などによっては反射材を使用して光(主に列車の前照灯によるもの)を反射させたり、電球・LEDなどが内蔵され標識自体が発光する機能を備えたものなどがあるが、あくまで標識であり、これ自体に車両を停止させる機能があるわけではない。
また、主に安全側線において、短い梯子もしくは柵状の装置が設置されていることがあるが、これは「安全側線緊急防護装置」と呼ばれるもので、設置されている場所や形状は似ているが車止めではない(同装置の詳細は安全側線#課題と対策を参照)。
[編集] 外部リンク
[編集] 自動車の車止め
一般的な自動車は構造上、後退(バック)する際に運転者の視点から後方の安全が確認しづらいため、万一過走しても(速度が高かったり故意に乗り越えようとしなければ)安全な範囲で止まることができるように車止めが設置される。
自動車の前後方向に対して横に長い直方体のコンクリート塊を、駐車スペースの端に車幅に合わせた間隔で2つ置いてあることが多い。直方体の辺のうちタイヤに接する長い一辺を斜め(またはタイヤの形状に沿った円弧状)に削った形の五角柱とし、タイヤへの負担を軽減しているものも増えている。ほとんどの場合において自動車の床下より低く作られ車体そのものには接触しないため、車止めによって止まった場合でもおよそオーバーハングの分だけ車止めからはみ出すことになる。したがって、地面に対して凸となる大きな障害物(塀、建物等)や所有地の境界線などに面した駐車スペースではそのはみ出し分も考慮して車止めの設置位置を決める必要があるほか、運転者自身も駐車しようとする車のおおまかな寸法を知った上でその点を考慮する必要がある。
コンクリート製以外に木製のものやプラスチック製の物もあり、地面に固定されていることもある。コンクリート製のものは車のサイズに合わせて鉄道に比べ小さめに作られているため、ずれる事や乗り越えてしまうことも多々ある。また、余剰となったコンクリートブロックや縁石、U字溝を伏せて置いたものなどを代用しているケースもある。 最近では環境に配慮した再生ゴム製のリサイクル製品の車止めも多く使われている。ゴム製のものは耐久性も高く長期間の使用に耐えるものが増えてきている。
また、三角形をした携帯用の車止めもある。材質は、木製、鉄製などがあり、パンク修理などの非常用として折りたたみ式の車止め(輪止め)もあるが、これは走って(動いて)きたものを強制的に止めるというよりは、元々止まっているものを固定し安全を確保するという性格が強い。