谷川健一
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谷川 健一(たにがわ けんいち、1921年7月28日 - )は、民俗学者、地名学者、作家。
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[編集] 来歴
熊本県水俣生まれ。詩人谷川雁・東洋史家谷川道雄の長兄。熊本中学、東京帝国大学文学部卒業。平凡社の編集者として、『風土記日本』(1957 - 60年)、『日本残酷物語』(1959 - 61年)などを企画編集し、1963年創刊の『太陽』初代編集長を務める。
その後執筆活動に入り、1966年、『最後の攘夷党』で直木賞候補になる。1970年代には『青銅の神の足跡』や『鍛冶屋の母』などを発表し、民俗事象と文献資料に独自の分析を加え、柳田國男や折口信夫らの衣鉢を継いだ。柳田の提唱した「日本民俗学」がのち組織化が進み善かれ悪しかれ学術化、専門科学化していったのに対し、谷川は在野精神を貫き学会と距離をとった独自の調査を進めた[1]。折口を彷彿とさせる小説家的想像力と、柳田を彷彿とさせる膨大な民俗資料の編纂とがない交ぜになっており、その業績は各界から注目された。日本史の網野善彦、文化人類学の大林太良、民俗学の宮田登、考古学の森浩一らと共同編集した『海と列島文化』(全10巻、小学館)は日本像を決定的に変革した金字塔となった。
1973年、共編『日本庶民生活史料集成・全20巻』で毎日出版文化賞を受賞。1981年、神奈川県川崎市に日本地名研究所を設立、所長に就任し現在に至る。1986年、共編『日本民俗文化大系・全14巻』で毎日出版文化賞特別賞を受賞。1987年から1996年まで、近畿大学教授・同大学付属民俗学研究所所長を務める。1991年、『南島文学発生論』で芸術選奨文部大臣賞受賞、1992年、南方熊楠賞受賞、2001年、『海霊・水の女』で短歌研究賞受賞、2007年文化功労者。
『日本の地名』、『常世論』、『青銅の神の足跡』、『魔の系譜』、『神・人間・動物』などのほか、小説も多い。『谷川健一著作集』全10巻が刊行されているほか、現在全集刊行中である。
[編集] 著書
- 最後の攘夷党 三一新書, 1966
- 沖縄 辺境の時間と空間 三一書房, 1970
- 魔の系譜 紀伊国屋書店, 1971(のち講談社学術文庫)
- 常民への照射 冬樹社, 1971
- 孤島文化論 潮出版社, 1972
- 埋もれた日本地図 筑摩書房, 1972
- 原風土の相貌 大和書房, 1974
- 民俗論の原像 谷川健一対談集 伝統と現代社, 1974
- 民俗の神 淡交社, 1975
- 古代史ノオト 大和書房, 1975
- 神・人間・動物 伝承を生きる世界 平凡社, 1975(のち講談社学術文庫)
- 私説神風連 新人物往来社, 1975
- 女の風土記 読売新聞社, 1975(のち講談社学術文庫)
- 黒潮の民俗学 神々のいる風景 筑摩書房, 1976
- 出雲の神々 平凡社カラー新書, 1978
- 青と白の幻想 三一書房, 1979
- 青銅の神の足跡 集英社, 1979(のち文庫、小学館ライブラリー)
- 鍛冶屋の母 思索社, 1979(のち講談社学術文庫)
- 北国からの旅人 沖縄との出会い 筑摩書房, 1980
- 谷川健一著作集 全10巻 三一書房, 1980-88
- 神は細部に宿り給う 地名と民俗学 人文書院, 1980
- 民俗学の遠近法 谷川健一対談集 東海大学出版会, 1981
- 海の群星 集英社, 1981(のち文庫)
- わたしの「天地始之事」 筑摩書房, 1982
- 常世論 日本人の魂のゆくえ 平凡社選書, 1983(のち講談社学術文庫)
- 失われた日本を求めて 青土社, 1983
- 白鳥伝説 集英社, 1986(のち文庫、小学館ライブラリー)
- 南島論序説 講談社学術文庫,1987
- 私の民俗学 東海大学出版会, 1987
- 民俗・地名そして日本 同成社, 1989
- 海の夫人 河出書房新社, 1989
- 大嘗祭の成立 民俗文化論からの展開 小学館 1990
- 地名と風土(対談集)思潮社, 1991
- 南島文学発生論 思潮社, 1991
- 民俗の宇宙 1、2 三一書房, 1993
- 青水沫 谷川健一歌集 三一書房 1994
- 海神の贈物 民俗の思想 小学館 1994
- 古代海人の世界 小学館, 1995
- 独学のすすめ 時代を超えた巨人たち 晶文社 1996
- 日本の地名 岩波新書, 1997
- 海境 谷川健一歌集 ながらみ書房 1998
- 日本の地名 続 岩波新書, 1998
- 日本の神々 岩波新書, 1999
- うたと日本人 講談社現代新書, 2000
- 神に追われて 新潮社, 2000
- 柳田国男の民俗学 岩波新書, 2001
- 古代人のコスモロジー 作品社, 2003(史話日本の古代 別巻)
- 心にひびく小さき民のことば 岩波書店, 2004
- 渚の思想 晶文社, 2004
- 四天王寺の鷹 謎の秦氏と物部氏を追って 河出書房新社 2006
- 谷川健一全集 冨山房インターナショナル, 2006-
- 水俣再生への道 熊本日日新聞社, 2006
- 甦る海上の道・日本と琉球 文春新書, 2007
- 谷川健一全歌集 春風社, 2007
[編集] 編著・共著
- 女性残酷物語 第1、2 大和書房, 1968
- 叢書わが沖縄 全6巻 木耳社, 1970-71
- 近代民衆の記録 3 娼婦 新人物往来社, 1971
- 沖縄の証言 名嘉正八郎共編 中公新書, 1971
- 近代民衆の記録 5 アイヌ 新人物往来社, 1972
- 折口信夫 三一書房, 1974(人と思想)
- 日本文化の源流を求めて 金達寿共編 筑摩書房, 1975
- 日本古代文化の原像 大林太良共編 三一書房, 1977
- 現代「地名」考 編著 日本放送出版協会, 1979(NHKブックス)
- 地名の話 平凡社選書, 1979
- 神々の島 沖縄久高島のまつり 比嘉康雄共著 平凡社, 1979
- 柳田国男と折口信夫 池田弥三郎共編 思索社, 1980
- 産屋の民俗 西山やよい共著 国書刊行会, 1981
- 地名と風土 日本人と大地を結ぶ シンポジウム 小学館, 1981
- 日本の地名 講談社, 1982
- 地名と日本人 シンポジウム柳田学の継承と展開 講談社, 1983
- 南島のフォークロア 共同討議 青土社, 1984
- 風土学ことはじめ 雄山閣出版, 1984
- 日本の神々 全13巻 白水社, 1984-88
- 東と西-二つの日本 光村図書出版, 1984
- 沖縄・奄美と日本 同成社, 1986
- 日本民俗文化資料集成 全24巻 三一書房, 1988-98
- 地名の古代史 九州篇 金達寿共著 河出書房新社, 1988
- 地名の古代史 近畿篇 金達寿 河出書房新社, 1991
- 南方熊楠、その他 思潮社, 1991
- 南島の文学・民俗・歴史 山下欣一共編 三一書房, 1992
- 海と列島文化 第6巻 小学館, 1992
- 稲生物怪録絵巻 江戸妖怪図録 小学館 1994