諏訪湖
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諏訪湖 | |
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所在地 | 長野県 |
面積 | 13.3 km² |
周囲長 | 15.9 km |
最大水深 | 7.2 m |
平均水深 | 4.7 m |
貯水量 | 0.063 km³ |
水面の標高 | 759 m |
成因 | 構造湖(断層湖) |
淡水・汽水 | 淡水 |
湖沼型 | 富栄養湖 |
透明度 | 1.3 m |
諏訪湖(すわこ)は、長野県岡谷市、諏訪市、諏訪郡下諏訪町にまたがる湖。河川法では、天竜川(一級河川)水系の一部として扱われる。湖沼水質保全特別措置法指定湖沼。
1922年(大正11年)2月11日、日本初のフィギュアスケート公式試合が下諏訪リンクで行われている。
目次 |
[編集] 地理
長野県中部の諏訪盆地に位置する。面積は県内最大。糸魚川静岡構造線の断層運動によって、地殻が引き裂かれて生じた構造湖(断層湖)である。また糸魚川静岡構造線と中央構造線が交差する地でもある。
総貯水量 | 62,987,000m³ | 滞留時間 | 39日 |
流域面積 | 531.8km² | 流入河川 | 31河川 |
流出河川 | 天竜川(岡谷市)のみ(釜口水門によって流出水量が調整されている) |
その他の規模は右の表を参照。
[編集] 水質
諏訪湖はかつて、非常に水質のよい湖であった。しかし、高度経済成長期にかけて生活排水などにより富栄養化が進み、水質が悪化した。特に70年代から80年代にかけては、アオコが大発生し湖面が緑色になる、悪臭が漂う、発泡するなどといった現象さえも見られた。その後、市民や行政が積極的に水質改善に取り組んだ結果、現在では大幅に水質が改善されているものの、かつての姿を取り戻すまでには至っていない。
[編集] 全面氷結
かつては毎年のように分厚い氷が湖面をおおい、湖面ではワカサギの穴釣りをはじめ、スケートなども行われていた。近年は水質悪化や地球温暖化などが原因となり、全面氷結が見られる年は年々減少している。また、氷の厚さも薄くなっており、スケートなどを行うのは危険である。しかし、ワカサギの穴釣りを楽しむ観光客がたくさん訪れる。
[編集] 行事
- 4月 諏訪湖開き
- 8月1日~9月第1日曜日 サマーナイトフェスティバル(花火等)
- 8月15日 諏訪湖祭湖上花火大会
- 9月第1土曜日 全国新作花火競技大会
- 10月 諏訪湖マラソン
[編集] 御神渡り
冬、諏訪湖は氷結する。氷は、膨張した後に気温が下がると収縮する為、気温が下がる夜中に氷が収縮、亀裂が入る。その亀裂の隙間に水が入り、薄い氷ができる。日中、気温が上がると氷は膨張する為、両側から圧力がかかって薄い氷が割れ、せりあがる。これが繰り返され、御神渡り(おみわたり)になる。
- 正確には諏訪大社上社から下社の方向へ向かうものを御神渡という。一説によれば、上社の男神の「建御名方命」(たけみなかたのみこと)が、下社の女神である「八坂刀売命」(やさかとめのみこと)に会いに行った足跡とも言われており、神が諏訪湖へ降り立ったといわれる諏訪市側を下座(くだりまし)、下諏訪町側の、神が岸へ上がったとされる部分を「上座」(あがりまし)という。
- 御神渡りが観測されると、諏訪市の縣社八剱神社(やつるぎじんじゃ)の神主により、神事が執り行われる。御神渡りが観測されてからは、大総代等の役員は質素な生活を送り、身を清める「精進潔斎」(しょうじんけっさい)にはいり、拝観式に備える。
- 御神渡りはできた順に「一之御神渡り」「二之御神渡り」と名づけられる。そのうち、二本の御神渡りが交差するものは「佐久之御神渡り」と呼ばれる。
- 御神渡りの亀裂の入り方などを過去の記録と照らし合わせて、その年の天候、農作物の豊作・凶作、世相などを占う。
- 御神渡りが観測されなかった年は「明けの湖」(あけのうみ)と呼ばれる。
- 御神渡りは湖が全面結氷し、かつ氷の厚みが十分にないと発生しないので、湖上を歩けるか否かの目安の一つとなる。但し、氷の厚さは均一でなく大変危険なので、実際に氷の上へ乗ってはならない。
御神渡りの記録は「神渡帳 (みわたりちょう)」と呼ばれる書物に記されている。この記録は 14世紀ごろから続いており、当時の農作物の成育状況がともに記されていることから、地球で現存する気象記録のなかでももっとも古いもののひとつに数えられる [要出典]。
[編集] 2006年の御神渡り
2006年(平成18年)1月10日、2004年以来2季ぶりに御神渡りが観測され、1月13日に拝観式が行われた。この観測日は、1904年(明治37年)及び1927年(昭和2年)の1月9日に拝観式が行われたのに次ぐ2番目の早さである。3本の御神渡りが観測され、その隆起は最大で約60センチメートル、氷は厚いところで20センチメートルほどになった。
このシーズンは、2005年(平成17年)12月には既に諏訪湖が凍結しており、さらに2006年1月に入ってから諏訪湖周辺では氷点下10度以下という厳しい寒さが続いたために、御神渡りの観測が早まったと見られている。
[編集] 間欠泉
諏訪湖のほとり、片倉館に近い温泉街の一角に、上諏訪温泉の間欠泉が噴出している。
間欠泉に面しては諏訪湖間欠泉センターという施設が建設され、間欠泉について解説プレートなどを用いて解説しているほか、一般客が間欠泉の噴出を見物することができるようになっている。同センターに隣接した公園内には温泉を利用した足湯の設備が無料で開放されており、間欠泉見物の時間待ちや散策の足休めとして足湯を利用する人々の姿が見られる。
[編集] 諏訪湖と観光
諏訪湖の周囲は、上述の上諏訪温泉のほか下諏訪温泉、諏訪大社などの名所が点在する観光地となっている。諏訪湖では、毎年夏に開催される諏訪湖祭湖上花火大会が日本有数の規模をもつ花火大会として多数の観客を集めているほか、湖畔が公園として整備されている個所も多く、中には岡谷湖畔公園[1]のように湖上に噴水が設置されている場所もある。
[編集] 漁業
諏訪湖で行われる漁業はワカサギが有名であるが、それは1915年(大正4年)に持ち込まれたもので、その後の諏訪湖の漁業の中心となった。現在は漁獲量が極端に減少している。 その減少の理由は、ブラックバスやブルーギルといった外来魚によるところが大きいと考えられている。 諏訪湖漁協では例年40億粒の採卵をして、全国の湖沼80ヶ所に18億粒出荷し残りは諏訪湖へ放流している。全国のほとんどのワカサギが諏訪湖産であるといわれている。
漁獲量のピークは1976年(昭和51年)で、425tだったが、2005年(平成17年)には42.3tにまで減少している。このため冬の観光としての釣り客の減少や、ワカサギを商品にしている川魚店にも影響が出ている。 ワカサギの漁期はいちおう10月から3月までとなっているが、2007年は2月1日より全面禁漁となっている。
ワカサギ以前の諏訪湖の漁業はスジエビやテナガエビというエビ類であった。 また、シジミ漁もさかんであった。諏訪湖のシジミは琵琶湖の瀬田のシジミを持ち込んだものである。瀬田からシジミを持ってきて諏訪湖で育てると、シジミが丸くなると言われていた。 エビもシジミも1960年代には、水質の汚濁のためほとんど絶滅してしまった。
このほか諏訪湖には鯊、鯉、鮒、鰻などが生息している。
[編集] 武田信玄の水中墓伝説
武田信玄が死に際して「自分の死を三年間秘密にせよ。遺骸は甲冑を着せて諏訪湖に沈めよ」と遺言したという説が広く流布されており、『甲陽軍鑑』にも同様の記述がある。このため諏訪湖には古くから信玄の水中墓伝説があった。1986年(昭和61年)、国土地理院のソナーによる湖底地形調査では、湖底に一辺が25mとされる菱形の”物体”が発見された。これが信玄の水中墓ではないかとされ、信州大学、読売新聞、日本テレビなど複数の団体が10数年にわたって調査を行った。電磁波探知機により墓標のような立体が確認されたとも報道されたが、最終的には謎の菱形は湖底の窪地の影であるとの結論が出された。しかし、問題の菱形が自然にできたとは思えない程はっきりとした形をしており、湖底は泥が深く目視による実地調査が困難であることから、水中墓説を支持する声は現在でも多い。
[編集] 諏訪湖に関連した作品
- Dragon Ash 「休日」